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グラフィック・デザイナー(50代)の苦悩 テーマ#06 たかが返信、されど返信

みなさん、こんにちは。フリーランス・グラフィックデザイナー(50代)のブブチチと申します。デザインを生業にして30数年。気がつけばシニアと呼ばれるにふさわしい年齢になっていました。noteでは、デザイナー人生においての出来事や学んだ事を自身の体験を交えながらつらつらと自由に書き連ねています。お時間ございます時にゆるくご一読いただければとても嬉しく思います。

いかがお過ごしですか?ブブチチです。最近、我が家に子猫が仲間入りを果たし、2人(夫婦)と2匹(モジャモジャの黒トイプードル♀とキジトラ子猫♂)の世帯になりました。田舎道の端っこで消えかかっていた小さな命をどうしても無視できずに、奥さんの胸に大切に抱きかかえられてやってきたその子猫は、今では先住犬である黒いモジャモジャ姉さんの後を追っては、水の飲み方やゆっくり休める涼しい場所などを見て一生懸命覚えているようで、その微笑ましい風景にホクホクしています。

さて、今回はいつも以上にとりとめもないお話しになってしまうかもしれませんがなにとぞお許しください。普段から感じているモヤモヤとともに綴ってみたいと思います。テーマは「返信」について。しばらくお付き合いくだされば幸いです。

バタバタしてて・・・という免罪符

「緊急の案件だから超特急でやってほしい」
お仕事の依頼を受けて生計をたてていらっしゃるデザイナーの方なら、こんな依頼を受けられた経験が一度ならずともあろうかと思います。普段からお世話になっているクライアントのお願いならもちろんのこと、例えそうでなくとも、ご自身のさまざまな思惑から「ここはひとつ踏ん張るか」と休日返上、その他の仕事はいったん保留の最優先で制作に取り掛かったこともおありでしょう。僕も幾度となく経験があります。お仕事を引き受けるという選択自体は強制されたわけでもありませんし、休日返上であろうと徹夜必須であろうと僕の意思で引き受けたことなので、その点に関しては、もちろん文句や愚痴などは一切ありません。

で、ここからはデザイナーあるある話。要望期日までに大急ぎで仕上げ、なんとか無事提出できた。が、肝心のクライアントからのレスポンスが全くなく、念のためのお伺いメールもスルー。電話もつながらない。折り返しもない。少し心配だけど忙しいって言ってたし、きっとこちらにレスする時間さえないのだろうなと思いながらの1週間後・・・。

「ずっとバタバタしてて・・・。チェックしようと思ったら、送ってもらったデータのダウンロード期日が過ぎててダウンロードできないんです。今すぐ再送してくれませんか?」との要求。

約束の期日から一週間の放置&確認するどころかダウンロードさえしてなかった・・・。

ねえねえ、すっごい急いでるって言ってなかった?
めっちゃめちゃ困ってるって言ってなかった?
受けてもらって本当助かります!って、しをらしいこと言ってなかった?
僕の中のドス黒いモヤモヤが一気に噴き出る瞬間です。

「この一週間、いったい何してたんですか!?」なんて、もちろん間違っても口には出しませんよ。でも・・、でも・・、でも!!!

たかが返信、されど返信

僕には自身に設けたいくつかの自己ルールがあります。フリーランスになってから10年の間に付け足したり改訂したりしながら、ひとつずつ出来上がってきたルールです。あっ、ルールと言ってもそんなに立派なものではありません。「21時以降は食べ物は口にしない」とかそんなレベルのもの(笑)。

で、その内のひとつに「ありがとう。ごめんなさい。わかりました。は一日以上おかない」というものがあります。ありがとう、ごめんなさいはともかくとして、わかりましたは、メールに限らずなんでも僕からのレスポンスを期待されているものを受け取った場合、その内容についてすぐにお応えできなくとも「まずは承りましたご連絡まで」として可能な限り早く、そして必ずレスする事を自己ルールとしています。当然と言えば当然のことなので、いい年齢をしたおっさんが改めてルールなどと偉そうに語るべきではないかもしれませんが、これはこれで結構大変なんですよ。でも、素早い返信ひとつがあるかないかだけで、お相手にとっての「ちゃんと伝わったと言う安心感」はかなり違うような気がします。

「即レスなんてとても無理。クライアント中心の生活なんてまっぴらだし、だいたいクライアントだからってそこまで気を遣うというか媚を売る必要はないんじゃない?」

昔、知り合いである同業者からそんな風に言われた事があります。ごもっとも。それなりに負担だし、正直言って面倒だなと思う気分の時があるのも確か。でも、クライアント中心の生活というのは少し違うかな・・。

たかが返信ひとつだとしても、結局はお互いがお互いのことを気遣い思いやる関係と言いますか、信頼し合える環境をそこに構築する意思があるかないかの話ではないかなと僕は思います。もちろん、僕がお付き合いのあるクライアントが冒頭にお話差し上げたような方ばかりというわけでは決してありません。むしろ同じように、こちらから送ったものに対して必ずなんらかのお返事を即時くださる方々が多数いらっしゃいます。偉そうな言い方になり恐縮ですが、やっぱりそういう方達とは良いプロセスを経て良いデザインが生まれていると感じるのです。

また、普段から受け取ったものに対して必ず返信することを習慣化していると、逆に僕からの返信がない時は、僕に伝わっていないのでは?と送りっぱなしにせずに再確認してくださり、そのおかげで事なきを得たことも幾度となくあります(そういう時はたいてい、先方か僕側のネットワークのトラブルで全く伝わっていなかったいうことが多い)。クライアント中心の生活という指摘を否定するのは、何かの時には違和感が生じる環境を自らが作っておくことによって、僕らのようなフリーランスにとっては貴重なセーフティネットにもなり、機会損失を防いだり自身の信頼を守るためにもおおいに役立っていると思うからです。

Not 送った=伝わった・・僕の反省

しかし時に、僕自身、送った=伝わったと勘違いしている思考になっていることに気がついて猛省することがままあります。画面に向かって送信というボタンをクリックしたに過ぎないのに、わかってもらえているという思い込みに繋がることは本当に恐ろしいことです。「伝える」ことを生業にしているくせに本当に恥ずかしい・・・。デジタルテクノロジーにおけるコミュニケーションの進化は、時に肝心の目的を見えにくくしていることも常に注意しておかないといけないことかもしれませんね。

さてさて、毎度のことながら、これと言ったオチもない駄文になってしまいました。ごめんなさい。

最後にひとつだけ。冒頭にお話ししました急いでいたはずの依頼の件の続き・・・。放置されていた一週間におけるご担当者のインスタには、それはそれは華やかで充実したグルメやレジャーの投稿がマメにアップされていたことを、ここにいらっしゃるみなさんにだけ打ち明けて終わりたいと思います。

今日も最後まで読んでくださって本当にありがとうございます。この感謝感激があなたの元に届きますように・・・。では、また。

                                ブブチチ


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