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ちいさくてなんかしあわせなこと(ちいしわ)

 僕は村上春樹さんのエッセイと短編が好きで、これまでに出版された本は全部読んでいる。エッセイは本当に肩の力を抜いて読める、なんでもない日常の話がたくさん載っていて、くすりと笑わせてくれる。
 その中で、村上春樹さんの造語である「小確幸」という言葉が出てくる。「小説を少し書いた後に、ドーナッツを食べたとき」が例にあった気がする。僕はこの「小さくて確かな幸せ」の概念がすごく好きだ。
 人生において、辛いことは往々にして大きな出来事として現れることが多い。仕事のやらかし、事故、病気、失恋、離婚、死などビックイベントとして現れがちでとても目立つ。でも幸せなことってそうそうイベントとして起きない。結婚とか、出産っていう単語はそのイベントっぽく聞こえるけれど、実際に結婚していた僕としては、結婚自体に幸せを確証させるものはないと思っているし、きっと出産にも大変なことがたくさんある。それにあまりにハードルが高いし、広告のイメージとして世間一般に定着しているだけだと思う。
 そんなことより幸せって実はもっと小さくてしっかりと耳をすまさないとわからないことだったりすると思う。村上さんは「小さくて確かな」と言っているけれど、もっとふわっとしていて「ちいさくてなんかしあわせなこと(ちいしわ)」が世の中には沢山ある。
 それは例えば、「憂鬱な朝の出勤時に外にでたら、なんかよい天気だったとき」、「街を歩いていたら、なんだか懐かしい花の香りがして、子供のころの思い出がよみがえったとき」、「新作ゲームや漫画の新刊の発売日が決まったとき」、「会社帰りに食べたホットドッグが美味しかった」、「トイレで便がすっきりでたとき」。みたいなことです。
 だいぶふわっとして小さいですけれど、ちりも積もれば山となって、辛い毎日を乗り切るための燃料になります。そしてそんなときはなるべくその「ちいしわ」をしっかりと捕まえて、「しあわせ~」と声に出すようにしてます。特に最後の「トイレで便がすっきりでたとき」はおすすめです。声にだして「しあわせ~」と言ってみましょう。なんだか間抜けな感じも相まって、くすりと笑えますよ。皆さんも世の中の「ちいしわ」を探して、しっかりと捕まえて、声にだしてみてください。
 ちなみに僕はちいかわではハチワレ君が大好きです。可愛すぎる。

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