見出し画像

業務改善のコツは「ツールを使う前」にある〜家事と給与計算の意外な共通点〜

「効率化しようとツールを入れたが、仕事が楽になった気がしない」という場合、問題は「ツールよりも前」にあることが多くあります。

逆に、その問題に気が付くことができれば、ツール導入の効果を最大化することにもつながります。

今回は、導入事例インタビューのこぼれ話として、BYARDを使った「ツールよりも前に存在する問題の見つけ方」をご紹介します。

インタビューの本編はこちら👇


ツールを使う「前」には準備が必要


どんなに機能の優れたツールも、使う「前」の準備が整っていなければ真の力を発揮することができません。

それは「食洗機」と似ています。

食洗機は自動で食器洗いをしてくれますが、きちんと食器を並べて入れなければ洗い残しが出てしまいますし、油汚れがひどければ予洗いが必要になります。食洗機に洗わせる、その「前」に、食洗機が洗いやすいよう人間が準備することが必要です。


準備不要のツールなんてない(今のところ)


「自動食器洗い洗浄機なのに、先に人間が予洗いする必要があるのか」

事前の準備が必要と聞くと、期待を裏切られたような気がしてガッカリしてしまいます。しかし、よく考えてみるとどんなに高性能なツールも「使うためには何かしらの準備が必要」です。

ホットクックがあっても、材料を切って入れなければ料理はできない
ルンバがあっても、床が片付いていなければ掃除はできない

これは、業務用のツールに対しても同じことが言えます。

株式会社TECO Designグループの社会保険労務士法人TECO Consultingで代表社員を務める伊藤さんは、次のように語ります。

私たちはよく「洗濯機」にたとえます。

どんなに高性能な洗濯機も、床に脱ぎ散らかされた洗濯物を集めてはくれません。「洗濯」という仕事全体を効率化するには、洗濯機を買い替えるだけでは不十分で、洗濯機に入れる「前」の工程から改善しなければなりません。

これは業務も同じです。

たとえば「給与計算」の場合、どんなに自動計算がすぐれた給与計算ソフトを導入しても、勤怠がしっかり入力され、休暇等の申請承認がちゃんと終わっていなければ計算はできません。

業務になると皆さん、得てして「もっと高性能な洗濯機に替えよう」としがちです。しかし、ツールを入れ替えることよりもまず、その「前」の工程にフォーカスすることが大切です。

AIが進化し、ドラえもんのように人間と同等の動きができるロボットが誕生すれば話は別ですが、私たちの生きる現代においては、便利なツールを生かすためにはどうしても準備が必要なのです。


業務の全体がどう流れているのか、担当者でも意外と見えていない


業務は家事よりも工程が複雑なため、「前」の工程がどうなっているのか一見すると分かりづらいもの。

そこで必要なのが「業務全体の流れを見えるようにすること」だと伊藤さんは語ります。

実際に業務がどう流れているのか、担当者の方ですら頭の中で「無意識的に」つかんでいるだけで、目に見えて説明できる形になっていないことがほとんどです。

そこで、私たちはまずBYARDを使ってお客様の業務の流れを「可視化」します。

業務をカードとして書き出し、実際の手順に沿って並べ替え、矢印で結ぶ。そうすることではじめて「こんなにたくさんの業務を、こんな順番でやっていたんだ」ということが客観的に見えるようになります。

BYARDはシンプルな操作で業務プロセスを描けるので、設定や装飾などに気を取られず、業務を整理することのみに集中できます。

伊藤さんはBYARDを使い、打ち合わせでお客様から現在の業務についてヒアリングをしながら、その場でリアルタイムに業務プロセスを描いているそうです。


準備する手間 vs ツールによる効率化


「使う前に準備をしなければ、ツール導入の真の効果は得られない」となると、もう一つの課題が持ち上がります。それは、

「お金をかけてツールを入れても、準備の手間がかかるなら、最初から手作業でやった方が早くないか?」

という周囲からの意見です。

たしかに、食洗機に入れる前に予洗いをしなければならないと考えると「だったら最初から手洗いした方が早いのでは…」と考えてしまいがちです。

ここで思い出したいのは「ツールを導入することでしか得られない、新たな価値がある」ということです。

もともと手洗いで30分かかっていたとすれば、予洗いに10分かかったとしても差し引き20分、今までになかった時間が生まれます。その分、食後のコーヒーをゆっくり飲んだり、子どもと遊ぶ時間に充てることができます。これが「新たな価値」です。

また、食洗機は高温のお湯で洗浄するため食器がピカピカになりますし、節水により環境負荷も減らせます。これらも、手洗いでは絶対に得ることができない「新たな価値」です。

「社労士にとっても、単に業務を受託・代行するのではなく、業務プロセスの可視化をすることで得られる新たな価値がある」と伊藤さんは語ります。

従来の社労士事務所は、たとえば「ミスのない給与計算をする」というような『点』だけにフォーカスしがちでした。たしかに、これも一つの価値ではあります。

しかし、それだけではお客様の抱える課題を本当に解決することにはなりません。

まずは、業務プロセスの全体を可視化し、どこが改善できそうか洗い出すことが、真の課題解決につながると考えています。

これはお客様だけでなく、社労士にとってもメリットがあります。

給与計算であれば、その前に勤怠管理があり、さらに前には入社手続きが、さらにもう一つ前には採用活動があります。

このように業務の流れを洗い出していくことで、顧問として関与できる幅と深さが広がり、ひいては、社労士としての売上増加・事業拡大へつながります。

数年前に「将来AIにより淘汰される職業」が話題になりました。社労士もその例外ではなく、とくに若年層の社労士の中には、悩んでいる人たちも多くいます。

単なる作業の受託代行者ではなく、業務プロセスの全体を俯瞰し「お客様の真の課題」を解決できるコンサルティング・パートナーとなることが、これから社労士が生き残る道になるのではないかと考えています。

どんなに優れたツールを導入しても、それだけで課題が解決するわけではありません。

業務の生産性を上げるために本当に大切なことは、業務の全体を俯瞰し改善すべきボトルネックを見つけることです。この大切さを説き、世界的にベストセラーとなった書籍があります。それがザ・ゴールです。

本では、採算悪化に苦しむ工場を建て直そうと奮闘する、主人公のストーリーが描かれています。

社員は一生懸命に働き、最新型のロボットも導入しているのに一向に採算が改善しない、と苦しい状況を説明する主人公に対し、彼の師はこう投げかけます。

「ロボットを使って、工場の生産性は本当に上がったのかね」

この「ロボット」を洗濯機や食洗機、あるいは、業務で使っているツールに置き換えて考えてみると、業務改善に本当に必要なものが見えてくるかもしれません。

※ザ・ゴールについては、こちらのnote記事でも紹介しています👇


BYARDは、既存の業務をカードとして書き出し、並べ替えて整理することで、業務全体の流れ=業務プロセスを可視化することができます。

さらに、可視化した業務プロセス上でTodoを管理し、実際の業務を運用することまで可能です。

BYARDでは、ツールを導入いただいた後はカスタマーサクセスチームがお客様ごとに業務の整理や棚卸し、ストリームの構築や実業務への定着まで、しっかりと伴走させていただきます。

「業務が属人化してしまっている」
「改善を行いたいが、どう整理すればいいのか分からない」
「情報の共有や、業務の引継ぎで悩んでいる」

という方は、ぜひ以下のページよりご相談ください。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?