【帰郷】 旅する日本語 六月柿 ロクガツガキバラキ3
「去年よりとおくにとぶかな」
メイは畑に横たわる木を組んだベンチに座り、空に語りかける
「おねえちゃん、またとうきょうへかえらなきゃ。学校がはじまるの」
とうもろこしを口いっぱいに、空に語りかける
ロクガツガキバラキの人形を抱っこしながら
ジューシーなトマトをかじり、中の果汁を吸う
五月の名をもらったふたりはトマトを六月柿と呼ぶことを好んだ
妹みたい、メイはそういって喜んだものだ
口の中でトマトの種を選別し、空へ飛ばす
「とおくまで飛んでけ!お姉ちゃんのいるところまで!」
「こらっ!種もちゃんと食べなさい!」
「あ、お姉ちゃん!ごめんなさい」
姉がお手洗いから帰ってきた
「トマ汁ぶしゃー」
「こら、メイ!汚い!」
明日は東京へ帰る
だって、また来年も夏が来ることを知っているもの
本日も【スナック・クリオネ】にお越しいただいき、ありがとうございます。 席料、乾き物、氷、水道水、全て有料でございます(うふふッ) またのご来店、お待ちしております。