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書店パトロール52 知らない人に惹かれてしまうの

書店をぶらつきながら本気出して考えてみた。

私は、今後いつ新刊書を買えるのか、ということを。

最近古書でお金を使ってしまい、悲しいかな、暫くは今まで以上に新刊書を買うことは出来ない。まずは、『HUNTER×HUNTER』の38巻が9月に発売される。これは嬉しすぎる。そして、そろそろ『フールナイト』の9巻も発売されるし、油断大敵である。

つまりは、そんな私が書店に来ても、立ち読みするだけの嫌な存在であり、書店においては害悪でしかない。そういえば、昔、月曜日になると、週刊少年ジャンプを立ち読みにきた男共が店先に溢れていたが、立ち読みは客寄せになるからいいんだ!という意見があった。然し、今は完全に立ち読みは出来ない環境が整っており、そのせいで客が減ったという話も聞いたことがない。あれは結局どうなんだ?普通に本が汚されていただけでは?

で、クリスチャン・ボルタンスキーの巨大な本を手に取る。

この、増補版が並んでいたのだ。死者のモニュメント。2019年に開催された大規模な回顧展に合わせて、増補版として再刊されたようだ。値段は6,000円。私は天を仰いだ。6,000円、というと、私のだ~いすきな抹茶クリームフラペチーノが7本くらい、グランデサイズで買えるではないか。
こういう、私の詳しくないアーティストの本を読む、というのも重要だが、はっきり言って特濃本である。私の手に負えないだろう。

そんな横に、大好きなフランシス・ベーコンの対談本が。

ずいぶん昔に出版された本だが、こういう本を読まずして、大好きな、などと、そのようにのたまう私は自分を恥じた。然し、以前、ニューヨークに留学していた頃、ザ・ミュージアム・オブ・モダンアート、即ちMoMAに何度も観に行くくらいには、ケヴィン・ベーコン、じゃなかった、フランシス・ベーコンの絵はやはり好きなのだ。
と、ここでMoMA Design Storeを見ると、NYヤンキースのホワイトキャップが。かっこいい…ほしい…。うう…。6,000円くらいするが、私はその数字に、ボルタンスキーを思い出した。

そんなベーコンを尻目に(どんなベーコンだ)、私はニコライ・ゲーの評伝に興味を移す。

ニコライ・ゲーは、その作品のみならず、その人生の流れもまた興味深いロシアの画家であるが、私は、この評伝が欲しいと思った。こういう、孤高的、かつ、数奇なタイプ、変竹林な人間にすごく興味を覚える。
然し、すぐに諦める。3,300円という高額に腰を抜かしたからだ。
ニコライ・ゲーは19世紀の画家で、まぁ、日本では全然知名度がないが、こういうマイナーな本は、一体何万部くらい刷られるのだろうか。5000部くらいかな?

さて、次に気になったのは、『板倉鼎・須美子 パリに生きたふたりの画家』。

今年の4月〜6月に千葉市美術館で行われた展覧会の図録である。
図録、というものはいい。私は、好きな画家の本を買うなら、古書でもいいが、図録が充実しているので一番好きである。
画集の、あの不必要なデカさ、というのも棄て難いのだが、然し、図録は、年表から作品から情報が充実していて、しかも丁寧でレイアウトもセンスが良いものが多い。何よりも、価格が比較的安いので(2000円〜4000円くらい)、何か、お買い得感がある。

さて、私はこの方たちを存じ上げなかった。私のこの節穴の眼は、どれほどの芸術家たちを取りこぼして来たのだろうか。
然し、この板倉鼎さん、なかなかの男前である。こういう男前で画家、というと、なんか萌えちゃうな〜。

そして、その後気になったのはこの津山の写真集。

私は意外に写真集が好きで、特に、建築系が大好きである。この本も、津山の自然や建築物を美しく捉えていて眺めていて飽きない。やはり、写真はいい。
そうして、写真集を眺めていると、やはり、美術だけじゃねぇ、漫画も、文学も、それから写真も、私はまだまだ全然足りてねぇ、そう思わせてくれる。まぁ、そもそも足りてねぇのはお前の財布の中身だけどな、と、そう、書店員さんの心の声が聞こえて、私は膝から崩れ落ちた。









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