現場に混乱がおきないようなシステム導入の進め方
新しいシステムの導入は、現場からの不満を引き起こすことがあります。そんな状況を解決する1つの方法として「段階的なシステム導入」が良いとビジネスデザイン研究所は考えています。
今回は、システム導入の際によく見かける「システム導入担当者」と「現場の担当者」の間で起きる摩擦と、導入を成功させるためのヒントを事例をもとに紹介いたします。
具体的な事例
■R社の現状
R社の販売部門では、商品ごとに窓口が分かれており「パソコンの窓口はこちら」「食堂定期券の窓口はこちら」とそれぞれの窓口担当者が学生とコミュニケーションをとっていた。
学内にはサービスごとに窓口があるため、窓口が別々なのは問題ではなかったが、学生とのお金のやりとりは一本化したいと考えていた。
例)
1人の学生に対して返金がある場合
・パソコン窓口:3,000円の返金(仮)
・食堂の窓口 :2,000円の返金(仮)
それぞれの窓口で返金処理をしている
システムを使ってこの窓口を1つにできないだろうか?特に請求業務や返金処理は一本化して管理した方が、1度の手続きで済むためスムーズになる。学生へのサービス向上のためにも、色々な窓口へ行く煩わしさを減らせるのではないかと考えたからだ。
■現場の課題
現場の担当者に説明するといくつか課題が見つかった。
現場は慣れないことへの不安や新たな業務の負担を感じ、システム導入に消極的になっていた。
■課題解決のために
頭を悩ませた推進担当の山田さんは、システム開発を依頼しているベンダーに相談。その結果、一度にシステム導入するのではなく段階的に導入していくことにした。
実際に以下のように進めていった。
最初は慣れない業務に戸惑うこともあったが、システムのおかげで請求や返金などの業務がラクになることを現場担当者は実感していた。少しずつ慣れてくると「新しいシステムや業務フローも悪くないかも」という雰囲気が現場に出てきた。
今後進めていく予定ではあるが、現場の様子を見る限りでは前向きに進めていけそうだ。業務に慣れてシステムの便利さを理解した現場では、窓口の一元化に対して前向きな発言が増えている。
ポイント💡段階的な導入で成功体験を重ねる
事例にもあるように、現状を一気に変えようとすると現場からは不満の声が上がることがあります。今までの業務が変わることへの不安やシステムへの苦手意識から、現場と推進側で気持ちの差が生まれます。
段階を踏んだ推進計画を考えることもポイントです。
■成功体験を積んでいく
導入後に現場担当者が「やってよかった」と思えるような納得感を与えるために、明確な成果を現場へ共有することも大切です。
現場から「便利になった」「ラクになった」という声があがれば、次の推進の話ができるようになります。また、現場の方もシステムを導入するメリットが感じられると、その後は積極的に参加してくれるようになります。推進担当者と同じ方向を向いて進めていける人が社内に増えることにもつながります。
推進担当と現場との摩擦によりシステム導入時に頭を悩ませる方は多いです。現場の負担を減らし、導入メリットを実感してもらえるように段階的に導入することも大切です。
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