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「おりくのお膳」と「水まつり」について。そして昔の写真が誰かに似ている件

先日帰省し、父の七回忌を終えた。

法事のたびに、記録しようと思いつつ放置していた「おりくのお膳」と「水まつり」について、今度こそ書き記そうと、帰省の際に母に聞き取りを行った。

「おりくのお膳」とは「御霊供膳」のこと

あくまでわが家での呼び方だが、「おりくのお膳」とは、法事などの際に仏様にお供えするお膳のこと。ネットで検索すると、「御霊供膳」(おりょうぐぜん、おりくぜん)がヒットした。なるほど、漢字で書くと意味がわかりやすい。

宗派や地域によって異なるのか調べたら、呼び方や椀の並べ方などが違うようだ。

一例は、こんな感じ。
①親椀(白ごはん)
②汁椀(お吸い物や味噌汁)
③高坏(漬物や酢の物)
④平椀(煮物)
⑤壺椀(煮物や和え物)

すべてネット調べなので、正確かどうかはっきりしないが、参考にはなるだろう。


わが家の「おりくのお膳」は、以下の5種類だった。

・大盛りの白ごはん  → これは①
・油抜きを数回した油揚げと生姜を醤油味で煮た「おひら」 → 名前からすると④?
・小さな椎茸1つとお麩1つを醤油味で煮た「おつぼ」 → 名前からすると⑤?
・旬のものを使った酢の物「まる」(魚はNG)  → ③でいいのか?
・季節野菜の煮物 → これが②の代わり??

母への聞き取りより

困った、汁ものがない……。一般的なものと違っている。しかも、さまざまなサイトで「刺激の強い香味野菜はNG」とあったが、生姜は大丈夫か? むむむむ。

わが家のおりくのお膳。「生姜はないわ~」と、
あちらの世界から言われていたらどうしよう(苦笑)。

母は、義母(祖母)の50回忌、義父(祖父)の33回忌、そして夫(父)の7回忌まで、すべてこれらの内容でやってきたようだ。呼び方も合っているような、合っていないような(苦笑)。

まあしかし、地域や宗派によって異なるみたいだし、誰かの好物をお供えしたものが何十年、何百年と家に伝わっているのかもしれない。これはこれで、いいのかな。生姜だけはとても気になるが……。

箸は、いつもお経をあげる際にお寺さんのご住職がごはんに立てる。ちなみに、親椀のある方がお供えする仏様側になる。

***

「水まつり」は祭りではないのよ

一方の「水まつり」は、検索しても本当の祭りしか出て来なかった。
わが家で言う「水まつり」とは何か?  法事の際に、焼香台と一緒に一人一人にまわす、これのこと。
         ↓

毎回、「米は何回つまむのだったか問題」が勃発する。

米を入れた器、水を入れた器、南天の葉。

焼香の際、米をつまんでお盆の上へ置き、水に浸した南天の葉をその米に振って水をかける。南天には、難を転じる、逃れるという意味があるからだという。そういえば、昔から正月のおせちや運動会のお弁当には、いつも南天の葉が入っていた。

諸事情で数年前に引っ越したため、裏庭にあった南天はもうないはず。この南天、どこからもらってきたのだろう。尋ねると、法事や他の行事にも使うからと、母がわざわざ若木を買ってきて、今の住まいに新たに植樹したとのことだった。まったく気づかなかった。

一人一人がつまんでお盆に置いた米は、最後にお墓へ行った際に撒く。

こういった慣わしも、どんどん消えていく。若い頃は興味がなく、法事も「早く終わらないかな」と思っていたのに、最近はひとつひとつが気になるようになった。信心深くもないが、「祈り」は心を穏やかにしてくれる。

***

セピア色の父の写真が出てきた

今日、晩年父が撮影した写真のフォルダを久しぶりに開けてみた。

父が死んだ後、使っていたカメラの一部は写真愛好家の知人がもらってくれた。病気で重いものが持てなくなり、生前最後に買ったのはフジのコンデジ。実家に飾ってある。私が譲り受けたのは、古いペンタックスの一眼デジとクリーニングクロスだった。持ち帰って調べると、SDカードが出てきた。この中に、晩年幼なじみの家に遊びに行ったときの写真のほか、若い頃の父が写ったプリント写真をさらに撮影したデータがあった。アルバムに張りついてしまった写真を、複写するつもりだったのかもしれない。どれも古いプリント写真だった。

今日見返していたら、1枚だけモノクロの写真があることに気づいた。ん? こんな写真あったっけ? 何かの大会で1位を獲ったときに撮影されたもののようだ。この父は相当若い。10代後半か20代前半ではないかと思われる。

けっこう拡大したので、画質悪い&ボケボケですが。

こんなに凛々しい眉だったのか。しかも髪がふさふさである。
眺めていたら、誰かに似ているような気がしてきた。

誰だ?
誰かに似ている。

しばらく考え込んで、気が付いた。

おっぱっぴーだ。
小島よしおくんだ。
似ている!
(兄妹とからかわれた、例の先輩にも当然似ている……)

この写真は結婚前かもしれない。こんなに若い頃の写真は見たことがなく、ちょっと新鮮な気持ち。当たり前だけれど、父にも若い時代があったのだ。60年以上前、この頃の彼はどんな未来を描いていたのだろう。

写真を見ながら、そんなことを考える6回目の命日である。



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