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追悼ジャン=リュック・ゴダール

映画監督ゴダールさん死去 ヌーベルバーグ、最後の巨匠
9/13(火) 18:21配信
 【パリ共同】フランス紙リベラシオンの13日の報道によると、1960年公開の代表作「勝手にしやがれ」でフランス映画界にヌーベルバーグ(新たな波)を起こし、長年にわたり革命児であり続けた映画監督ジャンリュック・ゴダールさんが死去した。91歳。フランソワ・トリュフォー、ジャック・リベット両監督ら映画刷新運動ヌーベルバーグの中心人物の多くは既にこの世を去り、最後の巨匠とされた。

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フランス紙リベラシオンによると、スイスで認められている、死を選んだ人が医師処方の薬物を自ら使用する「自殺ほう助」により亡くなった。関係者は「病気ではなく、疲れ切っていた」と説明した。ここ数年は健康上の理由で公の場に姿を見せることは少なかった。

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映画に興味を持ち始めた頃、至る所でゴダールの名前が挙がっていた。
ならば観ずにはいられない。
『勝手にしやがれ』(原題は息切れの意味らしい。「勝手にしやがれ」素晴らしい邦題だ)を観た。
御多分に洩れず、ゴダールに、ベルモンドに、セバーグにやられたひとりになった。
自分が生まれる10年以上も前にこんな映画を撮っていたのか、衝撃だった。ヌーベルバーグすごいぞ、正直ストーリーは曖昧にしか分からず、ただカメラ割、セリフ回し、ベルモンドのカッコよさ、スタイリッシュな空気感は存分に味わえた。最高にカッコいい。
難解だと敬遠することなかれ、感じて観るのが正解だ。

「まったく最低だ」「最低ってなんの事?」
イキなセリフに、煙草の扱いのカッコよさ!唇を指でなぞるあの仕草好き。

以後、定期的にやってくる「観たい欲」が高まると、観ている。ポートレートもお気に入り。
ただ、『軽蔑』、『気狂いピエロ』までが自分の中のゴダールかな。
映画のようなドキュメンタリーのような、ストーンズを撮った『ワン・プラス・ワン』も良かったが。



ゴダールといえば、ベルモンド。そしてミューズが皆素敵だ。ジーン・セバーグ、アンナ・カリーナ、ブリジット・バルドー。
数年前にリバイバル上映で『気狂いピエロ』を劇場で観たが、詩的な台詞、極彩色に彩られた画は、変わらず素晴らしかった。完成されている。ひとつの頂点を観た気がする。

「また見つかった!」「何が?」「永遠が」

ヌーベルバーグ、いわゆるニューウェーブ。これまでの常識に捉われず、才能溢れる若い映像作家たちが自由に映画を作り始めた。これが60年代のフランス・ヌーベルバーグ。
その波は次第に大きくうねり、『俺たちに明日はない』などのアメリカン・ニューシネマにも多大な影響を与えていく。
「映画表現は、もっと自由であるべきだ。」
ヌーベルバーグ最後の巨匠、ジャン=リュック・ゴダール。
後世に遺したものの大きさは計り知れない。

正直、未だに理解できているとは言い難い。
だが、それでいいのだとも思う。
徹底的に研究するも良し、解らぬと嫌うも良し、恥じるもまた良し。
一度触れてみて自身の中から出てきたものが正解、と思うことにした。
観た人の心の中にそれぞれのゴダールがいて、みんな違ってみんないいである。
こんなにも熱狂とアンチをない交ぜにしてしまう稀有な、唯一無二の存在。

ゴダール監督はここ数年は健康上の理由で、公の場に姿を見せることは少なくなっており、「イメージの本」がコンペティション部門に選出され、スペシャル・パルムドールを授与された2018年の第71回カンヌ国際映画祭では、FaceTimeを使って会見に参加。  昨年、2021年3月に行われたインドのケララ国際映画祭ではオンラインインタビューに応じ、テレビ局Arteとの共同制作作品、もう1つは「Funny Wars」という2本を開発中で、「私は映画人生、つまり映画人としての人生を2本の脚本で終えようとしている」と述べ、「その後、『さよなら、映画』と言うでしょう」と語り、引退を示唆していた。

映画.com

マーティン・スコセッシ(Martin Scorsese)氏からクエンティン・タランティーノ(Quentin Tarantino)氏、ポール・トーマス・アンダーソン(Paul Thomas Anderson)氏、ロバート・アルトマン(Robert Altman)氏に至るまで、ゴダール氏の影響を口にする映画監督は数多い。  フランスのエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領は、ゴダール監督の才能をたたえるとともに、「国宝」の喪失を悼んだ。

AFPBB New

昨年の同じ時期にベルモンドが亡くなっている(2021年9月6日)。縁を感じるのは考えすぎか。
映画界はまたひとり、素晴らしき才能を失った。
あちらでトリュフォーが、ベルモンドが、アンナも、アンヌも待っているはず。
名作を革命をありがとう。
安らかに。

                     (text by電気羊は夢を見た)



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