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なぜ優秀な実務家ほど教えるのが下手なのか。

本日はEラーニングの収録。ほぼ1日、喋りっぱなし。さすがに疲れました(笑)

私の研修プログラムがオンデマンドでWEB受講できる。来月にはリリースできる予定です。ぜひ楽しみにしていてください。

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で、本題はここから。

収録のカメラをご担当いただいた方がこんなことをおっしゃっていました。


「これまで数字やデータの研修をする先生の話はたくさん聴いてきましたけど、(深沢先生のやり方)はすごくわかりやすいですね。全然違います」


ありがとうございます。きっと褒めていただいたのだと思います。この方にどうお返事したかも踏まえて、今回はこのテーマについて独り言を綴ります。ご興味ある方は引き続き読み進めてみてください。


いわゆる実務家と教育家はまったく違います。例えるなら車掌と運転手くらい違います。料理人とホールスタッフくらい違います。サッカーと野球くらい違います。監督とGM(ゼネラルマネジャー)くらい違います。 ・・・いい例えが思いつきません。

データサイエンティスト。会計士。税理士。経営コンサルタント。。。 彼らは実務家です。データ分析、会計、税務、経営のアドヴァイス、が本業です。その仕事の質が高ければ評価される職業です。

しかし教育家は違います。実務はやりません。上述のような優秀な実務家がしていることを、それをしていない人、それができない人に、どうすればできるようになるかを伝え、かつそれができるようにさせる専門家なのです。


重要なことを2つ。

①両者は違うだけであって優劣は存在しないこと
②ゆえに一方は一方をリスペクトすべきであり、決してバカにしてはいけない

私のような教育者は、実務家の皆様をバカにはしません。(中には一部そういう人もいるのかもしれませんが…) 実務家の皆様が素晴らしい仕事をしているから、それに憧れたり影響を受ける人がいる。その人が自分もそうなりたいと願う。だから学ぼうとする。だから教育家の仕事が存在する。そう思っているからです。

例えばわかりやすい話。数字に強いビジネスパーソンは成果を出しやすい。みんなそれを知っている。欠乏感を抱いたり、憧れたりする。自分も数字に強くなりたいなと願う。だから学ぼうとしたり、成長や変化を求める。だから深沢の書籍は売れる。だから深沢の研修には人が集まる。だから深沢に講師を依頼する企業がある。私は「数字に強いビジネスパーソン」を優れた実務家として尊敬し、感謝してもいるのです。嘘ではありません。

ところが逆はどうだろうか。

ここから述べることはあくまで私の主観である。気を悪くした方がいたら(先に)謝ります。申し訳ありません。でも、私が感じることがある。それはこうだ。


残念なことに、実務家は教育家をバカにする。


根拠を述べます。

実務家はその仕事のスペシャリストである。優秀でそのテーマに関しては誰よりも精通している。そんな実務家の方が、いとも簡単にこんなことを言う。

「俺も教えよっかな」
「俺も企業研修とか大学の講義とかやりてーな」

自分ができるのだから、それをできない人に教えることも余裕でできる。そう思っているからこんな軽い発言ができる。「教える」ということがどれだけ難しく専門的な技術を要する仕事か、想像すらできない実務家たち。申し訳ないけれど、バカにしているとしか思えない。教える仕事は、そんな簡単なものじゃないんです。

私はビジネス書もたくさん書く。その多くは数字や論理思考に苦手意識を持つ学生やビジネスパーソンに向けた超入門書だ。そんな拙著にはAmazonレビューなどで低評価がつくことがたくさんある。そのコメントを見ると「当たり前すぎる内容」「こんなレベルの本で満足しているビジネスパーソンがいることに愕然」といった内容のものだ。そんなコメントのニュアンスから私はすぐに気づく。こういうレビューをする(こういうレビューしかできない)人はだいたいその分野のことが得意な方、優秀な実務家だ。ちょっと残念に思う。レビューの低評価が残念なのではなく、超入門書をバカにすることが残念なのだ。なぜなら、それをバカにするということはそれを読んで勉強する人々をバカにしていることと同義だから。断言しますが、「わからない人にわかるように伝える」なんてことは絶対にできない人種です。

実務家はピラミッドでいえば頂点(てっぺん)にいる人です。そんな人がそのピラミッドのいちばん底辺にまで降りてきて、わかりやすく噛み砕き、丁寧に愛を持って伝え、実際にできるようにさせる。生半可な人間力ではできません。これが優秀な実務家ほど教えることが下手な理由。これが優秀な実務家ほど教える仕事に就いた時に想像とのあまりのギャップに愕然とする理由。

繰り返しですが、これは優劣ではありません。「違う」ということを理解しなければダメよって話。間違っても「スペシャリストの俺なら誰にでも簡単に教えられる」「スペシャリストの俺の話なら誰でもちゃんと聞いてくれる」なんて思わないことです。間違っても。

実務家の皆様は、実務を頑張ってください。それが世の中のためです。それでも、どうしても、何がなんでも、自分の持っているスキルや経験値を「下」の人に伝えたい、教えたいと思う揺るがない信念があるのなら、ぜひ私のいる教育者の世界にチャレンジしてみてください。ピラミッドの頂点にいるあなたが底辺まで降りてくる覚悟があるのなら、大歓迎です。

今日、Eラーニングの収録中に言われた言葉。

「これまで数字やデータの研修をする先生の話はたくさん聴いてきましたけど、(深沢先生のやり方)はすごくわかりやすいですね。全然違います」

これに私はこう答えています。

「全然違うでしょ? 全然違う仕事ですから」


最後にPRを少しだけ。

数字に強いデータサイエンティスト。会計士。税理士。経営コンサルタントの皆さん。実務を頑張ってください。もし、それでもどうしても教える仕事もやってみたいのであれば、私の講座にお運びください。専門家としてのプライドをいちど捨て、まったく違う仕事を覚える覚悟を持って。

私は育成のプロフェッショナルです。あなたは実務のプロフェッショナルでしょう。プロフェッショナル同士、互いをリスペクトし、足りないことやできないことは素直に認めて、それを補い合える関係を構築したいものです。少なくとも私はそう思っています。

次回は8月を予定。待っています。


ビジネス数学インストラクター養成講座 第8期〜第9期



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最後までお読みいただきありがとうございました。
国内でただひとり、ビジネス数学教育家。ビジネスパーソンのための数学教育を提唱し企業人の育成に貢献。研修。講演。授業。面談。ゼミ。作家。講師育成。。。いろいろやっています。


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