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恋する九龍城

私は九龍城に堪らなく惹かれていて、一度はそこに足を踏み入れたいと思っているが、それは彼の地を知ったときからもう既に叶わぬ夢なのである。

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九龍城は様々な作品に影響を与えていて、例えば、ゲームだと言わずとしれた『クーロンズ・ゲート』や『シェンムーⅡ』、漫画だと『奪還屋/ゲットバッカーズ』の無限城とかがある。

九龍城はいくつも書籍で紹介されていて、『九龍城探訪』という写真集は当時の写真が豊富に掲載されていて、非常に勉強になる。
一度入ると出られることはない、犯罪の蔓延る東洋の魔窟という神話がまことしやかに語られるが、実際に衛生面、治安面、また臭いの面で強烈なものがありそうだが、強力な磁場となって、ここは人々を魅了している。

こういう、滅んだ建築(や場所)はなぜか妙に心を揺さぶられる。軍艦島や、鬼怒川温泉の廃墟もそうだ。
アメリカだと、プルーイット・アイゴーに惹かれる。プルーイット・アイゴーはモダニズム建築の団地だが、設計上の問題点のせいでスラムと化して、最終的には爆破されてしまった。
団地がスラムになるなんて、『ジャッジ・ドレッド(リメイク版)(隠れた傑作である。ローハンのエオメルことカール・アーバンが主演していたが、ライダーマンのように口しか見えていないのが悲しい』のようで、かっこいいが、住んでいる人にはたまらないだろう。

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私は建築が好きで、無論、詳しいわけではなく、ただ好きなだけなので、その道の人と較べると全く大したものではないのだが、フランク・ロイド・ライトが大好きである。と、言うのも、やはり『ブレードランナー』である。主人公のデッカードの住むアパートは、LAにあるライト建築のエニスブラウン邸であり、ここはつい数年前売りに出ていて、十億円くらいだったと思うが、まぁ、私には夢の夢である。
とにかく美しい建築で、最高に美しい夜景である。まさに、オープンニングの青い目(私はロイ・バッティの目だと思っているが)、が見た、2019年のLAの夜空が広がっている。

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『ブレードランナー2049』のKのアパートメントのメビウス21も室内に同様のタイルを使用している点、流石完璧な目配せである。

フランク・ロイド・ライトの建築は、芦屋にあるヨドコウ迎賓館は見学をしたことがあって、ここは高台にあって、バルコニーのような所から大阪湾が一望できて、美しい建物だった。
また、東京池袋にある自由学園明日館にも見学に行って、ここは昔女子校として使用されていたのだが、白を基調とした空間を陽の光が優しく舐めて、清潔な印象だった。
ここのホールにはカフェが併設されていて、生徒が描いたという壁画がある。『出エジプト記』である。愛らしい椅子もあって、これは通販で変えるが、めちゃくちゃ高い。すごく小さい椅子で、収まりが悪かったけれど。

ここの紹介はこちらが詳しいので、転載させて頂く。

フランク・ロイド・ライトの傑作はやはり落水荘だと思うけれど、こちらはペンシルヴァニアにあって、紐育に住んでいた時に伺えばよかったのだが、その頃は詳しくなかったので行くことすら頭になかったので、相当の莫迦である。
ブラッド・ピットは建築に興味があるとずっとインタビューで答えていて、実際その勉強もしていて、落水荘も見学に行ったそうだ。


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脱線が過ぎたが、とにかく九龍城も見たかった。日本人でも住んでいた方がいたようで、辛いことも多そうな居住条件だが、かけがえのない経験だろうなと思う。

そして、この時代の傑作映画の『恋する惑星』、こちらは香港の重慶大厦(チョンキンマンション)が舞台になっていて、これは九龍城のように入り組んでいる建物で、一度見てみたいなぁと思っている。

一昨年公開の映画、『天気の子』の舞台でもあり、『傷だらけの天使』のペントハウスでもある代々木会館も、もう無くなってしまった。
私はちょうど、『天気の子』の公開の1週間前、バレエを観るために上京していて、そのときには観るチャンスがあった。けれど、面倒くさくて行かなかったのだが、今は後悔している。もう、見ることはできないのだ。

すべて塵と化してしまう。建物も、思いも、全てが過ぎ去っていく。
だから、恋する気持ちは伝えて、会いたい物には会いに行くべきである。
書きたいものは書いて、言いたいことは言うべきだ。
無論、無理のない範囲で。




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