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チューリップラジオ

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自作小説まとめ2
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#小説家になろう

チューリップラジオ読んでくれた方へ

「憧れ」ってなんだろうと思いながら書きました。

部活を引退する時、

バイトを辞める時、

憧れですと何度か言われたことがあった。

自分も先輩が部活を引退する時、

ずっと憧れでした。と書いていたかもしれない。

でも実際その人に近づいて、

私生活の全てを見た時に

同じことが言えるかわからない。

人間誰しもカッコ悪いところはあると思っているから。

少なくとも私はそうだし。

もし憧れる

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チューリップラジオ17

春になった。せい子さんのマネージャーを務めてもう少しで1年だ。せい子さんの仕事はラジオを皮切りにどんどん増えて行った。東京でのモデルの仕事も始まって、りょうと同じように月の1週間は東京にいた。高い身長と長い髪の毛、小さい顔は見た人の記憶に強く残るらしい。「一度見たら忘れられない美女」と紹介されて、ついにテレビのVTR出演も受けた。

事務所へ打ち合わせに行くと、吉井が私に言った。
「いいニュースと

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チューリップラジオ16

あの夜せい子さんがどんな風に過ごしていたのかわからない。2日後、ラジオの生放送があり、いつものように彼女のマンションの部屋へ迎えに行ったが、インターホンを押しても誰も出なかった。嫌な予感がした。私は慌ててせい子さんに電話した。お願いだから出てほしい、そう何度も心の中で祈った。
「もしもし」
せい子さんは電話に出た。声のトーンもいつも通りだ。
「せい子さん、今部屋の前にいます。ラジオの」
私が慌てた

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