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【野口健'S VOICE】富士山登山マナーに警鐘

アルピニストである野口健氏の様々な活動や取り組みに賛同している文化シヤッターグループ。その野口氏には講演会やボランティア活動などを通じて、従来より当社グループの成長発展に様々な角度からご尽力を頂いています。
この「野口健’S VOICE」は、野口氏が日頃から取り組まれている活動やその原点となった思いや考え方、さらには活動を通じて実感されたことなどを、独自の視点や切り口で綴られた連載エッセイとして当社グループ報に寄稿頂いているものです。なお、当社公式noteではこの連載エッセイを転載しています。

今年の夏は、コロナが明け、インバウンドや夏休みの旅行も大幅に増え、富士山でも登山客で大混雑であった。

先日、ヒマラヤ前のトレーニングも兼ねて、富士山に登った。メディアでも、富士山の混雑ぶりや登山マナーに関して報道されていたのだが、実際に山頂の施設関係者から話を聞くことができた。富士山に限らず、日本人登山客のマナーはかなり良くなった。富士山でも、軽装、サンダルといった無謀な登山者はかなり減っている。外国から登山を目的でやってくる登山客もしかりである。ところが、驚いたことに、日本で働いていると思われる外国人の若者たちがかなり危険な登山をしているというのである。

富士山はテントを張ることは禁止されているのだが、勝手にテントを張ったり、軽装で野宿をしたり、なんと焚火をしている人もいたという。富士山の標高では、朝晩はかなり冷え込み、日中でも雨が降ると一気に気温が下がる。僕が行った日も、早朝の登山口ではかなり暑かったが、山頂ではダウンを着たほどである。

寒さで凍えて山小屋に助けを求めても、山小屋も満室で、早々受け入れられない。そんな状況で野宿するとなると、命に関わる。もちろん、簡単にレスキューなど来てくれない。
いずれ、富士山で大惨事が起きかねないと思っていたところ、山梨、静岡両県知事が相次いで登山規制、入山料の義務化という方針を明らかにした。しかも、山梨県は登山道に県警を配置するという。

僕は20年前から、富士山の登山規制、入山料の導入を訴えてきたが、なかなか同意を得られなかった。富士山は日本を代表する観光地であり、観光資源であるため、多くの利権が絡んでいるのだ。ある代理店社長が「富士山は金のなる山」といったことがある。本来なら、世界遺産登録時に、きちんとルールを定めるべきだった。これまでのタブーに踏み込んだ、両県知事のリーダーシップのもと、大きな事故が起きる前に、関係者が一致団結してルールを定めてほしい。

(2023年8月執筆)

【プロフィール】
野口 健 氏
アルピニスト。1973年、米ボストン生まれ。亜細亜大卒。
25歳で7大陸最高峰最年少登頂の世界記録を達成(当時)。
エベレスト・富士山の清掃登山、地球温暖化など環境問題、
戦没者の遺骨収集など、幅広いジャンルで活躍されている。

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