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望まぬ修行

私は一人静かに旅をしていました。

「今年は暑いなぁ」

そんなことを思いながら、白い袋に入って長い旅路を運ばれていきます。

その後冷たい水に沈められました。
周りにいくつもの冷たい氷が浮かんでいます。

「暑いと思ったら、次は水攻めか……」

私は自分の身に起こる不幸に、うんざりしました。

しかし私は諦めません。
いかにも弱そうな真っ白な体に力をいれ、なんとか逃げ出そうとします。

けれど、体が冷え切っていて逃げることができません。

それならと、修行をするように、涼しさへの変身を追求しました。

冷水の中でゆっくりと、自分の中に冷たさを染み込ませました。
それは心地よい変化でした。

「ここからが本番だ」

何が本番がわかりませんが、そう言い聞かせました。

しばらくすると、私は冷たくて広い箱の中に入れられました。
さっきの水の中よりも、冷たい風が吹いてきます。

けれど、もう不安はありません。
なぜなら、私は自分を冷やす覚悟を決めていたから。
徹底的に冷たくなってやろうと、そう思っていたからです。

私を冷たくする工程は着実に進行し、私はしだいに冷たさと締まりを感じました。

「ああ、これが冷たくなる感覚か……」

私は自己満足の微笑みを浮かべました。

すると、私は白いステージの上に乗せられました。
上から茶色い紙のようなものと、青っぽい輪をかけられます。

なぜか周りから声のようなものが聞こえます。

私が耳を澄ますと、聞くな!とでも言うように、黄色いツンとした香りのするものと、黒い液体をかけられました。

「何が起こっているんだ?」

不思議に思い上を見ると、茶色い棒が私に近づいてきて……。


・・・・・・

「冷奴完成!」

私は得意げに、完成したばかりの冷奴を見つめました。

涼やかな夏の一皿。
冷奴、さいこー!

〈了〉

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