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フールナイトはやっぱり最高

『フールナイト』の4巻をようやく読む。


単行本は既に6月に発売されていた時点で買っていたが、シュリンクを破らずにそのままにしておいた。読むのが惜しかったのである。
然し、11月に5巻が発売されるわけで、もう読むしかない。

『フールナイト』は傑作である。


私が今好きな漫画は、

『フールナイト』
『ワールド・イズ・ダンシング』
『ダンスダンスダンスール』


そして殿堂入りの『ハンター・ハンター』であるが、『トクサツガガガ』の丹羽庭先生の新作、『生きてるうちに推してくれ』も気になっている。早く新刊が出ないかなぁ……。

で、『フールナイト』の4巻はアイビーによる連続殺人事件から、アイビーの根源を辿る捜査が始まるわけでが、ここで1~3巻で描かれていたディストピア世界の根源、この世界の病根がどうしようもないほどに育っていて花開いていることに気付かされる、とんでもなくヘヴィーな世界が描かれる。
最近、『仮面ライダーブラックサン』を視聴していて、9話の途中まで観たのだが、この『仮面ライダーブラックサン』も現実世界をベースに置いたディストピアのようなものだが、そんなものよりも遥かに『フールナイト』はえげつない。

『フールナイト』の世界は雲で太陽光が遮られていて、酸素供給の為に人間の身体を植物へと転花させるわけだが、この転花によって数年後、植物と化してしまうことと引き換えに1000万円もらえるわけだが、この世界では1000万円はウルトラに大金である。然し、転花の真実は恐ろしいもので、金のない子どもたちが転花して、それを元に作られた家具を金持ちがコレクションし、出来損ないの転花人は、人間の肉体の一部を残したままなので、出荷もままならずに、意識を残したままその部位を切り落とされる。それを切り落とすのは同じ貧困層で、数百円のためにそれを行っている。

一度転がり落ちると、這い上がれない。

4巻はとにかくえげつない描写が多いため、読んでいて陰鬱になる人も多いだろうが、絵は美しいし、この、退廃的なムード、そして、誰しもに突きつけられる無力感と罪悪感は、私を堪らなく安らかな気持ちにして止まない。
つまるところ、私は虚無主義者であり、意識低い系の人間であるが、同時に、誰よりも人間を愛しているつもりでもある。だからだろうか、この世界においても必死に生きる人間にシンパシーを抱いてしまうのである。

このように素晴らしい漫画をリアルタイムで読めるのは嬉しい限りであるが、読んでしまうと、喜びと、哀しみが、両方襲ってくる。
だから、本でも、恋でも、それからショッピング、クリスマスプレゼント?それらは全て、包まれたままのときが、一番に幸福な時なのかもしれない。


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