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「レコードにはA面とB面がある」


私はこれまで家族からも友達からも、情緒が安定しているとか冷静とかそういことを言われてきた。
実際はといえば、混乱しやすくて、不安を感じやすくて、安定しない。だからイレギュラーの出来事があると直ぐに、脳内の司令塔がエマージェンシーモード!と警報を鳴らす。指示は早いくせに対応はイマイチ。早いだけで的確ではないみたい。

私はこれまで家族からも友達からも、あなたは自信があって人前に出るのが好きだよねと言われてきた。
実際はといえば、自信なんてない。常に人の顔を疑うし、相手が怒っているかもしれないと思ったらすぐに縮こまって何も出来なくなってしまうのだから。
実際はといえは、人前に出るのは好きでは無い。かと言って苦でもないのだけれど。自分から進んでは人前に出ないし、そういう役回りは避ける方だ。


周りの人から受けてきた評価やイメージと心の奥の実際の自分にはかなりギャップがある。けれど不思議な事にわたしはどちらの自分も嫌いではない(苦しむことはあれど)。レコードにA面とB面があるように、私にもA面とB面がある。A面よりB面を好むひとがいるように、どちらの自分も愛してくれる人がいる。

池袋ウエストゲートパークというドラマがある。
印象的だったのは、「レコードにはA面とB面がある。お前も早く、CDになれよ」という台詞だ。物語終盤、長瀬智也演じる真島マコトが事情を抱えた登場人物に向けて労いの気持ちを込めて放つ言葉だが、2面性のギャップに苦しむとき、私はいつもこの言葉を思い出す。
例えば思ってもいない事を言った時。自分の意に反するが、空気を読んだ時。我慢して人に従った時。
そんな時、本当に尊重するべきものをすぐに判断できない。事が過ぎてから自分の思った方にしておけば良かったと思うことなんて良くある。逆にあの人に従っておけばよかったと思う事もある。

わたしはいつかCDになるのだろうか。そういう自分と折り合いを付けて、正反対の気持ちを抱く時、自分にやさしく、周りも傷つかず、的確に動けるようになるのだろうか。

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