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フールナイト

先月単行本1集が発売された、安田佳澄先生の『フールナイト』。

一言素晴らしい漫画である。傑作。
冷気を感じるSF、花と人の御伽噺。


舞台は24世紀の地球。分厚い雲に百年以上覆われて、冬と曇しかない過酷な環境が植物を枯らし、その対策として『転花』という方法が施されます。
『転花』は植物の種を身体に埋める手術を行い、その結果植物化することを指すのですが、植物となった人間が酸素を放出するわけです。転花すると、とんでもない造形の人間植物になり、妙な言語を喋り、二年後には完全に植物になります。もう人間には戻りません。
その代償として、1000万円が支給されます。
この世界で、主人公のトーシローは底辺の生活を送っています。『ここで3年働いて2万円貯めた』、というセリフが彼の境遇を如実に表しています。
彼はついに転花に手を出して…という話です。

期待の新人作家ということで興味を持ち読んでみましたが、世界観の構築や構図、設定など、確かに異質なものを感じます。
第1話のクオリティが尋常じゃない出来です。

作風としては、『ホムンクルス』とか、ああいうノリに似ている気がします。

絵は独特のタッチで、人を選びますが、強いて言えば『チェーンソーマン』に似ているような…(主人公のトーシローがデンジに似ているんですよね)。

転花手術などを行う転花院の建物のデザインなど、美しいデザインで、耽美的な世界になっています。

ドラマ化は難しい(結構ハード、この素晴らしい世界を描くためには、並大抵の美術では駄目だと思います)かもしれませんが、映画化はできそうで、2集もすごく楽しみな作品です。




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