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邦題って難しいんだろうな。

『ミラベルと魔法だらけの家』を鑑賞。
ネタバレも書く。

舞台はコロンビアである。

コロンビア、といえば、一昨年くらいに観た『MONOS 猿と呼ばれし者たち』は傑作だった。

モノスはコロンビアで発見されたUMAだという。UMAといえば、UMAハンターのシュート・マクマホンが思い出される……。

まぁ、『MONOS』は南米コロンビアの内戦と少年兵を描いた作品で、
ある種の『蝿の王』ともいえるが、反対に、『ミラベル〜』のコロンビアは極彩色に染まった美しい世界である。

最高の舞台立て、画面のレイアウトもいいんですよ。後半失速するけど、前半は神がかってると思うよ。


『ミラベル〜』は、多様性について描いている。多様性とは、最近良く聞く言葉である。そして、最近のディズニーはポリティカル・コレクトネスの傾向が顕著であり、その件で炎上していたりする。

まぁ、ディズニーは昔から各国の童話をディズニファイして自分たちのものにしてきているので、今に始まったことではないし、多くの批判を毎度毎度受けている。
『ムーラン』の実写に関しては主演女優の発言で叩かれてるし、『ポカホンタス』もネイティブ・アメリカンから叩かれているし、『ライオンキング』はジャングル大帝レオのパクリだと叩かれているし、『アトランティス/失われた帝国』は『ふしぎの海のナディア』のパクリだと叩かれているし、ディズニーは昔からそうやって色々叩かれているので、今更ビクくともしないだろう。
これからも、形を変えながら、観客を挑発し、王国は拡大していくのだ……。

私、意外とこの映画とか好きなんだよね。ていうか、基本的には1980年代後半から2000年代前半の2Dディズニーは好きなんだよな。『ムーラン』とか大好きだよ。

『ミラベル〜』はミュージカル映画であり、家族の再生の物語である。そして、持たざるものの話である。

あらすじは、まぁ、面倒くさいから公式HPを観て頂きたいのだが、とにかくミラベルの家系は一人ひとり、念能力を授かりそれを発動できる一族であり、その力で家族は繁栄してきたのである。偉大なお婆ちゃんがいて、彼女が家族を仕切っており、一人、家を出ていった変わり者、はぐれ者の叔父がいるという、まぁ、『サマー・ウォーズ』みたいな状況なのだが、他の人々は念能力を駆使して、楽しく生活している。

然し、主人公ミラベルは酷なことに、無能力者だったのである……。
まぁ、歌がべらぼうに上手いので、それが既に魔法の気もするが……。なので、ミラベルは明るく振る舞いながらも、心は傷ついており、引け目を感じている。お婆ちゃんが、皆ばかりよくしている気がする、依怙贔屓している気がする……(まぁ、実際している感も……)。

今作は持たざる者の物語である。そして、実は持たざる者も、持っている者も、互いに心の中には葛藤と苦しみがある……という物語であり、最後にはお婆ちゃんがそのことに気付かされる話である。

貴方がたも経験があるだろう。依怙贔屓されているのでは……。あの人の方が、私よりも愛されている……。どうして、私はこんなに不幸なんだろう。何か才能が欲しかった……。

ミラベルは、そういう負の感情と折り合いをつけて頑張っているのだが、最後にはクソバ…、いや、お婆ちゃんにその思いをぶつけるのである!ついでに、悩める他の家族の悩みまで代弁して。
あんたのせいだろうがー!そういえば、カジモドも最後にフロローにそんな風に、え、おかしいのお前じゃね?と詰め寄っていたな……。

お婆ちゃんにはお婆ちゃんで色々と苦労心労があるのだ。コロンビアの負の側面も描いていて、その犠牲者でもある。

私が一番衝撃だったのは、え!これで終わり!?という幕切れである。
まぁ、今作には絶対的なヴィランは登場しない。ヴィランとなるのは、基本的には関係性そのものであり、家族そのものである。
私は、ぶっちゃけ、ながら見をしていたため、気付いていたら、エンドクレジットが流れ出したのだ……。

然し、才能があるかないか、そんなことを皆気にし過ぎである。
才能はなくて当たり前。あればウルトラにラッキーであり、基本的には1億人に1人くらいで、あとはどんぐりの背比べなので、気にしなくてOK!
基本的には運がものをいうのだ。そう考えて、どーんと構えておけばいいのである。






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