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プロレスにおける「技」と「バランス」の相関性

新人レスラーを指導する。その教え方は人それぞれ千差万別なはず。

とにかく体力をつけること重視だったり、受け身重視だったり。アメリカだったら基礎ムーブをサラリと終えたら徹底的にアピール指導にこだわったり。

もっとも、それらのどれもが必要なものではある。指導者によって、その比重と教える順番が異なったりはするのだが。オレの場合はどれをもバランスよくというか、一日の稽古が終わるころには結果的にすべてバランスよくこなしていた、という教え方をしている。例えば腕立て中に「楽しそうにやってみて」「悲しそうにやってみて」と注文を出してみることだってある。こうすれば基礎体力と表現の仕方を同時に稽古できてしまう。どれか一つに絞らないと新人は集中できない?そのとおり。そこが狙いなのだ。二つのことを同時にこなすには集中力とメンタル調節の技術が必要不可欠。しかし、そういうことが最後まで苦手なまま引退していく選手もけっこういる。なので新人のころからすべての複合ミックス作業を無意識にこなせる領域まで自分のものとさせていくのだ。

で、そうは言っても技術的なことも肝心である。しかしここで言う技術とはいわゆる「技」のことではない。オレは基本的に、技というものを教えない。プロレスが好きで好きで仕方がないなら、技なんて勝手に真似して覚えてしまうものだからである。

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