ダンス・マカブル④
最近読んでいて面白いなぁと思う漫画に、『ワールド・イズ・ダンシング』があって、これの新刊4巻が先月発売されていて、ようやく読んだのだが、いやぁ、面白いなぁ。
お能の漫画である。観阿弥世阿弥、世阿弥こと鬼夜叉の青春ダンスストーリーなのだが、ようやくドライブがかかってきた。4巻で一つ上の漫画になったかと思われる。
お能の漫画といえば、『花よりも花のごとく』とかあると思うが、今作はバリバリ室町時代である。
室町文化、所謂中世こそが日本の美の頂点であると、三島由紀夫も言うように、お能のリズムこそが、日本のリズムなのである。
三島由紀夫はお能はスピードが凄い、と語っていた。つまりは、舞台の上で、三歩歩くだけで数年から数十年が経つ、生きていた者が髑髏と化す、その速度、それを観客が理解すれば、あれほどにダイナミックなものはないと語っていた。それは、ある種大変日本的なものである。
諸行無常の響きあり、とは『平家物語』だが、物語は、そこに生きた人々の感情を書くと同時に、風化して消えていくその刹那も内包しなければならない。お能には、それがあるというのである。
今回の4巻では、猿楽の鬼夜叉と、田楽の増次郎、その二人の才のある人間の舞比べだが、ここで鬼夜叉が舞う『卒塔婆小町』に、ライバルの増次郎が圧倒される、この新しいもの、圧倒的なものの登場に、誰もが目をみはるシーンの素晴らしさ、コマ割りの旨さ。
やはり、踊りにまつわる漫画は素晴らしいのが多い…。
今作もまだ4巻までしか出ていないので、是非とも皆様に読んでいただきたく、ここで紹介させて頂きました。
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