見出し画像

【超ショートショート】世界観ツヨシくん

青葉小学校2年2組の世界観ツヨシくんは、放課後先生に呼び出されました。

先生「世界観、お前、夏休みの宿題、最後の日に一気にやったろ?」

世界観ツヨシ「なんで?僕は毎日、ちゃんと日記をつけたよ、先生」

先生「いや、お前、天気が毎日雨になってるぞ。夏休み、晴れてる日あっただろ」

世界観ツヨシ「あっ、ここって実際の天気を書くんだ。先生、僕・・・心の天気を書いてたよ」

先生「・・・は?」

世界観ツヨシ「晴れてる日でも、曇りの日でも、暑い日でも、寒い日でも…僕の心はなぜかいつも雨が降っているんだよ」

先生「・・・」

世界観ツヨシ「いつか僕も、自分の晴れやかな気持ちというものに出会いたいと思ってはいるんだ・・・でも僕の心の中は、いつも雨が降っている」

先生「・・・」

世界観ツヨシ「最近モーツァルトを聴くんだけど、僕は思ったんだ。きっとモーツァルトも、僕と同じ気持ちだったんじゃないかなって」

先生「・・・」

世界観ツヨシ「この僕の心の雨の音が、いつかたくさんの人を救う音楽になる・・・僕はそう思うんだよ、先生」

先生「・・・」

世界観ツヨシ「僕もいつか自分の音楽で世界中の人々を救える・・・そう考えると、心の雨も悪くない・・・わかるかな、先生」

先生「わかんねーよ」

この記事が参加している募集

スキしてみて

面白かった、もしくは面白くはなかったけど、伸びしろは感じる、といった場合には、ぜひともサポートのほどよろしくお願いいたします!