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好きなような嫌いなような【がっこうはじごく】

タイトル的に興味をそそられる面白そうな本が発売されるぞー!!とSNSでお見かけして気になった「がっこうはじごく」という本を買ってしまった。

がっこうはじごく

タイトルから学校の悪いところをつらつらと書いたエッセイなのかなと思ってたら「がっこうはじごく」「がっこうは嫌い」と思っている国語の非常勤講師からみた学校や生徒の話だった。
私はとにかく学校のクラスという「箱」が嫌いだった。
嫌いだったからこそ、絶対に教育関連の職では就職しないと誓ったから「がっこうはじごく」「学校は嫌い」と思う人が先生をしているのが不思議に感じた。
私は中学校が「がっこうはじごく」「学校は嫌い」と思っていた。
本のタイトルを見たときにその時の気持ちや思い出が刺激されてしまって、まんまと買ってしまった。
このタイトルを考えた方、著者さんか編集さんかは分からないが、センスが良すぎる。

著者が死ぬのが怖いと気づいたのは中学一年生と書かれてたとき、思い出したことがあった。
私は幼稚園の時「大きな古時計」を初めて聴いたとき「てんごくへのぼるおじいさん」という歌詞で「みんな最後は死んじゃうんだ!!」ということに気づいて大泣きしたことを思い出した。
あのとき急にお父さんもお母さんも弟もおじいちゃんもおばあちゃんもいつか自分の傍からいななくなってしまうと考えてしまって、しくしくと晩御飯までひとりで泣いていた。
母は訳わからず「なんで泣いてんの?」という感じだったが、私もそのときの自分の気持ちをうまく言語化できなかったので、母親に伝えることができず、泣くしかなかった。
自分が死ぬというよりは周りの人がいつかは死ぬかもしれないということに気づいた話だが、なんとなく似たエピソードだなぁと思った。

そんな自分の気持ちや考えを言語化する練習をするために、著者さんが国語の時間に生徒さんが自分の気持ちを書く時間を作ったり、エッセイを書く授業は良いなぁと思った!
今私はnoteやXに最近あったこと、ほんとうに思ってること、出来事を文章にして投稿している。
もし私が学生時代にそんな授業があったらワクワクしながら受けてたし、もしかしたら言語化能力が鍛えられたかもしれない。
学校が好きになってたかもしれない。
国語が一番好きな授業になっていたかもしれない。
そう思うと著者の授業を受けることができる生徒さんは幸せだと思う。

「大人」になるために、必ずしも学校を経なければならないわけではない。家庭外でも集団生活、社会生活を送る場があればきっと同じだろう。けれど、おそらくいまも昔も学校が手っ取り早い。だから無理してでも大人は子どもを学校を引きずって行く。ほんとうは学校には何もない、とわかっているはずなのに。だって、何があるというのか。そこには管理する大人がいて、管理される子どもたちがいて、集められた集団のなかでいじめを無くすことは不可能に近い。管理しやすくするため、という名目以外にはほとんど無意味な校則がある。毎日毎日、好きでも嫌いでもない授業がなされる。教室にこもった湿気ですぐ曇る窓(窓に落書きすると叱られる)暗い廊下、午前の耐えがたい空腹、授業中の突発的な緊張、ささやかなおしゃべり、午後の眠気、あってもなくてもいいような、過ぎてしまえば忘れ去られるような惰性と習慣が、そこにはただ流れてる。充満している。わたしたちはそこへ来る日も足を運ぶ。

がっこうはじごく

この文章を読めただけで、この本を買った価値はあった。
学校なんて茶番だ!と思いつつも、やっぱり学校の力はすごくて、勉強や集団行動を学べる環境としては優秀。
将来働いて税金を払う人を育成しないといけない場所だから、そりゃあそういう環境が出来上がるのは当たり前なんだが。
それは分かるし、行った方が良い場所だと認識もしているけど、やっぱりどうしても中学校は行けなかった。
学校に行けないのなら行けないなりにほかの道を選べば良い気もするが、なかなか人と違う道は選びにくい。
行きたくないけど、いわゆる「普通」のレールから外れるのは怖かった。
でも別に社会性や勉強を学ぶには必ずしも学校である必要はないからこそ、別にほかの道もあるはずなのに、それをパッと選べず悩む私たちがいた。

「先生」という存在は、小学生のときは学校の先生は何でも知ってる神様みたいな絶対的な存在のように思っていた。
先生は偉い人、従わないと行けない人、そんな認識だった。
中学高校になると先生同士でも仲悪い良いや人間性ががうっすら透けて見えるようになって「あぁ先生たちも私達と同じ人間なんだなァ…」と思うことが多くなった。
人間として、できた人ばかりではないことを知る。
良くも悪くも「先生も私たちと変わらない人間」ということがよく分かる本だった。
生徒側も「学校って変な場所だよね」と思っているが、先生も同じように思っている。
結局はお互い同じことを考えながら学校生活を送っていることが、コントっぽくて面白いと思った。

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