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もうひとりの自分が引っぱっている【がんばることをやめられない】


鈴木裕介さんの「がんばることをやめられない コントロールできない感情と「トラウマ」の関係」を読んだ。

競走馬のように全力疾走するがんばる「わたし」がいて、仕事も生活も全部その子がすごい勢いで引っぱってくれる感じ。自分が動けるギリギリまでやらないと、その子に許されない気がする。本当の「私」は、その子の勢いに振り落とされないように、必死でしがみついているんです。苦しいけど、こわくて止まれない。止まってしまったらもう終わりで、何もかも失ってしまう気がするんです。

がんばることをやめられない

今の自分が「頑張っているのか」と聞かれるとはっきりと「頑張ってます!」とは答えられないが、この本の冒頭に書かれた文章は、なんとなく自分にも身に覚えがある。
「これくらいでいいやん」と思う自分もいれば、「いや、そんなことない。もっとやれる」と思う自分もいる。
自分がもうひとり、自分の中にいる感じ。
自分を守るため、生きるための生存戦略らしい。
これは悪いことではなく、今を生きるためには大事なことだそうだ。

その原因が「トラウマ」にあるのではないかという話。
「トラウマ」と聞くと身構えてしまうが、大なり小なり誰にでもあることだと言われると、ちょっと安心する。
トラウマが原因で辛い記憶を思い出さないように「私」をもうひとりの「わたし」が感情に蓋をしている状態。
トラウマが生まれる仕組みや、それによって動く感情や考え方を分かりやすく説明されていて、私の今の状態もコレかも…と思った。
心療内科に通って投薬治療はしているが、変な不安は常に付きまとう。
その原因はなんだろう?と聞かれると過去の失敗が足を引っ張っているような気がする。
失敗するのが怖くて「じゃあ最初からやらなけらば良いんだ」というマインドになっている自分も怖い。

トラウマから守る「わたし」と、今ここにいる「私」の感情を切り分ける。
すぐに切り離せるものではないが、知っていると知らないでは大違い。
ちょっとマイナスな考えや、逃げたい気持ちになったとき、このことを思い出して踏みとどまることは必要だと思った。
踏み出したいけど、踏み出したくない。
このチグハグな考え方や気持ちを少しずつでいいから正しい方向に繋げていきたい。

トラウマについて書かれた本は何冊か読んだが、難しい本が多くて大変だった。
この本はとても読みやすく、トラウマについて分かりやすく説明されている。
とくに3章、4章は身に覚えがありすぎてグサグサと刺さった。
初心者の「トラウマってなんだろう」という疑問に答えてくれる本。
病院に通ってもイマイチ回復しているのか分からない方は一度読んでみても良いと思う。
もしかしたらトラウマが回復を邪魔しているかもしれない。

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