見出し画像

中学不登校でも単位制の高校には楽しく通えた話

私は大阪の公立の多部制単位制の高校に通っていた。
学年という概念がなく、必要な単位を取れば卒業ができる。
卒業したのは、もう10年以上前の話だが、今も高校は存在している。
風の噂では昔より不登校の学生さんが増えているので、単位制の学校は人気があるとも聞いた。
多部制単位制ってなんだと聞かれると、定時制の高校を想像してもらうと良いと思う。
定時制とは特定の時間帯に継続して学校に通う形態のことを言う。
私が通った高校は朝・昼・夜の時間帯に授業を行う「三部制」だった。
自分が所属する部で1日4時間の授業を受けることを基本として、卒業に必要な単位を修得して卒業をする。
私はこの中の朝の時間帯に毎日通っていた。
勿論毎日午前中の4時間の授業だけでは、3年で卒業に必要な単位を全て修得する事は出来ない。
この高校は通信制のコースもあり、併用できたので、午後は通信制の授業を取って単位を修得していた。

中学を不登校で悩んでいる学生さんや親御さんにはおすすめできる学校だと思う。


時間割を自由に組むことが出来た

学ぶ科目も自分で選んで時間割を作ることが出来た。
大学の授業みたいなイメージだと思う。
勿論必修科目はあるので優先順位はあったが、それ以外は比較的自由に時間割を組むことが出来た。
1、2年生で殆ど必修科目を取って、3年生は本当に興味ある授業を取って時間割を組んでいたように思う。
私は情報系の授業(エクセル・ワードの使い方)や美術や工芸の授業を多く取っていた。
このエクセル・ワードの授業は後に仕事で大活躍する事になったので正解だったし、美術は単純に好きだったので楽しかった。

クラスと部活動が嫌いだった中学時代

私は中学校が大嫌いだった。
勉強は好きだったが、クラスと部活動が大嫌いだった。
クラスに苦手な子が居たり、何をするにも集団行動というのが苦痛だった。
勿論学校では集団行動を学ぶ場であるという事は理解しているが、苦手なものは苦手だった。
部活動は小学校から仲が良かった友達がみんな吹奏楽部に入ったので、私も一緒になんとなく入ってしまった。
ぶっちゃけ言えば、楽器なんて全く興味がなかった。
吹奏楽にかける情熱なんて無いようなものなのに、演奏会など積極的に参加する部活に入ってしまい、これが毎日大変で。
先輩たちもキツイ性格の人が多く、人間関係も大変で、私はパンクしてしまった。
合わないのなら、辞めれば良かったのに、辞め方が分からなかった。
唯一良くしてくれた先輩がスパッと「美術部に行きたいから辞める!」と言って辞めた時、その決断が出来る事が羨ましかった。
私は当時から人の目を気にしてしまうタイプだったので、自分だけ逃げ出す事が出来なかった。
その後は色々な事が重なり、結局中学校には行けなくなった。

クラス行動がなくて楽

多部制単位制に興味が出たのは先生から「クラスや学年という概念があってないようなものだ」と教えてもらった事がきっかけだったと思う。
時間割も自分で決める事が出来て、授業の時間になったら指定の教室に行く。
クラスは一応存在しているが、クラス単位で動くことはない。
週1回ぐらいHRはあったが、10分ぐらい。
顔を合わせて、先生から連絡事項を周知されて、すぐ終了。
集団行動を強制しない所に魅力を感じたし、実際に入学した時に心の底から楽だなぁと思った記憶がある。

学校行事も参加自由

文化祭や体育祭などの学校行事の参加が自由だった事も嬉しかった。
学校行事は「これだけの時間数は必ず参加する事」という決まりはあったが、どの行事に参加するかは自分で選択出来た。
嫌じゃない行事に参加して参加時間数は稼いでいたと思う。
進路説明会で外部の専門学校の人を呼んでの説明会や、校外学習で映画を観に行ったりなどは参加した記憶がある。
体育祭や文化祭などは行事としてあるが、参加しなくてもオッケー!!
嫌なことは無理せず回避できる環境だった。
これも私にとってはとても有り難い仕組みだった。

それぞれ事情は抱えていた

この高校に通う人達は「訳アリ」が多かった。
元不登校だったり、全日制の高校に通ってみたが合わなかったり。
秋入学の人も多かったし、年齢もバラバラだった。
ギャルっぽい子も居たし、物静かな人も居た。
お互いにそこまで自分たちの事を詳しく話した訳ではないが、色々な事情を抱えている人が多かったと思う。
授業も最初の方は出席率はみんな高いが、後半になってくると来なくなる人が一定数居た。
朝起きれなかったり、授業についていけなかったり、理由は人それぞれあったと思うが、別に来ないなら来ないで別に全く気にならない。
なんかみんな授業に来なくなったなぁ…と少し寂しさを感じるぐらい。
ひとりで行動していても、それが普通だし、楽だった。

通信制の授業も楽だった

午後は通信制の授業を受けた。
授業は毎日ある訳ではない。
この回数は授業に出席してね、あとレポートを期限までに提出してねというルールはある。
授業に出席して、レポート作成して、最後にテストを受けて単位を取る。
レポートも穴埋め問題みたいな感じで、A3サイズの裏表のプリントの空欄をを教科書を見ながら埋めて提出する。
計画的に授業に出て、レポートを完成させなければならないので、スケジュールにルーズな人は通信制には向いていないように感じるが、期限と授業の出席回数だけ守っていたらあとは自由だったので、気持ちはとても楽だった。

友達と部活動

仲の良い友達も出来た。
午前中の授業が終わったあと空き教室でみんなでワイワイしながらお昼ご飯を食べたりした。
部活動にも参加した。
美術部が良かったが、なかったので文芸部に所属した。
文芸部と言っても美術部みたいなもんで、放課後に空き教室に集まって、お喋りしながら絵ばかり描いていた。
友達に会いに学校に行くために学校に通っていたような感じ。
中学のあの閉鎖的な空間で息がしにくかったことが嘘みたい。
高校生活は思っていた以上に楽しく充実していた。

3年で卒業

高校は3年で卒業できた。
たまに授業をサボりもしたが、毎日電車通学も出来た。
朝の満員電車はしんどかったが、女性専用車両に乗れば他の車両より空いてたし、家から1時間ぐらいだったのでそこまでしんどくはなかった。
定期券の範囲内にアニメイトがあったことも通うモチベーションになった(笑)
学校帰りの好きな時にアニメイトに行ける幸せ。
自分が探して決めた高校だから、毎日通うことが出来たのかもしれない。
「自分で決めて、行動する」最近私が忘れ気味な言葉だが、これが一番大切だと思う。

単位制の高校は良い選択だった

今中学生で進路で悩まれている方は多いと思う。
特に親御さんなんて、お子さん以上に悩んでいるかもしれない。
自分も相当親を悩ませたと思う。
私も当時は高校なんて行けるのか、とても不安だった。
自分に合う環境の高校に出会えたのは、ラッキーだったと思う。
最近は通信制の学校も増えてきたと聞く。
色々な選択肢がある中で、きっと自分に合う学校はあると思うし、どんな選択を選んでも、本人が楽しければ正解だと思う。

同じ中学で私と同じように中学に行けなかった友達も、そのまま同じ高校に通っていた。
最近、その友達と会った時に「中学時代は色々あったけど、高校生活は結構楽しかったよね」という話をした。
友達は通信制のコースを選択して、勉強しながら、空き時間はバイトに一生懸命打ち込んでいた。
今お互いに「あの時は良かったね」と思い出を話せたことが、とても嬉しく感じた。


この記事が参加している募集

サポートして頂けたら、とても嬉しいです!励みになります!よろしくお願いします!