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記憶がすり替わる新たな症状と向き合うミヤビ/ドラマ『アンメット ある脳外科医の日記』第7話

前回は、ミヤビが断片的だが前日のことを記憶できていることに喜ぶというところで終わっていた。

(以下、ドラマの内容を含みます)

抗てんかん薬の量を増やしたことによって、ミヤビは前日のできごとを覚えていることが少しずつ増えていく。これまで見ていた人やモノ、日常のすべてがきらきらと輝きはじめる描写には、彼女の心の有りようが表れていた。この1年半、今日見聞きしたことを明日には忘れていることが平常運転だった。でも少しでも覚えられるなら、いつもより五感を研ぎ澄ませておきたい。自分が彼女の立場なら、同じように考えると思う。

記憶のある生活を取り戻そうとするミヤビに立ちはだかるのは、新たな症状「記憶錯誤」。実際とは異なるにも関わらず、それが事実だと思い込んでしまう症状だ。このせいで、ミヤビは危うく患者を取り違えて治療しそうになる。

記憶錯誤?

オープンするインド料理店をイタリアンだと思っていたようなこと、私もときどきあるけど……、あ、それは「老い」というやつか。

今回の患者は、ミヤビたちの行きつけの店「たかみ」の主人・高美武志。髄膜腫によって、料理人の命である嗅覚が失われるかもしれないという話だった。手術をしなければ命に関わるけれど、手術をすれば嗅覚を失うかもしれない。高美は究極の選択を迫られる。

前回、味付けの話が出たときに「大将も何かあるのか……」と思っていたが、不安的中。2時間ドラマ好きとしての感想で申し訳ないが、まさか、まさかまさか、小市慢太郎さんにボロ泣きさせられる日が来ようとは。『波よ聞いてくれ』のダンディな久連木も好きだったけど、今回の料理人も人間性が滲み出ていてよかった。

自分がもっとも必要としているものを奪われる恐怖は、その人自身にしか分からない。「分かるよ」「つらいね」とは到底言えない。そうしたことを一切言わずにいる女将さんにも泣かされた。そういえばミヤビも、サッカー部員の患者と向き合ったとき、ひたすら練習に付き合ったよね。

1話から感情移入して観ていたので、自分の中で「たかみ」は身近な存在になっていた。たぶん、私も野呂佳代ちゃんたちと一緒にセントラル病院で働いてる気分なんだわ(笑)。それもあってのボロ泣き。短いけど高美夫妻の半生もシーンに織り交ぜられて、2人の関係性がしっかり描かれていたのがよかった。

自分の新たな症状について不安になりつつも、日記に細かく書き記すことで少しでも記憶錯誤を無くそうとするミヤビ。症状の安定を図るためには、大迫教授が導き出した薬の量が適しているかもしれないが、薬を元の量に戻せば記憶を取り戻すことは難しく、誰かとした会話も、昨日の晩ごはんも思い出せないままだ。日々の変化にも気づけない。彼女が自分らしく豊かに暮らしていくことを考えると、星前も薬の量については何も言えない。まして三瓶にとっては、自分との時間を彼女が思い出さないということなわけで。複雑な気持ちではないだろうか。

今週の萌えポイントは、相づちと頭ポリポリ。

河原でミヤビの話にうなずきながら会話を続け、彼女が「頼っていいですか?」と告げたときの三瓶のちょっとうれしそうな顔。ミヤビが彼を信頼し、一緒に難しいオペに挑む展開には安心と緊張とが入り混じった気持ちになった。完全に親の気分。

手に汗握るオペーシーンに、台詞はほぼナシ。静まり返ったオペ室で、星前と成増の表情、見開いたミヤビの眼球、静かに見守る三瓶。成功するの!?どうなの!?と、ドキドキである。

ところが、突然の画面切り替わり。

「はて?」
「はて?」
と、何が起こったのかしばらく理解できなかった。

あぅぅ、Jアラートか……。
仕方ないよ、仕方ない。

だけどどうしても諦めきれず。

そんなわけでテレビをつけっぱなしにしていたら、数十分後に突然続きが始まり、今度は大慌て。録画が! 録画が! 後で公式から再放送のお知らせがあり、調べたら私の住むまちでも深夜に再放送があるとわかり、ホッとした。

恒例のザワつかせるラストは今回も。星前先生のくしゃみ → 鼻水 → ハズカシ → 日記に書かないで!

からの、ミヤビの顔つきの変化
からの、あわわわわ! そこを思い出すのーーーーー!?

さらに、綾野と麻衣にも大きな転機が訪れたようだ。麻衣がミヤビと会って吹っ切れた意味は、そういうことだったのか。綾野が本当の麻衣に気づきはじめた矢先のこと。次回は、彼にスポットを当てた回になりそう。

ところで、抹茶パウダーを入れちゃう店員さん、独特の雰囲気醸し出し過ぎ!と思っていたら今泉監督だった(笑)。ちょっとした遊びゴコロ出演なの?

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