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【大学教員公募】お荷物教員から公募のニーズを考える

こんにちは。書きたいことが溜まる一方ですっかり筆が止まっておりました。
仕事が充実しているゆえです。ありがたい限りです。

はじめに

今回このテーマで記事を書きますのは、最近、(失礼を承知の上ですが)おそらくどこにでもいるであろう、「お荷物教員」が目について仕方ないからです。半分憂さ晴らしです(笑)。その方への恨み辛み批判はともかく、面白いことにお荷物教員への批判の目と、入職される方への期待は密接に関連しています。お荷物教員を冷ややかな目で見ている人と採用人事の担当者が同一人物である可能性が高いからです。

どのような教員が大学組織にとってお荷物なのでしょうか。正直な話、自身の研究にどれくらい熱心であるかは、あまり関係ありません。研究しない教員は、お荷物というよりは、「研究もまともにせずどうやって学生を指導するのか」と蔑視されるだけです。
組織にとって鬱陶しいのは、あくまで私の主観ですが、「学内業務を引き受けない」「(特に低いレベルの)学生指導を嫌がる」この2つです。もう少し敷衍してみましょう。

学内業務を嫌がる教員

大学組織には様々な形態がありますが、たいてい多くの部署があり、各所で教育職員と事務職員が連携をとりながら働いています。
〇〇部長や評議員といった立場や人事課、企画課など法人運営に関わる部署もありますし、入試課、施設課、情報課、広報課、学術研究課など大学の内部に関わる部署、さらに教務課、学生支援課、国際交流課、キャリアセンターなど学生生活に関わる部署など、様々です。これらの部署に、例外こそあれ基本的に学部・学科から教員が1〜2名ずつあてがわれ、学内業務に取り組んでいくのです。
部署の中には、当然業務負担の重いところ、軽いところがあります。手当が出るところがあればないところもあります。教員にとって業務負担が重い部署は、物好きでもない限り忌避の対象になるのですが、職務を平等に分掌するため、数年に一度は必ず回ってきます。その時には諦めて、粛々と業務を遂行しなくてはなりません。
ところが、こうした重役から逃げ続ける教員が、しばしばいるのです。彼らは様々な言い訳を並べます。その最たるものは、「家庭の事情」です。これを出されると、引っ込まざるをえません。伝家の宝刀を軽々しく振り回しているのです。
誰しも、大なり小なり家庭の事情はあることでしょう。そこは折り合いをつけて、できる範囲で業務にあたれば良いのです。自分の仕事量(外形的な量ではなく、エフォートの話です)が調整できず、プライベートを理由に仕事から逃げる教員の尻拭いは、別の教員が引き受けるのです。もちろん、組織からは嫌がられます。

学生指導を嫌がる教員

ここでいう学生は、学力のレベルが及第点に達していない、あるいは素行不良の学生です。優等生の指導を嫌がる教員などいません。彼らは指導の質をよそにメキメキとレベルアップしていきます。滑稽なことに、お荷物教員は、我が物顔でその優等生のことを誇るのです。「私の指導の賜物だ。」と。
一方、大学には一定数、勉学に苦しむ、あるいは大学に来なくなる学生がいます。優等生ではなく、こうした学生をいかに指導するかというところに、大学教育の眼目が置かれていると言っても良いでしょう。リアルな話ですが、こうした学生の離学率を下げ、きちんと就職させることが、大学の生き残り合戦に通ずるのです。
こうした視点から先のお荷物教員を見た時、その人がいかに無力かがわかるでしょう。課題をたくさん抱える学生に寄り添い、彼らの心を開き、大学生活を支えることのできる人物こそが、大学で重宝される教育者です。苦しむ学生には目もくれず優等生ばかりに媚びる教員は、組織はおろか学生からも好かれません。

大学教員公募に活かす

この記事を読んでおられる公募戦士の方は、どのように「抱負」を書くか、面接に臨むか、ということに神経を注いでいるでしょう。実際には様々な書き方があるかと思いますが、私は、「学内業務にも真摯に取り組むことができる」「問題をたくさん抱える学生への指導ができる」の2つを押すことをオススメします。
人事の担当者は様々なことを考えますが、どこかで必ず「〇〇先生ー本記事でいうお荷物教員ーみたいなのが来たら困るな〜。」と考えています。逆に、〇〇先生の穴を埋めることができそう、と思わせることができれば、好印象です。
バレる嘘をついてはいけません。自身の経験から、上記2点を匂わせることを書くのです。例えば、以下の経験は上手に応用できそうです。
<学内業務>
・学生時代の雑務経験→業務全般
・前職での雑務経験→業務全般
・アルバイトの経験→業務全般
・留学経験→国際交流系
・塾や予備校での経験→入試系、学生支援系
・プログラミング、情報分野が得意(→情報系
・科研の採択経験→学術研究系
・社会人経験→キャリア系

<学生指導>
・小中学生の指導経験
・学力の低い生徒の指導経験
・非常勤先や前職での授業評価アンケート
・現代社会のトレンドに沿った授業展開の経験(展望でも可)…いわゆるアクティブラーニングについてどのくらい考えているか、ということです。

※指導経験がない状態から説得力のある話をするのは、正直難しいです。教歴が大事、と言われるのは、まさにこういうところだと思います。

「抱負」の書き方や面接準備で困っている方がいましたら、是非、上記2点について自身の経験をアレンジしながら、書いてみてください。プラスして研究についての抱負が多少あれば良いかと思います。どのようにアレンジするかは、別の記事をご参考にしてください。
大学教員の仕事は、研究、教育、学内業務の3本柱からなります。研究は誰でも書けますし大して差はつきません。他の2つで差のつく書類作り、面接準備を心掛けてみてください。
ここまで読んでくださった方のお力になれれば幸いです。ありがとうございました。

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