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【願い】 feat. クルクル☆カッピー

オール全部全てフィクションです
わたしのイメージするカッピーさんを主人公にした物語

あなたはまな板の上の鯉、クリオネクリスマス第二弾!
クルクル☆カッピーさん、ご参加ありがとうございます!
毎朝の爆笑をありがとうございます!


勝昌(仮名。カッピー氏。勝手に名付けましたが、本名だったらごめんなさい)は深く悩んでいた

先日妻と出掛けたスーパーマーケットで掘り出し物を物色していたところ、とんでもないものを掘り出してしまったのだ

【あなたがビックリマンのキラキラシールに!】

参加条件としては、一箱40個入りのスペシャルボックスを購入し、同封されたシリアルナンバーと、ビックリマンへの愛を綴って応募するというもの

苦悩していた

安い買い物ではない

この一箱を買わなければ、いったいどれだけの豪華な夕食とお酒が楽しめるのだろうか

そんな現実☆カッピーの横で、夢をみるにはお金だってかかるのよと耳元で囁く夢見る☆カッピーがいる

そして1番最初の壁は、妻がこの買い物を許してくれるのかということ

IQ140の頭脳を持ってしてもいい解答を導き出せない

立ちくらみがしてきた

空気が薄いのではないか、そんなことを思うほどに苦しい

視野狭窄の中、遠くに宝くじ売り場が見えた

インスタントくじを急いで買い、銀を削る、爪から血が出ているようだが、削った銀すら、キラキラシールに見えてきていた、削る、削る、1万円、勝昌は最初の壁を自力で乗り越え、本日の買い物を全てポケットマネーで支払うことを条件に夢を一箱買った

1ヶ月後、ロッテ社からメールが届いた

インタビューに来てくださいとのことである

当日の服装などを参考にシールを作ります、そこにはそうあった

さらなる悩みに囚われた

一生に一度のチャンスであろう

わたしはどんなシールになりたいのだ

冷蔵庫に駆け寄り、キリンの缶を開ける、ギュッと、飲み干す、どうすればいい、どうすればいい、空になった缶を潰して、リサイクルの袋に、丁寧に、入れる、まだ酔っていない、鬼ころしを手にして、口に含む、米の味がした、でも味わうよりも優先すべきことがある、キラキラのシールになった自分を思い描けない、震えた、自分はなんなのだ、どんなキラキラシールになりたくて応募したのだ、涙が出た、自分はキラキラシールにふさわしいほどキラキラしていない、輝きが足りない、カガヤキガタリナイ、カガヤキガタリナイ、ふと棚に目をやる、目に入るはボジョレーヌーボー、コルクをこじ開ける、開かない、焦る、コルクをつまみ出せない、コルク抜きだ、コルク抜きがなくてはならない、このキッチンでコルク抜きはどこにしまってあるのか、思い出せない、仕方なく勝昌は引き出しにあったコルク抜きを使って器用にコルクを抜きながらどこにコルク抜きをしまったのかを必死に思い出そうとした。うまくコルクを抜き、ワイングラスに注ぐ、いまだにコルク抜きの場所を思い出せない、でも今大事なのはワインを飲むことではなく、コルク抜きをどこにしまったのか、に変わっている、心も涙を流していた、キラキラと輝くどころか、コルク抜きの場所すら、思い出せない、ソファーに腰をかけた、沈む、腰が、グラスの赤いワインも宙をずれる、空気に渋いタンニンを感じて、酔いを感じた、葡萄の果実味を口いっぱいに、目を閉じた、勝昌は目を閉じた、片目ずつ、ゆっくりと、そしてそのすべての瞳を閉じた時、鼻腔をくすぐりながら声が出た、自分が笑顔になっていること、グラスに映る自分が教えてくれた、気付いたら、本当の自分も笑ってた


勝昌は空に浮かび、ブルゴーニュの南に広がる、決して広くはないガメイの畑をみていた
葉について生きるカタツムリを愛で、ほとりの川のカエルを愛で、暖かな陽を浴びた
家の中から香ばしいバターの香りがすることに気付く
妻の焼いたパンと牛のソテー、グラスには並々と注がれたガメイのワイン
薄いガーネットの向こうに愛する姿をみる
レコードに針を落とし、歌が流れる
人形のような格好をした人たちの奏でる音楽、勝昌はその中で、キラキラシールになった自分を見た



面接を迎えた

通路に置かれた椅子に何人かの面接を受けるのであろう人々が座っていた

皆が胸に名前とナンバーの書かれたシールを貼っている

自分以上にキラキラシールにふさわしいものはいないように思えた

名を呼ばれる

部屋に入り、面接官の声を待たずに椅子に腰掛け、脚を組む

色の深いサングラスからみる面接官たちはいったい自分の何を理解できるのだろうか、そう思うと笑いが出た。

面接官が声を発した

「えっと、矢野勝昌さんでよろしいですか?」

「Gacktです」

勝昌はボソリと呟く

「え?すいません、矢野さ」

「Gacktです。Gackt・Cです」

「あ、Gacktさんというニックネームでシールになりたいということですね。わかりました。Gacktさんの衣装を着た勝昌さんということでいいですか?」

「Gacktです」

「かしこまりました。では先程のCはどういった意味が?」

「カッピー」

「は?」

「カッピー。クルクル☆カッピーです」

勝昌は少し焦り始めていた。全くウケていないし、面接官がのってこない。

企画のわりに堅いな、ほぐすか

第二の作戦に出ることにした

とっておきだ

これで心動かないやつなどいない


「歌います」

「え?」

立ち上がり、地下アイドルのように、歌う


いいかげんにNASAって 
作詞・作曲 クルクル☆カッピー

おはなし したいな ひみつの お部屋で
マンモス うれぴい 真夏の 恋ばな

女の子は 夢を見るいきものよ
あなたの夢を 聞かされるのは あきあきよ

いいかげんにNASAって 忘れさせてだまって
オクラホマの場所って もっと北の方って
ホントウハ カッピー


おむすび コニシキ 炊きたて ご飯で
米粒 ついてる 頬紅 梅干し

泣いてる 岡星 うなだれ 山岡

(ホントウハ カッピー)


マサカリ 片手に ママチャリ 片手に
忘れて 思い出 真夏の 二人の

男の子は 夢に酔ういきものね
あなたの夢を 聞かされるのは あきあきよ

いいかげんにNASAって 別れるのはいやって
少しくらいだまって おしとやかに去るって
ホントウハ カッピー
いいかげんにNASAって 酒のトモはモロって
明日からはやるって きもちばかりはやって
ホントウハ カッピー  カッピー  アキラカニ カッピー



部屋から出た

おそらくわたしはシールになれないのだろう

それでも清々しいきもちであった

本音をぶつけることができたと思う


ついた時には気づかなかったが、綺麗なインテリアのビルである

花や観葉植物がセンスよく配置されている

静かな、和楽器の曲が心地よい音量で流れている

楽しい思い出にはなった

通路を歩いていると前から学ランと下駄の男が酒瓶を片手に歩いてきた

不思議な格好で来る人もいるんだな、そう思った

名札は見えなかったが、なんとなく彼がキラキラシールになるんじゃないかって気がした





ひとりで遊園地へ訪れる

考え事があるとふらり立ち寄る場所だ

切符を買いこみ、コーヒーカップのアトラクションに乗る

何周分も切符は渡してある

ハンドルを回すとより早くまわるのだが、勝昌は腕を組み、背筋を伸ばして座する

まわる 世界

それでもカップ状の乗り物が渦を巻いて空に浮かび上がるのを必死に両足で押さえた

まわる まわる

目の前の景色がまわる 回っているのはカップとその土台だけなのに?

回る静止画のような自分を感じ、ふと笑みがこぼれた




帰りにスーパーで寿司を買った


そして、noteを書いた





【おしまい】


P.S. 

このホタテのお寿司をみて、なぜだか元気をもらいました。

あれからわたしはホタテ断ちをしていて、今年の仕事が終わるまでホタテ断ちを続ける予定です。

最高のホタテを食べるために、いかなるホタテの機会にも「NOT  NOW!」を貫いてまいりました。

ホタテまで、あと少しです。





本日も【スナック・クリオネ】にお越しいただいき、ありがとうございます。 席料、乾き物、氷、水道水、全て有料でございます(うふふッ) またのご来店、お待ちしております。