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【開催報告】 G7都市大臣会合に向けた官民ハイレベルラウンドテーブル

2023年3月28日、国土交通省と共催で公式官民イベント「G7 都市大臣会合に向けた官民ハイレベルラウンドテーブル」を開催しました。これは7月7-9日に予定されているG7香川・高松都市大臣会合に先立ち、G7実務者会合(SUDO: G7 Senior Urban Development Officials)の各国代表、産業界、専門家などと共に、都市における重要課題について議論を行い、その成果を閣僚大臣会合に活かすことを目的にしています。

本記事では議論のテーマとその模様の一部をご報告いたします。議論の内容については、別途公表される予定の成果文書を参照ください。

G7 都市大臣会合とは?
2022 年に G7 議長国であったドイツにおいて初めて開催された閣僚会合。気候変動対策など国際的課題において都市の積極的な関与が必要不可欠となったことを踏まえ、都市の優先課題を国家的な課題として反映し、都市の持続可能性を高めることを目的とする。

「G7都市大臣会合に向けた官民ハイレベルラウンドテーブル」開催概要
日時:2023年3月28日(火)13:00-17:00
主催:世界経済フォーラム第四次産業革命日本センター、国土交通省
協力:国連人間居住計画(UN-Habitat)、経済協力開発機構(OECD)

開会挨拶

開会挨拶では、古川 康国土交通大臣政務官より都市の課題を多様なステークホルダーで議論する重要性と、議論を7月の都市大臣会合へ活かしいくことが述べられました。またG7 都市大臣会合の開催地を代表して池田 豊人香川県知事がビデオ登壇し、地元一丸となって都市大臣会合を盛り上げていく意気込みが語られました。

古川 康氏(国土交通大臣政務官)
池田 豊人氏(香川県知事)

G7 Roundtable 1:Sustainable Cities

持続可能性の目標は、都市開発の要でもあります。気候変動、生物多様性の損失、環境汚染など世界的な危機に対処するうえで、都市が果たす役割の重大さは言うまでもありません。複合的な危機に取り組み、より持続可能な都市計画を進める上で重要なのは、政治的なリーダーシップと官民パートナーシップの組み合わせです。本セッションでは日本のレジリエンス構築の実践知や、グローバル都市のネットゼロに向けた取り組みが紹介され、都市内に緑を取り入れ自然と調和させる方策や、公共交通を中心としたコンパクトな街づくりについて議論が行われました。

Cristina Gómez Garcia-Reyes(World Economic Forum, Urban Nature-based Solutions Lead、モデレーター)
清水 勇人氏(さいたま市長)
森本 章倫氏(日本都市計画学会会長、早稲田大学理工学術院 教授)
Lauren Sorkin氏(Resilient Cities Network, Executive Director)
Corey Glickman氏(Infosys Limited, Head of Sustainability & Design)
Mikolaj Sekutowicz氏(Therme Group, Partner and Vice President)
鈴木 教洋氏(株式会社 日立製作所、執行役常務CTO兼研究開発グループ長)
北川 清氏(森ビル株式会社、取締役専務執行役員)

G7 Roundtable 2:Inclusive Cities

今後25年間で都市に住む人々の人口は10億人増加すると予測され、そのほとんどが低所得国の人口だと言われています。さらに都市においては住宅価格や生活費への懸念が公共サービスやインフラを圧迫し、国内における不平等が拡大する兆しが見られます。このセッションでは、より手頃な住宅への取り組み、より大きな社会的価値を組み込んだ街づくり、持続可能性とより手頃な住宅提供の両立、エネルギーと食糧の連鎖、エネルギー貧困と食糧不安のための長期投資、時間的貧困などについて議論が行われました。

Laxman Perera氏(UN-Habitat Human Settlements Officer モデレーター)
松本 忠氏(経済協力開発機構/OECD、Head of Sustainable Urban Development Unit)
南雲 岳彦氏(三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社 専務執行役員、
一般社団法人スマートシティ・インスティテュート 専務理事)
Dagur Bergþóruson Eggertsson氏(Reykjavik City Mayor)
江崎 浩氏(東京大学大学院情報理工学系研究科教授)
鈴木 絵里子氏(Kind Capital ファウンダー兼代表取締役)
鈴置 一哉氏(東急株式会社、プロジェクト開発事業部長)

G7 Roundtable 3:Digitalisation in Cities

G7ドイツにおける持続可能な都市開発の共同声明は、効率性の向上、モビリティの増加、公共サービスや公衆衛生の改善など、デジタル化が都市にもたらす好機を強調しました。日本でも世界経済フォーラムが支援するG20 Global Smart Cities Allianceの活動など、デジタル化の恩恵を引き出すための先駆的な取り組みが実施されています。このセッションでは都市のデジタル化とそのガバナンスについて、協働的で人間中心のデジタル化、レジリエントで持続可能な都市開発を支えるデータの役割、アクセシビリティ、インクルージョン、デジタルデバイドの解消などについて議論されました。

Christy Mitchell(World Economic Forum Centre for the Fourth Industrial Revolution Japan、Project Lead、モデレーター)
海老原 城一氏(アクセンチュア株式会社、マネジング・ディレクター)
岡田 康裕氏(加古川市長)
望月 康則氏(日本電気株式会社、NECフェロー)
井上 俊幸氏(三菱地所株式会社、執行役員)
濵田 東香氏(Deloitte, Manager)
出口 敦氏(東京大学大学院 新領域創成科学研究科 教授)

閉会挨拶

世界経済フォーラム第四次産業革命日本センター長の山室芳剛による閉会挨拶では、都市開発の課題に対して3セッションを通して寄せられた実践知の共有と議論に対する感謝、そしてG7香川・高松市大臣会合に向けた成果文書と都市の持続可能な発展に向けた今後の連携についてのコミットメントが表明されました。

山室芳剛(世界経済フォーラム第四次産業革命日本センター長)


終わりに

本イベントには、SUDOメンバー、UN-Habitat、OECD、民間およびアカデミアといった登壇者に加え、年度末であるにも関わらず20名以上の自治体職員の方々、40名以上の民間企業の方々、主催である国土交通省と世界経済フォーラム第四次産業革命日本センターの関係者含め、総勢約100名の方の参加を賜り、大変な盛会となりました。この場を借りて御礼を申し上げたいと思います。

幅広い年齢層の方にご参加いただいたのですが、実はつくば市の高校生を一人ご招待しておりました。彼女の学校では生徒会選挙をオンライン投票で行うなど、新しい取り組みを行っています。こうした若い世代にも参加してもらえたことは、会全体として包括的であったという点だけではなく、社会を変えていく一歩になるのではと、主催者の一人として期待しております。

都市大臣会合の大きなテーマ「都市の諸問題に対し政府がどのような支援ができるのか」について、様々な立場の方から議論がありました。複雑化する課題に直面するなか、コミュニティの構成員に恩恵をもたらす革新的かつ持続可能な解決策を生み出すためには官民の強力なコラボレーションが必要不可欠であることは明らかです。ベストプラクティスを推進し、協力関係を継続することで、より持続可能で包括的なデジタル先進都市を実現できると確信しています。G7都市大臣会合に向けて今回の議論をしっかりと提言にとりまとめ、さらには今年開催されるG20インドまで視野にいれて、私たちG20 Global Smart Cities Allianceの活動を基盤にさらなる具体的なアクションに繋げていければと考えております。


世界経済フォーラム第四次産業革命日本センター
平山雄太(スマートシティプロジェクト長)
ティルグナー順子(広報)

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