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千種創一の『イギ』は傑作詩集

千種創一の詩集を購入。


基本、私は詩集を買わない。最近買ったのは素潜り旬の『パスタを巻いた靴』だが、千種創一の詩集はたまたま書店で目に入ったので読んだのだ。

度肝を抜かれた。私はこの方を存じ上げなかったが、すごいなぁと思った。詩とは何か、というのはまぁ、色々な人が書いていて、それぞれに考えがある。
この人の詩はなかなか理解できないが、身体に入ってくる。言葉選び、というよりもそのセンテンスの並びの妙が絶妙である。

どこまでドライブ感覚で書いているのか、いや、恐らく相当に推敲を重ねていることが伺える隙のない文字の並びである。

私は即座にこの洒落た造本の詩集を手に取り、念仏を唱え始めた。いや、それくらい吃驚したのだ。
この詩集に書かれていた、

確かに全ての詩集には祈りが詰まつてゐるとも言へるけど」

という詩句の通り、ああ、こいつは聖典かもしれぬ、と購入を決意。1,980円だったが、まぁ後先考えずに金を出させる、これが文章で飯を食っていける人間の力なのだ。
そもそも、私が存じ上げないだけで、すごく賞とか獲られていたので、すごい人なのだろう。いやー、いい買い物した!

短歌集は流石に見送ったが、これもまた密度が濃い濃い。

今、私が注目している詩人は素潜り旬、そして、千種創一である。まぁ、私はあんまり詩人を識らないので、あんまり適当なことは言えないが、何れにせよこの素晴らしい詩集は確かに祈りが込められている。祈りも怒りも。

どこか、私には彼の文体は敬愛する津原泰水っちの『赤い竪琴』の中の、大正期の夭逝詩人である寒川玄児を思い出させる。
そして、今の時代の人なのに、どこか遠い昔に滅びた国からの詩人の書いた聖典であるように、たしかに思える。



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