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私のスペイン900km巡礼記 in 2023春 #33 【31日目】最後の難関オ・セブレイロ峠へ〜ラス・エレリアスで過ごすスローな一日

こんにちは、ナガイです。今日はビジャフランカ・デル・ビエルソからラス・エレリアス(Las Herrerías)へ向かいます。
前回の記事はこちら。

天気予報(ベガ・デ・バルカルセ) 曇り時々晴れ 最高気温20℃ 最低気温8℃

5時半起床。いつもは30分で準備して出発するが、今日はゆっくり準備して7時前に出発。

ブルビア川に架かる橋を渡って村を抜ける。今朝は少し寒い。

今日からいよいよ最後の難関オ・セブレイロ峠に挑むことになる。今日は峠の中腹辺りまで行く予定だが、峠の道中には数km置きにアルベルゲのある集落があるため、状況を見ながら泊まる場所を決める予定だ。

歩き始めてから間もなくして後ろからリーがやってきた。「調子はどう?」と声を掛けてくれる。「まだ少し咳は残ってるけど元気だよ」と答えると「無理しないでね」と気遣いの言葉を掛けてくれる。その思いやりの気持ちだけで元気が湧いてくる。

しばらくはバルカルセ川沿いを走る国道脇の歩道を進む。

8時前にペレヘ(Pereje)の村を通過。

レオナルドから雄大な自然の風景をバックにしたシカの写真が送られてくる。彼は今日山道を行く別のルートを歩いているようだ。「素晴らしいね、僕の方の道は退屈だよ」と送ると「山道にしなかったの?」と聞かれたので、「うん、僕のガイドブックにはその道が載ってないんだよね。でも自分の考え事に集中できるから問題ないよ」と返した。

8時半頃にトラバデーロ(Trabadelo)の村を通過。

村にあるバルで休んでいるガブリエレと遭遇した。ここのバルはなんとオレンジジュース1杯が5ユーロもするそうだ。巡礼者の足元を見た価格設定だとしか思えない。さすがにここでは休みたくないので先へ行くことにする。別れる前にまた二人でセルフィーを撮って意味もなくレオナルドに送った。こういうノリは嫌いではないので、あともう一回ぐらいやりたい。

10時前にラ・ポルテラ・デ・バルカルセ(La Portela de Valcarce)の村に到着。

村を入ったところにバル兼レストランがあったので休憩することにする。すると中からナタリーが出てきた。会うのは2週間以上ぶりではないだろうか。まさか今日こんなタイミングで遭遇するとは思っていなかったので驚いた。再会のハグをする。彼女は昨日トラバデーロに泊まっていたそうで、9時に歩き始めたばかりだという。そして今日はオ・セブレイロ峠の頂上を越えた先までいくそうだ。それってかなりキツくない?と聞くと、なんと途中から馬を借りて移動するのだという。そんな方法があるとは知らなかった。ナタリーはいつも彼女なりの方法でマイペースに巡礼を楽しんでいる。時々寂しげな雰囲気を感じるところも含めて、彼女の自立した一人の人間としての生き方に敬意を抱いている。

彼女に別れを告げ、店内でパン、バナナ、カフェコンレチェを注文。4.10ユーロ。先ほどのオレンジジュース1杯が5ユーロするバルで休むのを我慢してよかった。

10時半過ぎにアンバスメスタス(Ambasmestas)の村を、11時前にベガ・デ・バルカルセ(Vega de Valcarce)の村を通過。

ベガ・デ・バルカルセの村はスーパーもあり滞在する場所としてもよさそうだが、まだこの時間ということもあり多くの巡礼者は村を通過して先へ行くようだ。

11時半前にルイテラン(Ruitelán)の村を通過。今日は最低限ここまで来ようと思っていた村だ。すでに気温が高くなってきたが、まだ歩けそうなのでもう一踏ん張りしよう。

11時半過ぎにラス・エレリアスの村に到着。まだ標高としては100〜200mほどしか上がっていないが、今日はあまり調子が良くない。道はラス・エレリアス以降から一気にきつくなるようで、今日はそれにチャレンジするコンディションではなさそうなので時間は少し早いが、この村で泊まることにする。ちなみにどれぐらいきつくなるかというと、標高500mほどのビジャフランカ・デル・ビエルソから標高600〜700mの場所にあるラス・エレリアスまでは約22kmの距離があるが、ラス・エレリアスから頂上付近の標高1300mのオ・セブレイロまでは約8kmの距離だ。つまり、標高差が大きく距離が短いため、それだけ道の勾配がきつくなるということだ。

レストラン併設のアルベルゲにチェックインする。宿泊代は15ユーロ。時間が早いため、まだ部屋の準備ができていないそうなので外のテラスで待つことにする。

テラスには以前道ですれ違ったことのある男女が休憩しており、女性の方が「カゼダイジョウブデスカ?」と日本語で話しかけてきた。彼らは韓国人で、名前は男性の方がシン、女性の方がアン。彼らはイラゴ峠の道中ですれ違った時に自分が咳をしていたので風邪を引いているのだと思い、心配してくれていたようだ。二人とも多少日本語を話すことができ、アンは過去に日本で働いていたこともあるそうだ。彼らは今日この村の二つ先にあるラ・ラグナ(La Laguna)まで行く予定とのこと。自分はすでにチェックインしてしまったので後の祭りだったが、一つ先のラ・ファバ(La Faba)に良いアルベルゲがあるという情報を教えてくれた。

アルベルゲに併設されているレストラン兼バルでチョコレートケーキとコーラを注文。5ユーロ。遅れてガブリエレが到着し、持っていたパイをくれたので一緒に食べた。片手にビールジョッキを掲げるガブリエレの写真と共に「ラス・エレリアスで待ってるよ」とレオナルドへメッセージを送る。

しばらくしてレオナルドから「まだそこにいる?今ちょうどチェックインしたところだよ」と返信がある。彼も今日は別のアルベルゲだがラス・エレリアスに泊まるそうだ。すると部屋の準備が出来たようでホスピタレイラの女性が呼びに来たため、レオナルドとは後で合流することになった。

シャワーと洗濯を済ませた後、14時半頃にレオナルドからガブリエレと一緒にいるから合流しないかと連絡が来る。少し昼寝をしたかったので30分後でいい?と返信し、寝て目が覚めると1時間近く経っていた。レオナルドに「ごめん、今起きた」と連絡し、どうやら疲れが溜まっているようだったのでもう少しベッドで休むことにした。

しばらく休んだ後、外へ出て村を少し散策してから、レオナルドが泊まっているアルベルゲの庭にハンモックがあるから来なよと誘ってくれたので合流する。

レオナルドがハンモックに体を預けながらギターを弾いており、シカも気持ちよさそうに寝ている。自分も空いているハンモックでくつろぐ。何か一緒に歌おうよ、と言うのでベタだがBen E. Kingの"Stand by Me"やThe Beatlesの"Here Comes The Sun"などをデュエットした。ここまでザ・青春なことをするのは少し気恥ずかしかったが、ハンモックに揺られながら友達とのんびり過ごす時間は、日本で常に何かに追われるように忙しなく日々を送っていた自分にとっては何よりの贅沢に思えた。

19時過ぎにレオナルド、ガブリエレと一緒にアルベルゲから少し歩いた場所にあるレストランへディナーを食べに行く。メヌーを注文し、一皿目はレンズ豆、二皿目はマスのフライ、デザートはコーヒーケーキを選ぶ。ワイン・水とパン込みで13ユーロ。この値段でこの味と量なら満足だ。

レストランからの帰り道にシカを見た牛たちが昂って飛び跳ねており、柵を飛び越えてきそうな勢いだったので少しヒヤヒヤしたが、何事もなく無事にアルベルゲへ帰り着いた。

20時半過ぎに部屋へ戻り、22時半に就寝。

歩いた距離
今日22.1km 合計616.1km 残り164.3km

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