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私のスペイン900km巡礼記 in 2023春 #42 【40日目】まだまだ思いがけないことが起こりそうなフィステーラ巡礼、ビラセリオへ

こんにちは、ナガイです。今日はベントサからビラセリオ(Vilaserío)へ向かいます。
前回の記事はこちら。

天気予報(ネグレイラ) 晴れ 最高気温19℃ 最低気温11℃

6時起床。昨日の深夜にレオナルドから昨日のランチの時に撮った5人の写真が送られてきていた。「ありがとう。この写真とても好きだよ。全員お守りをあげた人達だから」と返信する。
サンティアゴ以降は途中で休める場所が少なそうなので、アルベルゲ併設のバルで朝食を取ってから出発することにする。バルは7時オープンのため、ゆっくり準備する。
7時過ぎにアルベルゲ併設のバルで朝食。パンコントマテ、アメリカーノ、オレンジジュースのセットを注文。4.50ユーロ。昨日のディナーもだったが、朝食も手頃な値段だ。

サンティアゴ以降はアルベルゲが少ないため、目的地は特定の町や村というより特定のアルベルゲを目指すイメージだ。昨日のうちに30km前後にあるアルベルゲをいくつかピックアップしておいたので、歩けるだけ歩いて適当なアルベルゲに泊まるつもりだ。

7時半過ぎに出発。バルの男性が「ブエンカミーノ!グラシアス!」と言って送り出してくれる。

外はどんよりとした曇天だが幸いにも雨は降っていない。この天気が続いてくれれば午後の遅い時間まで歩くこともできそうだ。残り80kmを切る。

雨上がりだからか歩道にカタツムリがいるので踏まないように気をつけながら歩いていると、向かいから来た車の運転手がジェスチャーで「道はあっちだよ!」と教えてくれる。足元に気を取られて道標を見落としていたようだ。

アウガペサダ(Augapesada)の村を抜けると上り坂が続く山道に入る。気温は高くないが湿気が多いので坂を登っていると汗が吹き出してくる。

8時半過ぎにカルバジョ(Carballo)という村に入ったところで雨が降り始める。家の軒先で雨宿りさせてもらい、レインコートとリュックカバーを装着する。

この辺りは大きくて立派な一軒家が多い。郊外の高級住宅地といった感じだ。

9時半頃にポンテ・マセイラ(Ponte Maceira)の村を通過。村名にもなっているマセイラ橋を渡る。上流から滝のような勢いで水が流れ込んでおり、その向こうの川面には木々の緑が反射して映っている。橋の美しさも含めてカミーノの中でも有数の絶景だ。

途中で何人か向こう側から歩いてくる巡礼者とすれ違う。見たことがある顔もいたので、もしかするとサンティアゴからバスでフィステーラへ行き、フィステーラからサンティアゴへ向かって歩いているのかもしれない。

雲が切れ始めて太陽が出てきたので、屋根のあるベンチで休憩がてらレインコートを脱ぎ、サングラスをかける。いざ出発、と思ったら、いつの間にか再び灰色の雲が頭上にあり少し雨が降り始めていた。結局レインコートを着直して再び出発する。

10時半頃にネグレイラの町を通過。昨日の当初の目的地だ。やはり昨日ここまで来ようと思ったら到着は20時を過ぎていたので思い止まってよかった。

ここはまずまず大きな町のようだ。アルベルゲや飲食店が多く、スーパーも複数あるようなので宿泊にはうってつけだろう。

日が差してきて暑くなってきたので町中にあるベンチで再びレインコートを脱ぐ。リュックカバーも荷物を出し入れする際にいちいち取り外すのが面倒になってきたため、ついでに外してしまう。

残り70kmを切った。今日はちょくちょく止まっていることもあり、あまりペースが良くない。でも急ぐ必要はない。焦らず行こう。

町を抜け、しばらく坂道を上ったところにある古びた教会を通り過ぎると再び山道に入る。

木々が日差しを遮ってくれるので涼しい。適当な場所を見つけて立ちションをする。

11時過ぎに車道沿いの大きな木の横にあるベンチを見つけたので休憩する。サンティアゴのレストランから持ってきた余りのパンと、サン・ペラジョ修道院のタルタ・デ・サンティアゴを食べる。タルタは好みの味でとてもおいしい。アニータが多めに取り分けてくれたのでもう一切れある。後で食べるのが楽しみだ。

おいしいものを食べて元気が出てきた。昨日に引き続き道中でほとんど巡礼者とすれ違わないので、歩いている時は自分との戦いになる。

再び山道に入ってしばらく歩くと、残り約65km地点にあった道標は今まで見たことがない珍しいものだった。というのも、この石柱タイプの道標の矢印はいつも右か左を向いているのだが、この道標の矢印は直進を意味する上向きだった。意図的なものなのかは分からないが、まさかこのタイミングでレアな道標に遭遇できるとは思わなかったので嬉しかった。

13時前にアルベルゲ併設のカフェがあったので休憩することにする。10人前後だろうか、たくさんの巡礼者が休んでおり、こんなに巡礼者がいたのかと少しホッとした気分になる。今日ネグレイラから歩いてきた人達かもしれない。

ベーコンとチーズのボカディージョ、コーラを注文。7ユーロ。巨大サイズのボカディージョだ。いい感じに空腹だったので嬉しい。味も申し分ない。ウリーはボカディージョに飽き飽きしている様子だったが、自分はまだまだおいしく食べられる。

13時半頃に再び出発。今日は30km前後歩くつもりだったが、思っていたより道のアップダウンが激しく、実感ほど距離が伸びないのと、あと一時間ほど歩いた場所に良さげなアルベルゲがありそうだったので今日はそこまで行くことにする。

この辺りは山の上に風力発電の風車がある。残り60kmを切った。

14時半頃にビラセリオの村へ到着。ここはバル兼レストランとアルベルゲの建物が別で、バル兼レストランの方でチェックインする。宿泊代は13ユーロ。別の建物といってもバル兼レストランから歩いてすぐの場所にあるアルベルゲは、簡素だが清潔で必要な設備が過不足なく備わっている、お手本のようなアルベルゲだ。

シャワーと洗濯を済ませ、少し昼寝をする。

外に干した洗濯物の様子を確認していると、小柄な女性が「日本人ですか?」と声を掛けてきた。日本から持って来た小物干しを見て気づいたらしい。彼女の名前はMさん。Mさんが日本人の巡礼者に会ったのは自分で6人目らしい。自分にとっては彼女が3人目だ。

19時からアルベルゲ併設のバル兼レストランでディナーを食べる。メヌーの一皿目にスープ、二皿目に豚ロース、デザートにアイスクリームケーキを注文。水とパン込みで11ユーロ。

食事をしていると、今日はボカディージョで夕食を済ませたというMさんが話しかけに来てくれた。彼女は仕事を辞めてこのカミーノに来たらしい。やはりここまで巡礼を経験してきた者同士だと共通の話題も多く、とても話が弾んだ。Mさんの話は「めっちゃ分かる!」と思えることが多く、お互い一人でフィステーラまで歩こうとしている者同士、似ている部分も多いのだろう。

ディナーを終えてアルベルゲの前で干していた洗濯物を取り込んでいると、目の前をデービッドが通り過ぎて行った。お互いほぼ同時に気づき、思いがけない再会を喜び合った。彼の英語は相変わらず聞き取りづらく、何を言っているか聞き取れないことが多かったが、彼が自分に会えて喜んでくれていることは伝わった。また明日会おう!と言って別れる。

サンティアゴからフィステーラまでの巡礼はもっと孤独なものになると思っていたが、新たな日本人巡礼者との出会いといい、サンティアゴ以前の知り合いとの再会といい、まだまだ思いがけないことが起こりそうだ。
22時就寝。

歩いた距離
今日23.7km 合計813.2km


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