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今になって知る"フォニックス"という英語発音学習方法のスゴさ

私は20年以上前に子供向けの英会話講師をしていたことがある。勤務先某有名英会話スクールで色々な教材を使って授業をしていたように記憶している。当時はスマホもiPhoneも、そしてBluetoothスピーカーも存在しない時代だったので、私は小さなラジカセと何本ものカセットテープ、そして多くの教材を大きなバッグに入れ、担当する各教室に電車を乗り継ぎ通ったものだ。私が担当していたのは幼稚園生から中学3年生までの生徒を教えるクラスで、一時は週6日間勤務をしていたけれど、平日は学校が終わった後の3時ぐらいから開始するクラスがほとんどだったのでそれほど拘束時間は長くは無かったけれど、とにかく持ち歩く教材の多さとその重さに辟易としていたが、生徒達の可愛さとその時間の豊かさが素晴らしく、英会話講師の仕事は今でも思い出深い仕事の一つだ。

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中学生クラスではほぼテキストに沿ったいわゆる学校で習う英語の授業の補講的な内容だったけれど、幼稚園から小学6年生までは歌ったり、踊ったり、ゲームをしたりしながら英語に慣れ親しみ、うまくいけば英語をポロポロっと話してもらえるような授業を行っていた。そんな授業の中、私は一生忘れることのない「フォニックス」という学習方法を使って生徒たちに英語の発音の基礎の基礎を教えていた。

フォニックスとは、『綴り字と発音との間に規則性を明示し、正しい読み方の学習を容易にさせる方法の一つである。』by ウィキペディア

つまり、「A」と言う文字は「エー」だが、単語になった時は「ア」という発音になる。授業ではまず「A」と大きく書かれたカードを子供たちに見せ、「ア、ア」と言った後、そのカードを裏返しリンゴの書かれた絵を見せながら、「アッポー」と大きな声で子供たちと発音をする、というのが一連の流れだ。これが「C」なら「ク、ク」と声に出し、カードを裏返し猫の絵を見せながら子供たちと共に「キャット!」と発音の練習をする。この「フォニックス」という学習方法を、私は何十回、何百回と子供たちと繰り返した。クラスが始まるとまずはフォニックスから始めるのだ。各クラス、1日に何度も、週に何度も同じフォニックスを繰り返し続けていた。子供たちはどんどんアルファベットと発音の方法を自然に吸収し、きれいな発音で単語を読み始める。私はその様子を見るたびに、またフォニックスを地道に続けていこうと思ったものだ。

そして最近、英語を話したいという友人に英語の発音を教えることがあったのだが、正直もう一体どやってこの英語の発音を説明し、教えていけばいいのか分からない。そして思った。「フォニックスから始めてほしい。。。」と。いや、本人には言えないでいるけれど、本当に今更ながらフォニックスの偉大さに気づいた。例えば友人は「Wood」を「ウッド」と発音する。カタカナにすると正しい発音に思えるが、「Wood」を英語で発音するならば、それは「ワォゥッド」だ。「ウ」からは決して始まらない。しかしそれがどしても発音できない。頼む、フォニックスから始めてみてほしい。それが一番の近道だ。「W」と書かれたカードを見せ「ワゥ、ワゥ」そして裏返し、「ウォーラー」と水が書かれた絵を見せて練習させたい欲求にかられた。

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最近英語の発音はもっと自由で良い、という文章を読んだ。アメリカ英語、イギリス英語、オーストラリア英語、日本人が話す英語、インド人が話す英語、それぞれ発音は違うし、どれが正しい英語の発音かは誰にも定義できないという理由らしい。そして私もそれに異論を唱えるつもりはない。が、だがしかし、ある程度の発音ができなければやはり英語は通じないのではないか?と思った。友人に何度か「Wood」の発音をしてもらったが、どうしても違う意味の言葉に聞こえてしまったのだ。「What」だったり、「Wand」だったり。こうなると会話も別の方向へ進んでしまいかねない。

私が英会話講師をしていた時、「フォニックスは本当に必要なのか?」という議論が世の中であったらしい。けれど私はあえて言いたい。「意外と必要で、とても偉大な学習方法だ」と。大人になっても遅くはない。これは基礎の基礎だ。友人にも機会を見てフォニックスの動画でも送ってみようか。また私が20数年ぶりにフォニックスを教えても良いかもしれない。それはそれでとてもワクワクする。



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