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アオムシ、いじけ虫

アオムシたちの中で、ミドリは特別な存在だった。

彼女は他のアオムシよりも小さい。
それが彼女をいじけさせていた。

ある日、ミドリはやっと見つけたキャベツが、他のアオムシに比べて小さかったことに気付いた。

それが彼女をいじけさせた。

それでも、彼女にとっては大切なキャベツだった。

しかしそのキャベツをかじると、中身は硬くて食べごたえがなかった。
ミドリはがっかりした。
そして、そんなことでいじける自分の小ささに、さらにいじけた。

それから数日後。
ミドリはサナギになるための木を見つけた。

他のアオムシたちもその木を欲しがっていた。

そして、ミドリがまごまごしている間に、他のアオムシがその木でサナギになった。

私が見つけたのに。

ミドリはそう思った。

そしてミドリは、他のアオムシたちが次々と蝶に変身していくのを見て、ますますいじけた。

私はアオムシのまま。
なのにみんなはサナギになって、蝶になっていく。

その事実を受け入れられなかった。

でもその時が来るのを待つ間、彼女は自分自身を見つめ直した。

なぜ、こんなにいじけるのかを真剣に考えた。

誰かが私に意地悪をしたのか。
誰かが私の悪口を言ったのか。
誰かが私の邪魔をしたのか。

そうじゃない。
誰も私の邪魔をしていない。
私が……私が勝手にいじけていただけだ。

周りと比較するのではなく、自分を大切にすることが大切だと気付いた。
周りに期待するのではなく、事実を事実として受け入れることが大切だと気付いた。

そして、今まで勝手な思い込みでいじけた事を反省した。

そしてある日。
ミドリはついに、サナギになる瞬間を迎えた。

それを見た他のアオムシたちは、ミドリが小さなキャベツを大切にし、自分を愛していたことに気付いた。

立派なサナギになったミドリ。

その姿をみた仲間たちは、ミドリが立派な蝶になることを願った。

〈了〉

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