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大企業病と戦うエンジニア①

私はいわゆる大企業のメーカーで働いているのですが、最近大企業病を強く感じることが多く、危惧しています。

大企業病の定義ははっきりとはないみたいですが、多くの人が言語化したことで言えば企業規模が大きくなるにつれ、責任の所在が曖昧になり、意思決定が遅くなってしまうことのようです。

これはバッチリ私の今の会社に当てはまっていて、どうにかせねばと考えているところです😂

1人でどうにかできる問題ではないと知りつつ、このまま放置したら私の会社の危機にもなるので、同じ危機感を持つ管理職のメンバーでどうにかできないか画策しているところですが、コンプライアンスに触れない範囲でnoteに書きます。
(もちろん会社名とかは出さないですよ笑)

でもこの先大企業病ネタをたくさん書いていくことになると思うので、今回はその前座として、丁寧に書いてみます。

まず、製造業のものづくりのフローは、大まかにわけて
研究→企画→開発→製造
になります。

私は食品業界ではないですが、以降は分かりやすくお弁当を作る例で説明していきます😀

私が携わる企画開発の仕事は、いろんな具材を調査し、いいものを集めてお弁当にして、顧客が欲しい形で売ります。

具材の中には社内で作るものもあれば、外から買ってくるものもある、といった感じ。

企画の仕事は、本来ならどういうお弁当を作って、誰に対してどのくらいの値段にしたら利益がたくさん出るか?を考える仕事です。

開発の仕事は、本来なら顧客価値に響く要素(味、価格、見た目)などのクオリティを高める仕事です。

これは一般的にイメージしている業務内容と、そんなに違いはないところでしょう。

しかし、「本来なら」とわざわざ書いているのは、大企業病にかかると、その本質の業務に避ける時間が減り、何故か調整ばかりに時間が費やされてしまうということを今回言いたいのです。

先程、ものづくりのフローは研究→企画→開発→製造と書きました。

小さい会社であれば、自分で考えた製品を自分で作って売ることができます。

例えば料理好きのおばちゃんなら、自分で研究した味付けで、構成を自分で考えて、スーパーで買ってきた食材を使って、おしゃれなお弁当箱に詰めて売るところまで、全部一人でできますよね😀

※厳密には物を売るときに国に事業許可が必要ですが、本質とは異なるので省きます

でもこれが大企業になるとそうは行かない。

・研究した味の確認は大人数で意見出しながら
・お弁当の構成は複数のエンジニアと品管がレビュー
・食材は指定の得意先の中から資材が実績重視で選び、偉い人の承認必須
・お弁当の詰め方はロバスト性があるかを工場の大人数で何度も確認する
みたいなことが起きます😭

要は企業規模的に1人で全てを担うのが難しいため、部門に分けてミッションが置かれるということです。(ただし手戻り負担や責任は全て開発側にかかります😂)

具体的には
・具材を探すのは調達部門
・お弁当の中身を決めるのは開発部門
・お弁当を詰めるのは製造部門
・お弁当を売っていいか判断するのは品証部門
・顧客に売るのは営業部門
のように職務分担されるわけですね。

それに留まらず、
具材調達などで仕入れ先と契約を結ぶときに法務部門が登場したり、
開発に関わる設備導入など、設備投資の判断に総務部門や経理部門が登場したり、
開発に関わるあらゆるシステムを導入する際にシステム部門が登場したり、
言わば細かな決め事のたびにスタッフ部門が登場してきます。

良く言えばこれだけ多くの人が関わっているため、高品質な製品をたくさん世の中に出せるわけですが…

悪く言えば関わる人が多い分だけリソースを割き、製品開発に時間がかかるわけです。まさに大企業病の定義に当たる部分ですね。

事業規模の拡大につれて役割分担が発生すること自体はその通りで、効率化される部分はもちろんあるのですが、各部門の個別最適が全体最適にならなくなっていくのが大企業病のウイルスです😭

例えば調達部門のミッションが「安く買うこと」を成果指標にし始めたり、品証部門が「クレームを0件にすること」を成果指標にし始めたりします。

一見すると間違ってないように感じますが、安く買い叩くために品質が落ちて、それがクレームになることはあります。
逆に、クレーム起きないように品質の良い部品や材料を買うと「安く買うこと」が難しくなります。

しかしそれらの調整は商品の中心にいる商品開発のチームがやることになります。

ここにさらに環境部が「環境にやさしい材料を80%以上使う」とかいう目標を出したり、営業が「高売り戦略しよう」とか言うわけですね。

もちろん、安くて環境に良い食材を使って、クレームなく高売りすることができたら理想ですし努力はしますよ。

でもそんなのは無理なんですよね。
その結果として調整が難航して時間をロスしていくんです😭

もっというと、クレームがゼロは結果の話なので、それをなくすために過去のクレームを全部網羅するような大量項目のチェックリストを用意して、
「これを埋めて提出しなさい」と言ってきます。

そこには本来この製品には関係ない項目も含まれて、過剰品質になり価格が上がってしまうのです😅

私が焼肉弁当を作っているのに、アニサキスがいないか?をチェックさせられたりするイメージです。

そんなのチェックつけるだけじゃんって思うかもしれませんが、それを実際に測定などで根拠を示して残さないといけないんです。

そういう項目が大量にあり、時間とコストがかかっていくわけですね。

そもそも商品部のミッションは売上や利益を作るまたは増やすことが第一目標になります。

売上があっての事業であり企業活動なので、商品部が利益を作ることが、企業価値を左右するとも言えます。

その商品部が調整ばかりに時間を取られることで売上や利益が下がってしまい、大企業の体力が削られていくという病気です。

優秀な人材がいても、全然自分が思うようなモノづくりの提案ができない上に、本質の開発に取り組む時間がなくなってつまらなくなり辞めていく。

私はこれが大企業病の実態だと思います。

うちの会社はまだそこまで来てないものの、予兆は感じるところがあるので、取り返しがつかなくなる前に動きたいと考えています。

根本原因は管理部門に対する評価機関がないことだと私は思っていますが、この点は長い考察になるので別の記事にしようと思います。

また、この大企業病をどうやって打開していくのかについても少しずつ書いていく予定です。

もし共感してくださる方がおりましたら、いいねしてもらえると嬉しいです😀

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