文枝の小噺

桂 文枝  落語家 大阪府出身

文枝の小噺

桂 文枝  落語家 大阪府出身

最近の記事

小噺「コロナ、フグカニ合戦」

カニ 「やい、フグ、元気ないなぁ、大きなづぼらやの看板も外れたし、このコロナでえらい値段がどーんと落ち込んで、ふん今まで偉そうにしてたぱちじゃ」 フグ 「くー、くやしい、くやしい、うううー」 カニ 「おいフグ、お前はフグ泣くな、同情引いても無駄やで、大阪の冬のフグの消費量は抜群に他を抜いてた、ご馳走というと、フグや、ふぐなべや、鯛があるのに、無分別いうて、王者を誇ってたけど、自粛になったら、コロナで宴会自粛となると、フグの落ち込みは激しい、安いなあ、今年のフグは、宴会

    • 小噺「郷土の祭りをどう守る?」

      秋田県、郷土文化振興会会長:影山 「みんな、無形文化遺産に登録されたナマハゲやけど、なんとか、このコロナの中で厳しいが、地域のつながりを再確認する場所だっぺ、どんな形であっても、続けてえぇ」 会員:吉田 「会長、気持ちはわかりますが、泣く子はいねぇが、悪い子はいねえが、いうてまわっても、ほとんど子供は、いなくて、高齢者ばかりです、感染すれば重篤の危険がありますからね」 会長 「中止の地区もたくさんいる、ただ子供がいるところにもいる、その子供たちに、この伝統を伝えたい」

      • 小噺「よく売れてるおせち料理」

        レストラン、雅:親方 「みんな今年は、コロナの関係で故郷に帰らずうちにいる人が多いから 正月、おせち料理を食べる人が多い、いいなおせちを家で作るとなると大変 と言っておせちを食べるのはせいぜい3日間三日間で食べきれるおせち料理の少なくともみんなが選べるように50種類は作りたい家族数、おせちに使うお金を考えて和風、中華、イタリアン、洋風、フランス料理いろいろバリエーションを考えて作ってくれ」 料理長 「みんなで考えて、やっておりますが、完成が年越そうです」 おわり #

        • 小噺「コロナ相談室」

          コロナ相談室:室長 「もしもし、お困りのことは」 相談者 「はい、コロナになって、家庭崩壊の危機を迎えております」 室長 「そうですか?そういう相談が多いのです。コロナでご主人が仕事を失ったとか」 相談者 「いえ、仕事は忙しいみたいなんです。忙しくて、忙しくてコロナのおかげで」 室長 「だったらいいじゃないですか」 相談者 「それがいいことないんです」 室長 「どうしてですか?」 相談者 「他人の相談に乗ってばっかりで、自分の家庭は全く顧みないんです」 室

        小噺「コロナ、フグカニ合戦」

          小噺「乗車拒否」

          ナニワ乗っ天下タクシー社長 「コロナ感染の拡大に伴い、またドライバーの皆さんの命を守る為に、 マスクをしていない客は乗車拒否するように」 運転手:駒沢 「拒否していいんですね」 社長 「もちろん、ビシッと、毅然たる態度で持って、拒否してください」 事務員:馬越 「社長、お客様が怒って社長を出せと電話が」 社長 「わかりました、こちらに回して、もしもし」 客 「おいこら、あんたとこの駒沢いう運転手にマスクしてないと、乗車拒否されたんや、ええ加減にしいや」 社長

          小噺「乗車拒否」

          小噺「トーストに合うのは」

          王 巣珍 「みんな見たあるか小豆を固めてスライスしたつまり、コロナでまた自粛が始まったパンの売れ行きいいあるねチーズのスライスのような羊羹のような小豆シートがめっちゃ、売れてるあるよだからトーストに挟む 中華料理 をなんとかパンに挟むものを薄いシートにしたい」 コック:張年点 「八宝菜を細長いバットに入れて固めて薄くきって、シートにした八宝菜トーストは?」 王 「八宝菜?うーん何にしても難しいあるね八方塞がりだよ」 おわり #桂文枝 #吉本自宅劇場 #小噺 #創作

          小噺「トーストに合うのは」

          小噺「おうちレストラン」

          レストラン「はなやぎ」主人 「とにかく、店に客が来なくなったからには、こちらから出て行くことにした」 従業員:河瀬 「どこにいきまんねん」 主人 「出張料理や。娘にネットで宣伝を出してもらった。店の食器とか、料理の道具、包丁とかを車に積んで、一応三人づつグループで1家族5千円で、向こうの冷蔵庫にあるもので、一応肉と魚を少し持っていって、家でレストランの料理を味わってもらう。どんなキッチンか、出たとこ勝負やから頼むて、とりあえず申し込みのあった大林家に行くぞ、河瀬運転し

          小噺「おうちレストラン」

          小噺「心配」

          ひろし(3歳) 「ママ、今年はコロナで、サンタは来てくれるのかなぁ」 ママ 「ひろしがいい子にしていたら、必ずきてくれるわよ」 ひろし 「ほんと、三輪車、プレゼントしてくれるかな?」 ママ 「いい子にしていたら、歯磨きを忘れない、お風呂に毎日入る、ママやパパとの約束をちゃんと守ってくれたら、必ず来てくれるわよ」 ひろし 「でも、もしもコロナの検査で陽性になったら、日本には入れないんじゃないのかなぁ」 ママ 「大丈夫」 ひろし 「どうして?」 ママ 「サンタさ

          小噺「心配」

          小噺「看護師不足」

          妻:かなえ 「あなた、大阪は特に看護師不足みたいだから、私、結婚してやめていたけれど、なんとか、看護師に復帰して、世のため人のために立ちたいのよ」 夫、和夫 「待て、気持ちはわかるけど、お前、75歳やで、注射も打たれへんやろ、やめてから、随分たつのに」 かなえ 「あなた、看護師の仕事は、注射を打つことだけと違うの、とにかく手が足りないんだから、私にできることも必ずあるはず昔取った杵柄で頑張るお国のために志願するつもり」 和夫 「アホそれよりわしの病気の面倒を看てくれ

          小噺「看護師不足」

          小噺「コロナ禍で増えているものとは」

          息子 「お父さん、久しぶり、元気か?」 父 「元気にしてるけど、あんた誰よ?」 息子 「冗談言うてもろたら困るわ。息子の進やがな」 父 「そやそや、とにかく年寄りは外へ出たいかんいわれて、どっこにも、出えへんし誰とも会えへんからなんかどんどんぼけてきた気がすんねん」 息子 「そんな人多いね、時々帰るから、ボケたらあかんで」 父 「わかった」 息子 「ただいまー」 父 「おう、真一、どうやった?隣に寄ったってくれたか」 息子 「寄ってきた、はじめ名前忘れてた

          小噺「コロナ禍で増えているものとは」

          小噺「華麗なる転職」

          乾物屋『宗元』大将:花菱幸太郎 「幸一、もう乾物屋の時代やない、何でもかんでも、スーパーで揃うからな、わざわざ乾物屋で買わなくても、ええからな」 息子:幸一 「ええっ、や、や、やめる?乾物一筋できてるのに何をやるんです?」 幸太郎 「眼鏡屋や」 幸一 「なに!メガネ、全然違う事できるのか?」 幸太郎 「いま、テレワークが増えて、みんなパソコンと向かい合ってる、目が悪くなってるらしい。特にパソコンから発するブルーライトをカットするメガネが売れてるらしい。メガネのお

          小噺「華麗なる転職」

          小噺「就職戦線異状あり」

          十三建設:影山人事部長 「えー、中川志奈子さんですね」 中川 「はい」 影山 「クラブはソフトボール部でキャプテンを務められたんですか?」 中川 「はい」 影山 「ポジションは?」 中川 「ピッチャーです。速球が売りでしたが、ほとんど試合はやっておりません」 影山 「今年頑張ったことは」 中川 「ほとんど外に出なかったので」 影山 「大学時代1番の思い出は?」 中川 「コロナでほとんど学校に行けなかったことです」 おわり #桂文枝 #吉本自宅劇場 #

          小噺「就職戦線異状あり」

          小噺「売れて、売れて、カラダがもちません」

          糸山もち店:息子 「お父さん、最近えらいおもちが売れるんですよ」 父 「なんかなあ、不思議やのう」 息子 「家におる機会が多なったし、ごはんは炊かないとあかんけど、もちはチンするだけで、ご飯一杯分は十分あるから、腹持ちがいいんですよ」 父 「ほんまに、それをテレビでやったもんやから、売れて売れて、日持ちがするからなぁ、この商店街で売れて、儲かってて忙しいのはうちだけやで」 息子 「絶対に商店川あの人には儲かってるてなこと言ったらあきませんで、いやいや、ぼちぼちやが

          小噺「売れて、売れて、カラダがもちません」

          小噺「売れ行き絶好調」

          スーパー、田辺:社長 「おーい、販売部長、健一」 販売部長 「何ですか?お父さん」 社長 「いま、新聞で見たんやけど、麦芽飲料 『ミロ』がめちゃくちゃ売れて売れて、昨年の7倍か、供給が追いつかない状態で、発売元が休止したそうやが、愛飲者のSNS投稿がきっかけで売れ出したそうやが、健一、お前には常に情報をキャッチしとけと言うてるな」 健一 「はい」 社長 「それではその投稿を見てこれは売れるぞと、かなり先を見越して、たくさん仕入れてると思う、うちにはまだまだ品物があ

          小噺「売れ行き絶好調」

          小噺「饅頭屋もバッタバタ」

          饅頭屋《丸福》息子 「親父、みんなが家にいるようになってもっと売れる思ったけどなぁ」 親父:京平 「とにかく、結婚式や人の集まることが、ドーンと減ったから、紅白饅頭も、何もかも売れへん。この頃は家のおやつも洋菓子になったから、辛いのう」 息子 「ここは、一発新商品で起死回生を図ろう」 親父 「あほ、新商品にかける金がないわ」 息子 「借金してでも、アマビエの形したアマビエ饅頭を作ろう」 親父 「底冷え?そんな寒いもの誰が買うかいな」 息子 「病気を追い払う、ア

          小噺「饅頭屋もバッタバタ」

          小噺「奈良へ移住」

          妻 「ねえあんた、奈良に移住せえへん?」 夫 「なんでまた急に、奈良やねん?」 妻 「大阪は赤信号がついて怖いやないの、近畿の中でまあ、感染者の数は 大阪に比べたらめちゃくちゃ少ないし、今、日本全国から奈良へ移住するのが増えてるし、お試し長期滞在というのもあって、コロナで痛手を被った、ゲストハウスの助けにもなると、奈良県も力を入れてるのよ。大和は国の始まり、日本人は奈良に帰っていくのよ、あなたも仕事がほとんどないし、いいんじゃないの」 夫 「けど、奈良はのんびりして

          小噺「奈良へ移住」