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キメラである虎鶫

ヤングマガジンで連載されている『虎鶫』を2巻まで一気読みした。
これから3巻と4巻を読むので、2巻までの感想を。

既刊は4巻。
私の購入した1巻は刷りが8刷だったので、相当重版がかかっている。
まぁ、ほぼアニメ化は確定しているのだろう。


舞台は日本だが、旧日本と呼ばれる近未来である。近未来とはいえ、大体260年後先なので、舞台は2280年代。日本に大量の核兵器が使用されて、廃墟となり、世界は核の冬を迎える(タイムリーすぎて妙に恐ろしい)。
その旧日本に隠されている極秘兵器(TORATSUGUMI)に関しての情報を手に入れるために、文字通りスーサイド・スクワッドとして送り込まれる死刑囚や傭兵たちが、旧日本に降り立つところから舞台は始まる。

こういう、文明が滅んで廃墟とかしていて、そこに凶悪な生命体が潜んでいる(『アイ・アム・レジェンド』的)な作品は大好物である。
今作は描き込みが半端なく、崩壊した日本に降り立った主人公レオーネは、何の情報もない中で、なんとか指示された目的地へと向かっていく。

(TORATUSGUMI)を探す中、1人の少女とレオーネが出会う。この少女は名前をつぐみといい、そして脚が鳥のそれである。彼女は、虎という巨大な長髪の猛獣と共に行動している。
美少女と野獣のコンビだが、まぁ、名前の通り彼女たちがキーパーソンである。然し、そんなことを識らないレオーネは彼女たちと時折助け合いながら、目的地へと向かう…。

『ゴールデンカムイ』は闇鍋ウェスタンと銘打っているが、これもまた『闇鍋』的な漫画である。
主人公レオーネは元軍人で頭が切れて知識も豊富、戦闘能力もそれなりだが、彼らを襲う化け物は恐ろしい強さを持っている(なんか『ベルセルク』のガッツに似ている)。そして、それ以上に恐ろしいのはつぐみであり、今作はなかなかハードで残虐な戦闘シーンも展開される。
然し、絵は描き込まれているのに、とてもすっきりと整理されていて読みやすい。画面のレイアウトが非常に巧みで、物語への没入感も非常に高い。

虎鶫は鵺鳥ぬえどりと呼ばれていて、その鳴き声は物哀しい。
ぬえは妖怪で、鳴き声は虎鶫のものと似ているとされている、雷獣である。様々な生き物の混成であり、合成獣(キメラ)である。
この日本的キメラが、秘密兵器として登場するわけだが、鳴き声が寂しいの、あまりにも哀しい。

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そういえば、『キメラ』といえば、五十嵐大介の『ディザインズ』もお勧めだ。こちらはカエル少女である。

今面白い漫画の一つだと思うので、是非とも既刊が少ないうちに読むのをお勧めいたします。

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