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「世界観をつくる「感性×知性」の仕事術」

【世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?経営における「アート」と「サイエンス」】

の山口周さんに非常に感銘を受け、私も組織運営にその考えを取り込ませてもらった。アートというのはつまりセンスを取り入れた感覚的な経営の肯定と私は自分に都合よく解釈している。そんな山口周さんと「くまもん」のデザインなどで有名なクリエイティブ・ディレクターの水野学さんの対談本である。


まず、私は「世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?」の以前に、ダニエル・ピンクの【ハイコンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代】

という本を読んでとても感激し、デザインやコンセプトの時代が到来するということを自身の仕事の軸に据えてきている。様々な本を読んでくる中で様々な出会いがある中でその考えに肉付けはあったものの今でもベースの考えになっている。


さて、前置きが長くなったが、この本はそのタイトルの通り、“世界観”をつくることの重要性を様々な事例を基に対談形式で進めていってくれる。この対談形式のもう一つのキーワードは「役に立つ」「意味がある」が対比となり進められる。役に立つというのは「正解」があってそれをソリューションしてくれるモノで、意味があるというのは「問題」があってアジェンダに向かうモノというような表現になっている。意味があるというものを表現する方法として「ブランディング=世界観のつくりかた」が語られている。


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役にたつという論点においてはまさに自動車業界がそこに立っていて、TOYOTAはモビリティカンパニーを目指すと宣言しているが、自動車をつくるメーカー、役に立つモノ作りから移動を通したサービス全般を提供する会社という意味があるというところにシフトする宣言でもあるわけだ。


本の中ではホテルも例に取っていたが、ニューヨークのモーガンズニューヨーク(MORGANS NEW YORK)のような新たな価値の提案をしたブティックホテルはその「意味がある」をデザインで提示している。この潮流はもちろん日本のホテル業界のトレンドにも入り込んできている。


世界観によってブランドをつくりあげた企業としてAppleも挙げられている。同社が1987年に発表した「Knowledge Navigator」というショートフィルムでは、近未来においてコンピューターがどのように人々の知的活動を支援するようになっているかという構想が提示されている。そこにはネットワークでつながったデータベース、タブレット端末、タッチパネルでの入力といった現代に近い世界観が表現されていた。


本書で強調されているのは、Appleが行ったことが未来の「予測」ではなく、「構想=ビジョン」の提示だったこと。そして、テキストではなくショートフィルムという表現方法を選ぶことで、当時としてはまったく新しかった世界観を誤解なく、効率的に多くの人に伝えることができたことだ。


役に立つが過剰となり、問題が希少化しつつある(気づかれにくくなっている)現代においては、まず「世界観を構想する」ことが非常に重要だと考えている。そして、その世界観を通し共感を得るためにはアートやデザインなどの視覚表現が極めて重要な手段になるということだ。


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現代の社会で求められる企業となるためにはどの企業においてもクリエイティブ・ディレクターたる感性が必要でデザインは時に経営そのもののにも関わるべきで経営の川上に位置させるべき、そしてそのジャッジをするにおいてもアートをベースとしたインプットが非常に重要になる。映画を観て、街を歩き、本を読み、アート作品に触れ、演劇やライブに足を運ぶ。インプットの量に徹底的にこだわってみるべきであると書かれている。


経営者が読んでも、会社員が読んでもどの視点から読んでも参考になる一冊だと感じている。



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