ドラマ『スイッチ』を観たら、またもや脳内俳優名鑑をパラパラしたくなった。
来週最終回の『美食探偵 明智五郎』も気になるけれど、どうしてもリアルタイムで観たいなと思ったのが、坂元裕二さんが脚本を手がけたドラマスペシャル『スイッチ』。
(以下、内容が含まれます)
主人公は、まーちゃん、じゃなくて阿部サダヲさんと、松たか子さん。
西川美和監督の映画『夢売るふたり』で夫婦を演じた二人だ。この映画、心の奥底のエグいところを突いてきて、なんていうか、人間の滑稽さと気色の悪さがスクリーンいっぱいに広がっていた。ずい分前に観たのに、そんな記憶がいまだに残っている。
今回のドラマでの二人は、学生時代から7年つき合っていた元カップル。阿部さん演じる直は検事、松さん演じる円は弁護士だ。お互いの今カノと今カレを引きあわせるところから、物語は始まる。
冒頭から元カップル2人のテンポのいい会話劇が繰り広げられ、「これはコミカルなドラマなのかな?」と思わせておいて、次第に明かされる二人の重大な過去。腐れ縁という簡単なことばでは言い表せない、果てなき結びつきに、
えっ、えっ? えーーーっ??
と声に出してしまった。
「スイッチ」の意味、そういうことだったのーーー!?
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それにしても、このドラマの台詞や状況が「あるある!」ネタばかりで笑ってしまった。
自分が並んだレジが、どうやっても他のレジより遅くなるって話。買い物行くたびに自分もそうだから。タイミングって大事。
つい先日、ポイント特典の知らせが届いたドラッグストアに行ったら、アルコール入り除菌シートを数ヵ月ぶりに発見。即買いして会計したら、最後に「期間中のプレゼント特典でーす」とアルコール入り除菌シート2セットを渡され、「なんでこうなる???」と思ったばかりだ(まあ、除菌シートあるに越したことはないけれど)。そんな特典、書いてなかったよーー。
……と、自分の話はさておき。
劇中では、”今どきのモテる人ってこんな感じ”と揶揄されそうな今カレ(眞島秀和さん)と今カノ(中村アンさん)が、もう鼻につく健全さで。
「ワインはかしこまって飲むものではありません」と言っておきながら、「どうですか? 物語を感じませんか?」と飲みながら問いかける広告代理店勤務の今カレ。初対面の相手でも、言葉をうまく汲み取って会話を成立させようとがんばるとてもいい人! そして7種類のオリーブオイルと塩を使い分ける料理研究家&インスタグラマー・綺麗なおねえさんの今カノ。
屈折した生き方をしてきた人間から見たらまさにこれ、皮肉の描写。でもドラマが進むうちに、きちんとこの二人の人間性の見せ場が用意されているので、皮肉だけで終わらないのが良いところだ。
「いい人は天国に行ける。悪い人はどこにでも行ける」と今カレ(眞島さん)が話し始めるあたりは、褒められて”いい人”と常に言われて生きてきた彼もまた、生きづらさを感じているんだなと。
ところでこの台詞、女優のメイ・ウエストが言った
「いい子は天国に行ける。でも悪女はどこにでも行ける」からきているのかな、もしかして。
ことば遊びのような台詞が次から次にポンポン出てきて、坂元さん脚本のドラマの中では一番好きかも。主人公の二人が、阿部サダヲさんと松たか子さんだからというのが大前提での話だ。息の合い方が尋常じゃないよーー(笑)。
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さて、脇をかためていた役者さんたちを見てみよう。
直(阿部さん)の部下で検察事務次官を演じたのは井之脇海くん。この二人のツーショットを見ると、家康と万福じゃん!と思ってしまう『おんな城主 直虎』沼……。そこに直の上司役で尾美としのりさんが出て来たもんだから、「おおお、榊原康政殿!!」と心の中でつぶやく。いや、『麒麟がくる』では追放されちゃった土岐頼芸だった。
『麒麟がくる』つながりでは、登場シーンが全部苦渋のお顔の細川藤孝を演じている眞島さんも。現世では、人当たりの良さが空回りする今カレで登場。眞島さん、役柄で死亡率(もしくは既に遺影写真のみも含め)が高くて、こんな普通の明るいいい人の役を久しぶりに見たような……。
そういえば、このドラマスペシャル内の刑事事件に大きく関わる男を演じたのは、『コタキ兄弟と四苦八苦』第6話に登場する嫌味なタワマン男、岡部たかしさん。ちょっとしか登場しなくても、頭の片隅に絶対残る役者さんだ。まさに、イヤミ(おそ松くん)のポジション! コタキつながりでいうと、円(松さん)の後輩を演じた岸井ゆきのさんも第2話にゲスト出演してた!
あれ? さらに考えたら円(松さん)の上司役・高畑淳子さんと刑事役の迫田孝也さんは『真田丸』の昌幸パパの正室・薫殿と三十郎……。
どうしよう、脳内連鎖が止まらなーーーーーい。
〆は、脚本を手がけた坂元さん。奥様が森口瑤子さん(相棒・三代目女将就任!)だと10年程前に知り、「歳を取らないあの綺麗な女優さん……」とびっくりしたことまで、ついでに思い出してしまった!
『スイッチ』、まだ観ていないという人はTVerで!!
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