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国際送金にマイナンバーカードがなくて、海外で詰みかけた話(2024)

割引あり

この話は、実際に起こった国際送金に係る海外での悲劇である。

最終的に切り抜けた方法も記載しているので、同じ境遇の方は必見です。

海外で財布を落としたり、強盗・窃盗に遭って所持金が失ったり、困窮した場合、最後の頼りになるのが【生活保護】ではなく、【国際送金】です。

もし、あなたが、ストーカーに追われて身元を隠している、不義理なことをしてきて頼れる人が誰もいない、両親に先立たれ身内がいない、親族と断交している等の理由で送金してくれる人がいない場合、日本にある銀行の自分の貯金から送金しなければならないでしょう。

この記事では、読者の現在の境遇ごとに説明していきたいと思いますが、共通する国際送金の一般的なルールをまず解説します。

国際送金の一般的なルール

国際送金をするためには、①送金依頼人(以下「送金者」という。)の身元、②受取人との関係、③送金目的、④送金先情報を明らかにする必要があります。

なぜなら、日本には、金融機関等に薬物犯罪収益に関するマネー・ローンダリング情報の届出を義務づける「疑わしい取引の届出制度」があるからです。

① 基本的に、送金者は、国際送金に際し、煩雑な事前登録の手続きが求められます。このことは、受取人が送金者に国際送金を依頼する心理的なハードルになるでしょう。

② 送金元の金融機関は、送金者と受取人がどういう関係かを知りません。

受取人が送金者の近親者でない場合、その関係性を疎明する必要が出てくるかも知れないわけです。

たとえば、顧客や協力会社といったビジネス上の関係であったり、使用者と被用者といった雇用関係であれば、関係性を証明することもできますが、恋人や友人だと、その関係を示す法的な資料がありません。

③ 送金目的は、家計費のためであれば、100万円を超えるような高額の送金はしないと思うので、送金の支障になるような問題は生じないかと思います。
(ギャンブル目的の送金は断られることがあります。違法な取引は当然NG)

④ 送金先情報については、銀行に送金を依頼する場合、受取人が滞在国に銀行口座を持っていることが前提になりますが、資金移動業者に送金を依頼する場合は、必ずしも受取人が現地の銀行口座を所持している必要はありません。

ただ、銀行と同様、送金者は、国際送金の事前登録が求められます。

いずれにしても、自分以外の人に送金を依頼するのは、トラブルの種になりかねないので、なるべく避けるべきと言えるでしょう。

国際送金を頼める相手がいない場合

日本の銀行の口座に十分な残高があれば、VISA、MasterCard、JCBといった国際ブランドのデビットカードを使い、海外 ATMから預金を現地通貨で引き出すことができます。

また、クレジットカードを使い、海外キャッシングサービスを利用することもできるでしょう。

しかし、財布を紛失していた場合、カード類も失くしているかと思います。

そういった場合は、あなた自身が送金者となり、自分宛に国際送金する方法があります。

選択肢としては、日本の銀行か資金移動業者を送金元として利用します。
送金者は、基本的に国際送金の事前登録が求められます。

海外に長期滞在をしている者でもない限り、国際送金ができる事前手続きをしているとは思いませんし、その手続きは、日本にいるときにしかできないものが多いのが実情です。

国際送金・海外送金サービスとして定評があるSBIレミットの例を見てみましょう。

SBIレミット

⇨ ご利用手順(個人のお客さま)

1 会員登録(無料)

  • Step1 会員申込
     ↓

  • Step2 ウェルカムパッケージ
     ↓

  • Step3 初回ログイン
     ↓
    登録完了(翌営業日からご利用可能)

2 受取人登録

3 送金依頼

4 Reference Number(リファレンスナンバー)の発行

という流れのようです。 ※(注)2024年4月現在

受取人が現地に銀行口座を持っていない場合でも、マネーグラム社取扱店で現金受取できるのは、大きなメリットですね。

しかし、今回、問題となるのは、会員登録です。

ウェルカムパッケージの到着は、申し込みから1週間程度要するだけでなく、その受取りには、佐川急便「受取人確認サポート」による本人確認が必要となるため、海外にいながら、SBIレミットの国際送金・海外送金サービスを開始することができません。

別の方法を考える必要があります。
いくつかメジャーなサービスを紹介します。

セブン銀行海外送金サービス

セブン銀行海外送金サービス(Western Union)は、全国のセブンイレブンにあるATMへのアクセスのしやすさ、日本の金融機関が運営しているという信頼性といったことが特徴的な国際送金サービスです。

国際送金サービスの老舗であるWestern Union(ウエスタンユニオン)と提携していています。

なお、ATMやインターネットでの送金とは別に、フィリピン向けならアプリから送金ができる「フィリピン送金サービス with BDO Unibank」というサービスもあります。こちらは、若干ですが、為替レートが良いといえます。

海外送金アプリでは、送金レートの確認はもちろん、最長1年の過去のレートの推移を見たり、送金タイミングを逃さないよう設定した送金レートを通知する機能もあり、使い勝手が良い印象です。

しかし、いずれも海外の滞在国からサービスを利用することはできません。

理由は、以下の通りです。

※ 海外送金サービスのご利用には、セブン銀行口座の開設と海外送金サービスのご契約が必要です。
※ インターネットでの送金には、ダイレクトバンキングサービスのご利用開始登録が必要です。
※ セブン銀行海外送金サービスは、海外送金アプリではご利用いただけません。但し、為替レート機能など海外送金以外の機能はご利用いただけます。

海外送金(国際送金)サービス | セブン銀行

Wise(ワイズ)

2021年2月、旧社名 TransferWise(トランスファーワイズ)から現社名に変更した Wise(ワイズ)は、国際送金のフィンテック企業として最も有名な企業の一つ。

日本法人であるワイズ・ペイメンツ・ジャパン株式会社は、2023年3月、第一種資金移動業者の認可を取得したとのことで、100万円相当額を超える高額の資金の移動も法的には可能になったといえます。

Wiseの特徴は、手数料が低額であり、為替レートに隠れたコストの上乗せが無いこと。また、実店舗がないため、手続きは、オンラインで完結します。

Finance(金融)にTechnology(技術)を組み合わせた優位性といったところでしょうか。

ご利用手順を見てみましょう。⇨ 個人が日本から海外送金する方法

1 無料でアカウントを作成する
2 送金額を入力する
3 受取人の口座情報を入力する
4 本人確認をする
5 指定先の口座へ入金する
6 手続きは以上です

私は、実際に Wiseアプリをダウンロードし、海外からアカウント作成から実施してみたところ、いくつか問題があることに気づきました。

❶ 受取人は、滞在国に口座が必要

❷ 日本円の送金には、本人確認にマイナンバーカードが必要

❸ アプリを使うには、SMS認証ができる電話番号が必要


❶についてですが、Wiseデビットカードがあれば、海外のATMから現地通貨を引き出すことができます。しかし、本人確認後でないと、お申し込みできませんので、❷をクリアすることが前提になります。

マイナンバーカードがない場合の本人確認について

顔写真付き身分証明書とマイナンバー関連書類が必要となります。 受付可能なマイナンバー関連書類:マイナンバーカード(両面), マイナンバー通知カードもしくはマイナンバー(個人番号)が記載されている住民票(6か月以内発行のもの)

Wiseでの本人確認について

上記からは、運転免許証とマイナンバー(個人番号)が記載されている住民票があれば、マイナンバーカードがなくても問題ないように見えますが、実際にはうまくいきません。

なぜなら、マイナンバーが記載された住民票は、任意代理人(委任状をお持ちの方)へ直接交付することができません。代理人申請の場合、本人住所へ送付となります(住民票の住所地へ郵送されます)。

つまり、日本の住所に同居人がいない限り、マイナンバー関連書類として、住民票を使うことができないわけです。

当然、マイナンバー通知カードを海外に持参している人もいないでしょう。

ということは、SBIレミット同様、海外にいながら、Wiseの海外送金サービスを開始することができません。

ちなみに、日本円の送金には、住所確認も必要です。
有効な住所確認書類は、以下の通りです。

・公共料金の請求書:電気、ガス、電話(携帯電話の請求書は不可)
・テナントまたは賃貸借契約書
・銀行もしくはクレジットカードの取引明細書(実際の明細書の写真もしくはスキャン、またはPDF)
・地方税の通知書、イギリスの歳入税関庁(HMRC)からの通知書
・車両登録証もしくは納税通知書
・運転免許証(住所と有効期限が記載されているもの)
・他金融機関や政府機関発行の書類

Wiseでの住所確認について

Western Union(ウエスタンユニオン)

各都道府県に実店舗があるわけではありませんが、日本全国に日本の200以上の取扱店を有する国際送金サービスの巨人、Western Union(ウエスタンユニオン)。

Wiseが台頭する前までは、手軽な国際送金サービスの代名詞的存在でした。為替レートの点では Wiseに見劣りするものの、送金者や受取人に口座がなくても、送金者が現金・マイナンバーカード・現金を店舗に持参すれば、送金管理番号(MTCN)のやり取りにて、受取人は、海外にある多くの取扱店から現地通貨を受け取ることができる手軽さが強みです。

なお、店舗を使用しないオンライン送金では、Wiseに引けを取らない為替レートのようですが、法的免責条項と重要な情報に以下の記載がありました。

手数料、外貨換算レート、および税は、様々な要因によってブランド、チャネル、および店舗ごとに異なります

日本からの送金 | Western Union

国際送金のコストが非常に見えずらいというデメリットがあります。

私は、試しにWestern Union®アプリをダウンロードし、アカウントを作って送金手続きをしてみようとしましたが、本人確認書類のアップロードが求められました。

まずは、住所の証明にも役立つ運転免許証(パスポートでは住所証明ができない)を選び、写真撮影。

次に、マイナンバー通知カードやマイナンバーカード(裏面)、住民票の写真のアップロードが求められました。

YouTubeにアップロードされている動画には、マイナンバーカードの代わりに「マイナンバー入り住民票の写し(過去6か月以内に発行されたもの)」でも良いみたいなので、[Certificate of residence] を選択し、マイナンバー入り住民票の写し(過去6か月以内に発行されたもの)をアップロードする方法もあるのかも知れません。

日本の住所に同居人がいれば、マイナンバー入り住民票の写しを郵送で申請する手も残されてはいるようです。

それにしても、どこもかしこも国際送金に必要となるマイナンバーカード‥。
海外送金をするつもりも無かったので作っていなかった。

まさかここまで規制が厳しくなっていたとは・・。

結局、マイナンバーカードを持っている日本在住の誰かに国際送金を依頼しなければならないのか・・。

いや、きっとどこかにマイナンバーカードの提出を必要としない資金移動業者がいるはずだ。

そう思いながら、ネットで検索し続けたところ、以下の情報に辿り着いた。

法令改正により平成28年1月1日以降、資金移動業者は、顧客から海外送金の口座(アカウント)の開設等の申込を受ける際、または、口座(アカウント)を経由せずにその都度現金等で海外送金等の依頼を受ける際には、利用者より氏名、住所およびマイナンバーの申告を受け、本人確認とともにマイナンバーカード等の確認書類によるマイナンバーとの照合確認が義務付けられています(関係法令:国外送金調書法、マイナンバー法)。

一般社団法人日本資金決済業協会|Q&Aコーナー

「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」および「内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律」に基づき、2016年1月1日以降に日本において国際送金を行う際は、利用者が金融機関に対して、本人の個人番号(マイナンバー)を提出することを義務付けられました。

【再掲載】マイナンバー関係書類の提出のお願い | 海外送金はお得な手数料のSBIレミット 国際送金サービス

ここからは、少し法律の話をします。

マイナンバー法こと「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」及び国外送金調書法こと「内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律」には何が書かかれているのか。

マイナンバー法には、マイナンバーの利用範囲(同法9条4項)が、
国外送金調書法には、国外送金等をする者の告知書の提出等(同法3条)及び国外送金等調書の提出(同法4条)についての規定がありました。

要約すると、国際送金又は受領をするには、マイナンバーを提出する必要があるということです。

告知書をググってみたところ、北陸銀行のサイトに「外国送金依頼書兼告知書 ご記入例 (個人のお客さま用)」というフォーマットが見つかりました。

そこには、以下の3つの項目を確認する記載がありました。
①運転免許証など公的書類によるご本人確認
②ご職業、お取引の目的等の確認
③個人番号(マイナンバー)の確認・申告

つまり、資金移動業者にて送金者又は受取人の登録(本人確認)ができたとしても、送金の際には、マイナンバーの提出が必要になるということかと思われます。

これはダメかなと思った瞬間、まだ試してなかったことをやってみました。

結論から言います。
(すでに前置きが長すぎるけど)

無事、滞在国でお金を受け取れました!

どうやったかと言うと、ここからは、有料記事になります。
海外で無一文になって困っている方は、絶対に読んでください!

ちなみに大使館や総領事館といった在外公館は、お金を貸してくれません!

以下は、【大使館・総領事館ができること・できないこと】の冊子の挿絵です。

大使館・総領事館ができること・できないこと 外務省 海外安全ホームページ

最終的にどう切り抜けたか?

それは、

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