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偽バービー

エスクァイア日本版の2000年3月号を読む。

この号はホラー映画特集だったのと、『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』の特集があったので読む読む。

この号はホラー特集で超濃厚だった!


今日、『VIVANT』の最終回があって、まぁ、私は観ていないのでコメントする立場にはないが、ああいう、考察系とかで流行る作品は結構ある。
若しくはその場その時代の熱量において。

『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』もそういうタイプの映画で、まぁ、ホラー映画だが、気持ち悪いタイプの映画で、ゾッとする。私はホラー映画は好きだが、未解決系事件が一番怖い。それと水棲生物。ネッシーとか写真見ただけで全身怖気が襲う。

で、エスクァイアだが、一番始めに、『闇の中に響く声』という、8ページほどの犯罪ルポルタージュを読む読む。
私は、異常性犯罪者、シリアルキラーなどの記事を読むのが好きで、それなりに詳しいのだが、今号に掲載されていたケリー・スタイナーの事件は識らなかった。
まぁ、詳しくはスティーブン・スタイナー誘拐事件のwikiでも読んでほしいのだが、1970年代に7歳で誘拐されたスティーブン君がケン・パーネルという変態に、学校の前で誘拐されてから、脱出までの7年間、性的な暴行・監禁を受け続けた事件である。パーネルは、学校の前で宗教関係のパンフレットを配り、丁寧に教えを受けていたスティーブンを上手く拐かして連れ去り、そのような愚行に及んだ。
で、スティーブン君は事件のトラウマで生還後も麻薬とかに走り、モデルになったテレビ映画やその他の仕事で手に入れた4万ドルも僅か3ヶ月で溶かすほどに心が病んでいた。
そして、彼が24歳の時にバイク事故で死亡するのだが、その兄が冒頭のケリー・スタイナーである。
この一家は、その後兄弟の叔父さんが何者かにショットガンで頭を撃ち抜かれて死亡する陰惨な事件の被害者にもなった。
そして、1997年、今後はケリー・スタイナーが逮捕される。4人の女性への強盗、強姦・殺人である。

私は、このルポを読みながら、相変わらずのアメリカの広大さ、殺人の大雑把さ、スケールのデカさに驚きつつ、因果、というものを考えざるを得ない。様々な謎、関連性、影響を孕んだ事件だが、極めてアメリカ的な気がする。
アメリカ的な事件と日本的な事件は本質からして異なるようにすら思える。

こういう、雑誌の記事、渾身の記事というのは面白いものである。そこらへんのハードカバーの小説よりも心に傷跡を残す。
この記事も、ケリーの殺人シーンの描写は下手な小説よりも上手かったし読みやすかった。

エスクァイア日本版を、私は定期的に中古で購入し、呼んでいるが、非常に良い記事も多く、中古なので安く、新しい雑誌を読むよりも面白い。
私は仕事柄、広告に関して非常に興味があるが、昔の広告はデザインのレイアウトが良いものが多い。なので、勉強になる。と、思いつつ、今回のサムネに使わせてもらったKENTの広告だが、私は煙草を嗜まないので、まぁ、煙草というものの持つ蠱惑的なオーラには惹かれるものの、実際には吸わない。いや、一度だけ、大学生の頃に、めちゃくちゃ可愛い中国人の子とベランダで夜景を見ていたとき(高さは3階だが)、彼女の吸っていた煙草を差し出されて、それを吸ったことがある。これが私のただ一本の煙草であるが、まぁ、然し、煙草に関して世の中も変わってきている。

この号が発売されたのは2000年だから、今から23年前だが、まだまだ大々的におっさん向けの雑誌にはこういう広告が載っていたわけだ。
今もなのか?しらんけど。

偽ブラッド・ピットのような。このカースト上位感はどうだ。ただ全員に言えることは、空虚な眼をしていることであり、そもそもここはどこやねんと。

で、これはもう『バービー』だな、というほどのザ・白人たち、という爽やか空間が現出しており、いや、爽やか、というよりも、どちらかというと濃すぎて胸焼けがするが、まぁ、しかし、こういう見開き2ページでドーン!の広告は私は大好きで、昔の広告はよく見るのだ。
で、ファッションブランドの広告は色褪せないのが多い。時代性も相まってより強固になる。
結局、レイアウトやデザインに正解はないけれども、美しいと言える座標は変わらずにあって、あとはそこでどう表現していくのか、それが重要なのかもしれない。

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