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社内システムをつくる前に知っておきたい業務整理のポイントとは?

社内システム導入後に「使いづらい」「業務の流れと合わない」という不満の声が出てくることはよくありますよね。これらの原因は、発注担当者やシステム会社が業務内容を十分に理解せずシステム導入を進めていることが考えられます。
このような失敗をなくすために「業務を再整理し、本来どうあるべきかを考えること」が大切だとビジネスデザイン研究所は考えています。
本記事では、事例とともに業務整理のポイントをご紹介いたします。


事例紹介


事例の要点
・食堂定期券の顧客管理システム
・複数店舗で利用する共通システムの発注時の課題
・各店舗の要望をどのようにまとめ、システムに落とし込んだのか

全国各地に飲食店を展開するY社は、定額サービス「食堂の定期券」を販売していた。(例えば、1日1,000円を上限として、好きなメニューを食べられるというもの)順調にサービス利用者も増え、利用者の管理のために「顧客管理システム」を導入しようとしていた。
システム導入は本社の管理部門にいる山田さんが担当者となり、各店舗の意見を取りまとめることとなった。

課題:全店舗の業務に合わせる難しさ
業務内容を調査し、業務フローをシステム化するために説明会を開いたとき各店舗から「その仕様では使えない」「うちは業務の流れが違う」「こういう機能がないと困る」と要望が出てきたのだ。店舗ごとに業務フローが違ったり、個別に設けた業務上のルールがあったのだ。
山田さんは店舗からの意見をまとめきれず頭を悩ませることとなった。

■解決策:業務フローのシンプル化
山田さんは業務フローがまとまらず、システム開発を依頼する会社に相談することに。
「各店舗がそれぞれ独自のルールがあって、どうやって業務を整理していいか困っています。システムの要件も考え出したら複雑になってきて…どうすればいいのでしょう……」山田さんは全店舗から提出された要望をシステム開発の発注先の担当者へ伝えた。
システム開発会社の担当は「本来の業務の流れを整理して、シンプルな1本の業務フローをつくりましょう」と山田さんに提案した。
そして、どうしても考慮しなければならない業務があった場合は、シンプルな業務フローを考えたあとに、どうしても考慮が必要なものだけ追加していく、という順で考えることで業務が整理しやすくなった。
たとえば、今回の場合は定期券申込み時に規約に記載されたルールがあった。規約で同意している以上、考慮しなければ業務ができないためシステムで考慮する必要があると判断できたのだ。

こうして山田さんは、全店舗で使える共通システムを発注し、全店舗への導入に成功した。

ポイント💡
業務を分解して整理する3ステップ


事例から「業務を分解して整理するためのポイント」を読み解いていきます。システム発注前に業務整理することの大切さは、知っている人もいると思います。しかし実際にやってみると、どこからどこまでが業務の区切りなのかわからなくなってしまいます。その原因は、慣れ親しんだ業務フローを客観的に見て整理することが難しいからです。そこで、ビジネスデザイン研究所では業務整理の3つのステップを考えました。

1.本来の業務の流れを考える

はじめに、一般的な流れに置き換えて考えます。ポイントは「まずシンプルな一本道にする」ことです。

例:一般的な商的な取引の流れ
見積 → 注文 → 納品 → 検収 → 請求 → 支払

例えば、お得意先には融通を利かせて上記のフローになっていない場合もあるかもしれません。そのせいで複雑な業務ルールができていることもあります。そのような独自の業務ルールは、一度「一般的な流れ」を考えるのです。本来のあるべき姿と照らし合わせることで、独自ルールが浮き彫りになります。こうして本来の業務の流れを再度確認し、システム化するフローを作ります。

2.よくある例外を組み込む

本来の業務の流れにはない部分だが、よく発生するパターンはオプション的に組み込みます。今回の事例であった「定期券申込み時の規約に記載されたルール」がこれに当たります。
1店舗だけの特例ではあるものの、頻繁に発生するものはシステムに組み込む方が効率が良いです。
とは言え全ての現場の意見を反映させると、使いづらいシステムになってしまいます。業務フローをきちんと精査して、組み込むべきか正しく判断できると良いですね。システム会社との打合せを重ねて取捨選択を見極めてください。

3.アジャイル開発の活用

口頭や説明会の資料だけで現場へ伝えても、システムの使用感は実感できません。(システム導入後に揉める原因の一つです)可能であれば、アジャイル開発で進めてもらい現場に実際に使ってもらうことも視野に入れてもいいでしょう。

※ アジャイル開発とは
ソフトウェアやシステム開発の開発手法の1つ。
「計画→設計→実装→テスト」といった開発工程を小さな部分にわけ、短いサイクルで作る方法。変化に素早く対応でき、クライアントの要望に応じてスピーディに修正できる。「変化する」ことが前提で進められているため仕様変更に強いのが特徴です。

この3ステップで進めていくことで、システム導入後に起きる問題は防げるとビジネスデザイン研究所は考えています。
まずは「業務を整理して、本来の流れを確認する」ことを徹底する。そして、システム発注担当者と現場との意見を揃えて、できるだけシンプルな1本道をつくることが失敗しない秘訣です。

ポイントは「業務を整理して本来の流れを確認する」こと

ビジネスデザイン研究所は、企業の成長と継続のためのヒントとなる情報を発信しています。

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