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大学教員公募:内定をいただいた際に提出した教育研究業績書・自己評価報告書を公開(有料)

大学教員公募における書類の一つの山場が、教育研究業績書です。中には、これとは別に自己評価報告書の提出を求める大学もあります。この書類の難しさは、①嘘をついてはいけないが、②なるべく凄そうな外形を装い、しかし③高慢ちきにならぬよう程よい謙虚さを感じ取ることのできるものにしなければならないところにあります。
これらは、以前執筆した記事「人事の裏話」等ですでに述べたとおりです。
①→嘘をつく(盛る)と、面接で突っ込まれた時に困ります。
②と③の両立は難しいですが、私なりのコツは、できるだけ修飾語を省くことです。「非常に」「大変」等を削り、淡々と凄みのあることを書くことで、ある程度文面の印象は改善されます。

書類作成ですでに四苦八苦しておられる方、またこれから取り組む予定の方、あるいは既に取り組もうとしているがとっかかりがなく困っている方等、たくさんの方がおられることと思います。

私も公募戦士当時、どのように書けばいいのか、まるで手掛かりがなく雲をつかむような心地で書類を作っていました。何かしら参考になる、しかも採用実績をもつ「実物」があればなあとネットを漁りつつも、そんなものあるわけもなく自分なりに工夫を繰り返していました。

採用から1年以上経ち、本アカウントの記事閲覧数・フォロー数が予想外に伸びているのを見て、一念発起して私が提出した「実物」を公開しようと思った次第です。
例により、自分の情報にはそれなりに気を遣っていますので、個人情報が特定されうる大学や専門等については〇〇、△△等で修正してあります。業績一覧については参考ならないため、件数のみで全略です。それでも、文字数からも分かる通りそれなりの情報量です。
採用をいただいた実績付きのものですので、特に、書き方、文量、内容等で困っている方や、合格ライン(これも当然絶対的なものではなく、大学により異なります)を覗きたい方にとってはかなり参考になるかと思います。
1000円は安くない値段ですが、修正ありとはいえ個人情報の塊のような記事ですのでその点ご了承ください。

内容は、一目瞭然ですが、研究業績より教育実績のアピールに力を入れています。私大や中堅レベルの国公立向けといえるでしょう。
現に、この教育研究業績書と自己評価報告書で、Aランクの国公立大とDランクの私立大で内定を勝ち取っています。本記事はAランク国公立大に提出したものですが、Dランク私大にも微修正を加えたほぼ同じものを送付しています。
これまで執筆してきた他の記事と合わせてご参照いただけますと、より書類のイメージがより具体的になろうかと思います。

これから公募戦士になる方や大学教員を目指す博士後期課程の方に向けて、書類でどのようなことを書かなければならないのか、項目を挙げておきますので参考にしてください。

【教育研究業績書】
1.教育上の能力に関する事項
(1)教育方法の実践例
(2)作成した教科書,教材等
(3)教育上の能力に関する大学等の評価 
(4)実務の経験を有する者についての特記事項
(5)その他
2.職務上の実績に関する事項
(1)資格,免許
(2)特許等
(3)実務の経験を有する者についての特記事項
(4)その他
3.研究業績等に関する事項
(1)著書
(2)学術論文
(3)実践報告
(4)その他の著作物
(5)翻訳
(6)制作
(7)作品
(8)演奏
(9)競技歴等
(10)主な学会発表

【自己評価報告書】
1.教育活動
(1)教授法の改善成果(授業に対する評価)
(2)カリキュラム開発への貢献
(3)テキストの刊行と改善
(4)シラバス改善 
(5)学生による授業評価結果
(6)卒業論文・学位論文の指導実績
(7)一般教育への貢献
(8)専門分野に関わる啓蒙的著作
(9)FDプログラム等教授法改善プログラムへの参加
(10)教育関連論文・講演
(11)学生のキャリア開発への貢献
(12)公開授業報告
(13)オフィスアワーの指導実績
2.研究活動
(1)研究業績の解説と自己評価
(2)業績の紹介
(3)学会活動実績
(4)学際的研究
(5)学外の研究助成への申請並びに採択状況
3.大学運営協力
(1)教授会出席状況
(2)各種委員会活動状況
(3)行政業務協力状況
(4)学生活動支援状況
4.社会貢献活動
(1)学会、教育界、公共関係審議会等への協力状況

以上です。専門分野の特質上、「該当事項なし」がでるのは当然ですが、特に教育に関する項目については少しでも空白が無いほうが吉です。上記の項目を念頭に置きつつ、これから教育・研究活動に従事していかれるとよいかと思います。

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