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ペーパージャケット/開発の裏側【#03 クリップの再発明】

バタフライボードの福島です。

現在、鋭意開発中の第8弾新製品をどんな想いでかたちにし、どうやって製品化を試みているのか、モノだけでは見えない「開発のプロセス」を少しづつですが共有させていただいています。

第3回目は「クリップの再発明」です。

第2回の偶然の発見で紹介した「新たなクリップ方式」の基本原理は、てこの原理と磁気特性を掛け合わせることで、電気を使わず磁力を制御します。

■既存クリップ方式の分類

バネ方式
素材のもつ弾性のみで挟むシンプルな構造。
複数枚を挟む場合、高い弾性力が必要となり開けにくくなる。
ex) ゼムクリップ、ガチャック、スライドレール等

バネ x てこの原理 方式
素材のもつ弾性をてこの原理を利用し軽く開く構造。
開く力を軽くすることが出来るが、複雑な構造物が必要になる。
ex) ダブルクリップ、目玉クリップ、Z式クリップ等

磁力方式
磁力のみで挟むシンプルな構造。
磁力は距離の2乗に反比例するため、複数枚を挟む場合、強い磁力が必要となり、少ない枚数の場合には開けにくくなる。
ex) マグネットクリップ等


既存クリップ方式の課題まとめ

バネの力を利用したクリップは、強い保持力を得るには素材弾性を高くする必要があり、強い保持力に比例してクリップを開く力も強くなるため、使い勝手が悪いという課題があります。

また、マグネットを利用したクリップは、磁力は距離の2乗に反比例する特性(クーロンの法則)を持つため、多くの紙を保持するためには磁力を強くする必要があり、紙が少ないときにクリップの開閉が困難になるという課題があります。


■新たなクリップ方式

既存のクリップ方式の課題をすべて解決する「磁力 x てこの原理 方式」

磁力 x てこの原理 方式 
てこの原理で磁力を制御する構造。
シンプルな構造且つ狭小で、少ない枚数でも複数枚でも、軽く開き、強く挟むことが可能。


■既存クリップと新クリップの性能比較

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性能も、見た目も、既存クリップを超えることができたと思います!


■クリップの歴史

「新たなクリップ方式」を開発するにあたり、現在でも主流である「てこの原理とバネ特性」を用いたクリップを調べました。

出典:米国特許商標庁(UNITED STATES PATENT AND TRADEMARK OFFICE)

特許番号US164657

PJ 写真加工用-14

なんと、米国で1875年(明治8年)に特許化され、146年前には既に存在していたことが分かりました。

ちなみに、日本の特許制度は1885年(明治18年)からです。


そして、どうしても手にしたいという思いで世界中を探しまくりUSのアンティークショップで発見。

購入しました!

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PACK & VANHORN, PAT'D JUNE 22. 75 と刻印もされています。


参考までに、ダブルクリップはこの特許の40年後の1915年に特許登録されていました。


■「挟む」から「綴じる」クリップへ。

これまでのクリップは、簡易的に「挟む」というイメージでしたが、新たなクリップ方式は、紙がズレにくく、邪魔な出っ張りなくフラットに固定できるので、本の製本のように「綴じる」ことと、用紙を簡単に「着脱」できることの両立を実現しました。


146年ぶりの進化を遂げた「Snap Binding® Clip 」を搭載した第8弾新製品はまもなく完成です!

バタフライボードの第8弾新製品『ペーパージャケット』はクラウドファンディング実施中!

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