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New York Yankees通信簿(2019)【ヤンキース】

 「敵地に赴いて即敗戦とはとんだ腰抜けの集まりじゃのうNewYorkYankeesは。監督が監督...それも仕方ねェか…!Yankeesは所詮2010年代の敗北者じゃけェ」

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  「取り消せよ今の言葉!」とは絶対に言いません。どうも時代の敗北者です。ALCS,HOUへ2年越しのリベンジは果たせませんでした。なんと2010年代はワールドシリーズ優勝はおろか,出場すら果たせない始末。勝者のメンタリティが聞いて呆れますね。

 でもアタチはめげない!!きっと来年は優勝してくれるはず!!野球雑誌「スラッガー」も20年までにはチャンピオンリングを手にするっていってたもん!!

 来年を語る前に今年の清算をしっかりしておきましょう!ということで「NewYorkYankees 通信簿(’19)」と題し,今季のヤンキースの面々を評価していきたいと思います。「この選手は今季,こんな役割を果たしました」的な解説も成績と共に入れていくのでヤンキースファン以外の方も是非見てくれると嬉しいです。

○評価方法
・最高評価は「S」,最低評価は「E」とする。(「+」と「-」も使用)
・中間評価は「C」とする。
・年俸に対する期待値は極力反映しない。無論,反映させる選手もいる。
・個人的な期待値に対する実際の成績を評価。
・PS成績はプラス評価だけを反映。(PSで活躍しなかった選手の評価は特段下げない)

○投手

Masahiro Tanaka 評価:B-
32登板 182.0回 防御率4.45 11勝9敗 149奪三振 rWAR1.7


 我ら日本が誇る右腕・田中。30歳,MLBデビュー6年目を迎えた田中は開幕前にナックルカーブの取得を試みるなど,高みを目指す姿勢は相変わらず。5月下旬には防御率2点台まで行くものの,その後は打ち込まれこの成績に。本拠地ヤンスタではERA3.10という成績を残すもののアウェイではERA6.05と精細を欠く場面が目立った。(主にフェンウェイ。被OPS1.435は異次元)
 しかしこの男,やはりPSでは真価を発揮。経験値の違いをまざまざと見せつけMIN,HOUに対しそれぞれ1勝を挙げた。来年もWSを目指すとなると彼抜きでは無論不可能であることは明白。故障者続出の中,イニングを一番稼いだのも高評価。ただ如何せん年俸がチーム内2番目ということと、契約最終年ということもあって来季を悠長に過ごせるわけではないだろう。
James Paxton 評価:B+
31登板 150.2回 防御率3.82 15勝6敗 186奪三振 rWAR2.1


 カナダ出身「BigMaple」ことパクストン。昨オフに№1プロスペクトであったジュタス・シェフィールド(LHP)らを放出して獲得した剛球左腕。故障などもあってか期待とは裏腹に7月までは5勝6敗 ERA4.72という成績に終わる。しかし8月からパクストンが快刀乱麻のピッチングを披露。シーズン終了まで10連勝を果たす文句無しのピッチングショー。
 ただよく言われるように,初回イニングに著しく安定感を欠くシーンが目立ち,ERA9.00 被OPS1.015と課題は残る。それが祟ってイニングも150.2回止まりとなってしまった。
J.A.Happ 評価:C-
31登板 161.1回 防御率4.91 12勝8敗 140奪三振 rWAR1.2


 昨季のTDLで獲得し,7勝無敗 ERA2.69を記録したベテラン左腕ハップ。にっこり笑顔で2年3400万ドルの再契約をしたのもつかの間,キャリア最低水準の年となってしまった。9月は帳尻を合わせるような投球を見せたものの,契約成功とは到底言えない結果に。ただし,彼も野戦病院と化したヤンキースのローテーションを1年守り通した一人であり,そこは数字以上に評価したい部分。
 年齢的にも来季の結果が選手生命を左右するだろう。
Domingo German 評価:A-
27登板 143.0回 防御率4.03 18勝4敗 153奪三振 rWAR1.8

 昨オフ,パクストンとハップの加わったローテーションを見た誰かに「2019年は結局怪我でローテ崩壊してヘルマンが投げてるのがオチ」なんて言われてたのを思い出す。実際に開幕4試合目で登場したヘルマン。いい意味でヤンキースファンの期待を裏切る事となる。故障者続出の4月,数少ない嬉しいニュースはヘルマンが5勝1敗 ERA2.56という成績を残した事だろう。
 だがしかぁし!!9月!!DVで!!出場停止ィ!!本当はA+評価を与えたかったがこればっかりは評価を下げざるを得ない。暴力の上に成り立つ好成績など無に等しい。来季は心を入れ替えて再スタートしてほしいと願うばかりだ。
CC Sabathia 評価:Thank CC
23登板 107.1回 防御率4.95 5勝8敗 107奪三振 rWAR0.3


 CC,引退おめでとう。まずは感謝を伝えたい。通算251勝 3093奪三振という偉業。キャリア前半はCLE,後半はNYYでフル回転したサバシアが遂にユニフォームを脱いだ。最終年にも関わらず107.1回を投げきったのはCCの意地だろう。それだけにPS登板でのリタイアは胸がはち切れそうになった。彼の素晴らしいキャリアに心から拍手を送りたい。
Luis Severino 評価:E+
3登板 12.0回 防御率1.50 1勝1敗 17奪三振 rWAR0.6


 悲劇は彼から始まった。2月に4年4000万ドルの契約を結んだ若きエース。それから一ヶ月,右肩を故障してしまう。当初はAS明けの復帰が有力視されていたものの結局復帰したのは9月半ば。評価するに値しないというのが率直な感想だ。
 嬉しいニュースがあるとすれば,復帰後の球速や変化球のキレは故障前と遜色無かった点だろう。1年の休養を挟めたなんて思えば気も楽になるか。(ならん)
 まだ若いので来季からの3年間で契約延長は成功!と言わらしめる活躍を見せて欲しい。とりあえず復帰おめでとう。
Chad Green 評価:C+
54登板 69.0回 防御率4.17 4勝4敗 98奪三振 rWAR0.4


 17,18年は非常に安定したリリーバーとして実績を残したグリーン。今季も便利屋として期待をしていたものの,4月は10登板14失点 ERA16.43と苦しい月となる。そんな彼が着地したのがブルペンデーの先発だ。5月半ばからその役割を任されるとブルペンデーは10勝4敗。気づけば球威も戻り,シーズン終了時にはERA3点代に迫る数字に。特に後半戦は被打率.176 ERA2.89と安定感を見せた。
 勿論来季は開幕から完璧なスタートダッシュを期待したい。
Tommy Kahnle 評価:A-
72登板 61.1回 防御率3.67 3勝2敗 88奪三振 rWAR0.8

 MAX100mphの豪腕リリーバー。昨季はERA6.56と芳しくなかったが今季はSL,CHともに冴え,スターターからセットアップ陣への中継投手としての地位を獲得。序盤は対左打者を押さえ込み,「左キラー」の印象が強かったもののシーズン終了時には〈vsRHB AVG.191 OPS.590 vsLHB AVG.209 OPS.678〉と対右打者に対する成績が勝る形となった。
 ERAだけ見れば過大評価かもしれないが,チーム2位となる72登板を大いに評価した結果だ。
Adam Ottavino 評価:A+
73登板 69.0回 防御率1.90 6勝5敗 88奪三振 rWAR2.2

 山岳部隊その1。FAで昨オフ獲得した変則リリーバー。環境が変わってもなんのそので,開幕からフル回転で登板。ワンポイントに回跨ぎ,先発陣が安定しない時には5回から登板することがあったもののこのスタッツを残した。チーム1位の73登板は本当に立派。
 懸念しているのはERAに対してWHIP1.31 FIP3.44というどちらかというと優れていない数字が現れているところ。(昨年は0.99/2.74)BB%も悪化しているため,来季修正できるかが注目。
Zack Britton 評価:A+
66登板 61.1回 防御率1.91 3勝1敗 53奪三振 rWAR2.4


 昨季TDLで獲得したBALの絶対的守護神ブリットン。昨オフに3年3900万ドルの契約を結んで臨んだ今季、見事文句なしの成績を収めた。主に8回に登場し,チャップマンへバトンを繋ぐ役割を果たす傍ら,そのチャップマンが不調で休養となった際にはお得意の9回に起用される場面も。
 その他のスタッツも近年成績より良化しているため特に言うこと無し。来季も幅広い活躍を期待。小ネタとしては今年から登録名が「Zach」から「Zack」になった。以上。
Aroldis Chapman 評価:A
60登板 57.0回 防御率2.21 3勝2敗 37セーブ 85奪三振 rWAR1.5


 クローザーという立ち回り上,好投した試合のほうがはるかに多いのにダメだった時のハイライトばかりが脳裏に浮かんでしまう。なんてことありません?数字だけみれば本当に素晴らしいのだが,突如ストライクが入らなくなる場面も(AS明けは顕著だった)。昨季よりBB%は下げたものの被打率は向上。
 近年フォーシームの球速低下が取り沙汰されているものの優れたスピンレートとSLを武器に大きな成績低下は見られない。彼の場合は怪我だけに注意をしてもらえば一定以上の成績を残してくれるだろう。厳しい意見も多いが来季もクローザーはチャップマンに託すしかない。
Dellin Betances 評価:E
1登板 0.2回 防御率0.00 0勝0敗 2奪三振 rWAR0.0


 2014年からブルペンの主役としてフル回転を見せていたベタンセスは今季のSTにて右肩を負傷。リハビリ中にも右広背筋を負傷するというジャンカルロパターンがさく裂。結局戦線復帰は9月15日まで引き伸びた。
 相次ぐ怪我に苛立っていたのは確かだが,PS前にベタンセスが復帰ということで勿論心が躍っていたのが本心だ。がしかし。今年のYanksのツキはこんなもんじゃなかったのだ。ベタンセスは15日の復帰登板にて2奪三振を奪うと喜びのジャンプ。その際にアキレス腱を損傷して無事全休となったのだ。
 今季はたったの1登板でFA権取得。NGワードも頭に浮かんでしまうが,何年もの間フル回転だったのが祟ったのかなと。お疲れさまでした。
Luis Cessa 評価:C+
43登板 81.0回 防御率4.11 2勝1敗 75奪三振 rWAR0.4

 デビュー4年目・27歳の右腕・セッサ。昨季までは先発を務めたりと方向性が定まらない中,今季は主にビハインド時のイニングイーターとしての地位を確立。特に後半戦はERA3.66 WHIP1.19と安定感を一層に増した。
 ただし,悪いときは1イニング5失点などのやらかしもあるので勝ち試合はまだまだ任せられないといった印象。
 投球割合の半分を占めるSLの質を更に高めるなどして,被本塁打を減らしていければERA3点代も目指せるはずだ。
Nestor Cortes Jr. 評価:C-
33登板 66.2回 防御率5.67 5勝1敗 69奪三振 rWAR-0.4

 昨季BALでデビューを果たした24歳の左腕コルテス・ジュニア。ここら辺になると他球団ファンにはあまり知られていない選手になるがご容赦いただきたい。彼は今季,先述のグリーン先発時の中継投手「バルク・マン」として登板する機会が非常に多く,5月は3勝を挙げた。
 左投手ではあるものの,対左打者OPS.994は壊滅的。ただ,投手有利のカウントになるとサイドスローで投げたり,超クイックモーションで投げたりと非常に面白い工夫が見られる場面も。来季はどんな技を見せてくれるのか個人的に楽しみではある。
Jonathan Holder 評価:D-
34登板 41.1回 防御率6.31 5勝2敗 46奪三振 rWAR-0.9


 一昨年,昨年と好成績を収めた中継ぎ右腕ホルダー。今年も屈指のリリーフ陣の一角として期待がかかっていたが4月から安定感を著しく欠き,キャリアワーストの結果に。結局8月で今シーズンを終えることとなった。被打率は昨年の.214から.256に向上。
 武器としていた4FB,SL,CHが尽く捉えられているため,このオフにどのような取り組みをするかが見物だ。彼の復活はよりブルペンを強靱に,堅牢にするだろう。
Jonathan Loaisiga 評価:C-
15登板 31.2回 防御率4.55 2勝2敗 37奪三振 rWAR0.2

 昨年デビューした24歳のTopProspect右腕のロアイシガ。正直この評価は妥当では無いと思うが来年への期待を込めて。100mphに肉薄する平均97mphのフォーシームとSpinRate 2800回転という非常に質の高いCHが武器。主に先発起用を期待されていたが私はリリーバーとしての筋道が見えた年でもあると感じた。PSを控えた9月に中継ぎで見せたキレと勢いは文句なし。
 先発としても中継ぎとしても来季ブレイクを期待,いやブレイク必至の投手だと思っている。チャップマン無き後のクローザーが彼なんてことも...余計なことは考えないでおこう。

 さていかがだったでしょうか。比べてみれば分かると思いますが今季は先発陣がなかなか安定せず,ブルペン頼みの陣容となっていました。TDLで先発を補強すると思っていたファンも多く,7月末は朝起きてすぐにMLB.comを開いていた方もいたのではないでしょうか。これはキャッシュマンの読み勝ちというべきか,結局は市場に上がっていたストローマンやシンダーガードはTDL後の成績が芳しくありませんでした。
 ただ,先発整備は未だ喫緊の課題でもあり,今オフの最大の目玉ゲリット・コールには全力で獲得に動くとの見方が強いです。2015年から他球団のスター選手獲得ペースを抑え,昨オフはハーパー,マチャドにも無理な動きをしなかったヤンキース。今オフは「悪の帝国」にふさわしい補強が見られるか。

○野手

Gary Sanchez (C) 評価:A-
106試合 AVG.232(396-92)34HR 77RBI .316/.525/.841 rWAR3.1


 昨年はAVG.191と屈辱のキャリアを過ごしたサンチェス。4月に負傷で2週間の離脱はあったものの5月末までに17HRを放つ好調ぶり。コンタクト率も衝撃のルーキーイヤーに匹敵するほどで,故障者続出の野手陣を引っ張った。
 ところがロンドンシリーズを境に全く打てなくなる始末。7月は6安打1HRという悲惨な成績。月末のMIN戦では精細を欠いた上に負傷離脱。「今年もダメか..」と思った矢先,復帰後の8月に8HRを放つなど本塁打キャリアハイを更新。
 課題はこのような打撃の不安定さと毎年挙げられるブロッキングなどの粗い守備だろうか。1年目・2年目はあれだけコンスタントに安打を放てている為,打撃についてはまだまだ成長の余地ありだろう。
 ちなみにBAL戦では1試合3HR含む10HRの好成績を収めた。
Austin Romine (C) 評価:B
72試合 AVG.281(228-64)8HR 35RBI .310/.439/.748 rWAR0.8


 ベテランの域に差し掛かるサブウェポン捕手ロマイン。サンチェス負傷・不調時に先発マスクを被り,72試合出場を果たした。ヤンキースファンの予想とは裏腹にキャリアハイのアベレージを残し,後半戦のOPS.914は強烈。サンチェスと合わせて42HR 112RBIと考えれば非常に強力だったことが分かる。
 しかしサンチェス同様,守備は脆く,ランナーがいる場面で安易なパスボールを連日披露するなど不安材料はまだ多い。
 来季の再契約は不明だが,今年と同じくらいの打撃成績を期待するのはさすがに安直と言えるだろう。
Luke Voit (1B/DH) 評価:A
118試合 AVG.263(429-113)21HR 62RBI .378/.464/.842 rWAR1.9


昨年STLから獲得し,飛ぶ鳥を落とす勢いで活躍したボイト。今季はMVP級の成績を残すと予想するファンもいたし,実際に開幕戦初打席で3ランを放つなど序盤のヒーローは正しく彼だろう。ライバル一塁手バードが故障離脱する中,ほぼ休み無しで試合に出続けた。6月末時点でAVG.280 OPS.901と屈指の成績を残すも遂に怪我でリタイア。復帰後は20HRに到達するもわずかに成績を落とした。PSにも出場できず,結果的には悔しい1年となったかもしれない。
 守備指標は芳しくないものの,四球率やBarrel%はリーグでも上位。個人的には今年大好きな選手になったので来季はそれこそMVP級の成績を残して欲しい。
Edwin Encarnacion (1B/DH) 評価:B
44試合 AVG.249(177-44)13HR 37RBI .325/.531/.856 rWAR0.7


 あれはスタントンが怪我から復帰し,ジャッジも戦線に戻ってくる寸前。当時サンチェスと並んで21HRを放っていた本塁打王エンカルナシオンを獲得。時期が時期だけに困惑はしたが,その後のスタントン,ボイトの離脱を思えばかなりピンズドな補強だったと言える。
 移籍前と成績を落とすことも無く後半戦の重量打線を牽引。彼がホームランを打つ度にベンチと球場が盛り上がる。来季,あのオウムポーズをヤンスタで拝めるかは正直分からない。ただ本人とすればシーズン34HRを放ち,新しい契約を結ぶには最高のシーズンを送れたのではないだろうか。
Kendrys Morales (1B/DH) 評価:E
19試合 AVG.177(62-11)1HR 5RBI .320/.242/.562 rWAR-0.4


 後で紹介するが今季のヤンキースは負傷者の連続で苦境に立たされると思いきや,バックアップとして出場する選手がことごとく活躍を見せてくれた。だが当然,全員が活躍をしてくれたわけではない。グレッグ・バードの負傷でボイトの負担を減らすべくOAKから獲得したモラレス。
 かつてLAAなどで活躍した雄姿は見る影も無く,全くといっていいほど仕事を果たせなかった。モラレスの不振は結局ボイトの稼働率を上げることに繋がり,後々の彼の怪我に繋がった。
 エンカルナシオンと同い年でこの成績となると,かなり厳しい冬が待ち受けるとみて間違いない。
Greg Bird (1B) 評価:E
10試合 AVG.171(35-6)1HR 1RBI .293/.257/.550 rWAR-0.2

 彼も評価するに値しない一人。ボイトとのツープラトンを計画されていたものの不振&怪我で今季全休。彼もサンチェス同様,衝撃のルーキーイヤーを過ごしたために毎年プレシーズンは期待されまくる男。
 非常に厳しい言い方をするが,来年以降は彼に期待するより後述のマイク・フォードに期待したほうがよっぽど良いだろう。現状,彼を起用するメリットはゼロだろうとだけ言っておく。
Mike Ford (1B) 評価:B+
50試合 AVG.259(143-37)12HR 25RBI .350/.559/.909 rWAR0.9


 サプライズマンの一人。彼もまた4月のバード負傷の折にキャリア初のMLB昇格を果たすもすぐには結果を残せず。8月にもう一度チャンスがやってくると真価を発揮し月間8HRを記録。対左投手に対してはめっぽう強く,AVG.333 7HR OPS1.389という成績を残した。
 巨漢でスプリントスピードの遅い古典的なファーストベースマンという感じで選球眼は優れている。ドラフト外でヤンキース入りし,一時期はルール5ドラフトにかけられ移籍も経験した27歳。まだまだ当落線上の選手だけに来年も応援していきたい。
DJ LeMahieu (1B/2B/3B) 評価:S
145試合 AVG.327(602-197)26HR 102RBI .375/.518/.893 rWAR6.0


 まずヤンキースに来てくれてほんとにほんとにありがとう。しかも2年2400万ドルというかつての首位打者&ゴールドグラバーにしては破格のお値段で!
 山岳部隊その2。デンバーを旅立つ選手は移籍の度にケチを付けられてしまう。それだけあのフィールドは異質。だが彼の今季の活躍ぶりは今後のロッキーズ野手陣の移籍に大きな影響を与えるかもしれない。
 26HR&102RBI&312塁打はぶっちぎりのキャリアハイ。AVG.327はリーグ2位。(おのれティム・アン😡)2B守備ではDRS+5,UZR4.0を記録する傍ら,チーム状況に応じて3Bと1B守備にも就いた。
 しかもPSでも大活躍。ALCS第6戦,結局負けてしまったものの,あの9回に見せた同点本塁打で叫ばなかったファンはいないだろう。来年は手の届かなかった首位打者を奪還してほしい。ラメイヒュー(ルメイヒュー(ラメイユ(ルメイユ)))大好きです。
Gleyber Torres (2B/SS) 評価:S
144試合 AVG.278(546-152)38HR .337/.535/.871 rWAR3.9


 昨年のROY投票3位の助手世代・トーレス。2年目のブランクなんてなんのその。アホみたいに打ちまくった若き主砲だ。彼もラメイヒューやボイト同様に,開幕から戦線を守り続けた一人であり,グレゴリアスとトゥロウィツキー不在の間は元々本職であったSSに就いた。
 終わってみればチーム最多の38HR。後半に負傷欠場をしたもののラメイヒューと並びチームMVPに相応しい奮闘を見せてくれた。
 特筆するが今季,トーレスはBAL戦に18試合出場、残した成績はAVG.394 13HR OPS1.512。
 彼もPSで本領発揮し,1年通して全く文句の無い結果を残してくれた。
Didi Gregorius (SS) 評価:C+
82試合 AVG.238(324-77)16HR 61RBI .276/.441/.718 rWAR0.6

 15年に守備の人として獲得し,覚醒したグレゴリアス。今季はTJ手術のリハビリで6月上旬に初出場。この辺りから少しずーつみんな復帰し始める。ただ,打棒はHRペースの向上とともに安定感を欠き,キャリアワーストクラスの低打率を記録。四球を選ぶタイプでは無い為にスタッツも伸びなかった。
 ただし,満塁男っぷりをPSでも遺憾なく発揮。MINとのALDSでは試合を決める一発を放った。
 グレゴリアスとカストロ(現MIA)の二遊間を見てNYYを応援し始めた人間としては彼のFAが悲しいのは事実。ただ,他のチームに移籍しても全力で応援し続けることだけは断言できる。残留するかはしらん。
Gio Urshela (3B) 評価:S
132試合 AVG.314(442-139)21HR 74RBI .355/.534/.889 rWAR3.4


 はい来ました。今季一番のサプライザーは勿論彼。昨年8月に金銭トレードにてTORから移籍。後述のアンドゥーハが開幕直後に怪我をしたために起用されたのが始まり。4月下旬から打ち出の小槌のように安打を放ち続け,高打率を常に維持。
 8月には2試合連続2HRを放つなど後半戦だけで14HRの大暴れ。3B守備はUZR/DRSともにややマイナスであるものの,アンドゥーハの立ち回りとは天と地のほどの差があるのは明らか。彼が下位打線にいたお陰でラメイヒューの打点は100を超えた。
 ただし,来年これほどの活躍ができるかは当然未知数であり,気を引き締めてプレーに臨んでほしいと願うばかり。
 彼が活躍するたびにカナダ球団のファンが「ドリューリー」と連呼するのは触れないであげてほしい。きっと色々あったのだ。
Miguel Andujar (3B/DH) 評価:E
18試合 AVG.128(47-6)0HR 1RBI .143/.128/.271 rWAR-1.0

 昨年AVG.298 27HRを記録し,ALROY投票で大谷に迫った男・アンドゥーハ。開幕スターターに名乗りをあげるも3試合で右肩負傷。手術を回避し,5月上旬に復帰するも復帰戦でウンチみたいな送球エラーを披露。結局右肩の怪我が完治しなかったということで手術のため今季リタイアとなった。
 昨年のDRS-25を超越するペースの酷い守備を見せられた挙句,長打はゼロ。怪我が完治していないならまだ戻ってこないほうがマシだった。
 個人的にはあの守備は二度と拝みたくない為,来年度にチャンスがあるならば是非ともDHに就いてほしいと切実に願っている。まだ23歳と非常に若く,成長はまだまだ期待できるし,トレードの弾としても計算に入れたい選手。アルシェラからレギュラー奪取を果たせるかが見ものだろう。
Thairo Estrada (UT) 評価:B-
35試合 AVG.250(64-16)3HR 12RBI .294/.438/.732 rWAR0.2


 こちらも野戦病院の非常要員として4月下旬にMLB初昇格を果たした23歳エストラーダ。主に2B,SSを守り,時にはRF,LFに就くことも。守備指標はプラスにならずともユーティリティ性能は満身創痍ヤンキースの柱の一つして確かに機能した。
 5月には17試合に出場し,3HRを放つなど打撃もアピール。彼が活躍していた頃のヤンキースは不気味なまでの強さがあった。
 UTとして生きていくのであればマーウィン・ゴンザレスのように打てるUTとして名乗りを上げてほしい。
Tyler Wade (UT) 評価:C+
43試合 AVG.245(94-23)2HR 11RBI .330/.362/.692 rWAR0.4

 エストラーダと同じUTのウェイド。彼は17年より度々MLB昇格しているプレイヤーでもあり,彼がスタメン入りしているときはまずチーム状況が危うい。今季,まさにジャッジが負傷退場した試合でRFについたのが過去2年ともOPS.400台のウェイドだったのだ。その時のヤンキースファンの気持ちを考えてみてほしい。絶望だったよホント。
 しかし!彼も他の選手同様に奮闘をみせ,キャリアハイの打撃成績を残してくれた。本職の2B守備は安定しており,SS・3B・OFに就いて便利屋としても活躍。成功率100%での7盗塁も立派。
 ただし,エストラーダと役割が被るために競争は必至。切磋琢磨し,来年度も活躍をみたい。走れる選手が少ないヤンキースにおいてその強みを生かせるかがポイント。
Troy Tulowitzki (SS) 評価:TT
5試合 AVG.182(11-2)1HR 1RBI .308/.545/.853 rWAR0.0


 素晴らしいキャリア,そして引退おめでとうございます。あの体躯から生み出される守備は21世紀屈指の芸術作品だと思います。COL,TORでの活躍もあり,NYYに入団してくれたときはとても嬉しかったです。
 ディディTJによって手薄になったSSの人材として登用された山岳部隊その3のトゥロ。実績は語るまでもありません。STでも大活躍を見せ,幸先よく本塁打も放ちました。しかし5試合目で負傷離脱。そのまま彼がグラウンドに姿を見せることはありませんでした。
 評価については"T"roy"T"ulowitzkiと私の悲しみをかけあわせて「TT」とさせていただきます。
Aaron Judge (RF) 評価:B+
102試合 .272(378-103)27HR 55RBI .272/.381/.540 rWAR5.4


 ア・リーグHR王の予想で何度も名前が挙がるなど,期待値でいえば球団トップのスラッガー,ジャッジ。今季はSTから絶好調で4月は非常に安定感のある打撃を披露。しかしNYYファンが最も恐れていた事態が発生。そう,負傷離脱である。この瞬間はALCSでのWalk-Offを食らった瞬間よりしんどかった。この瞬間,ラインナップが全員DL入りする快挙を果たしたのだ。(しかもEl*****y抜きで)
 6月下旬に復帰するも本塁打を打てない時期が長引き,20本塁打すら危ういと思った矢先。8月中旬から一気にギアを上げて15本塁打と大暴れ。終わってみれば昨年と同じ27HRでシーズンを終えた。
 例年通り守備による貢献が非常に高く,WARも年間8.5ペースは流石の一言。それだけに2年連続で満足に試合出場が果たせなかったのが非常に残念である。
 今季はNYMアロンソに新人最多本塁打記録を抜かれてしまったジャッジ。来年こそはヤンキースの威信に賭けて53本越えを果たしてほしい。ひとつ言うならばルーキーイヤーよりもBB/Kが悪化しており,極端に多い三振の改善は例年の課題だ。(これについては低めのボール球をストライクコールされるせいもある。)
Brett Gardner (OF) 評価:A
141試合 AVG.251(491-123)28HR 74RBI .325/.503/.829 rWAR4.0


 昨年はキャリアワーストのAVG.236 OPS.690を記録したベテランのガードナー。今オフFAということもあり背水の陣で臨んだ今季は一転,キャリアハイの成績を残した。彼も負傷者続出の中で外野を常に守り続けた1人であり,35歳にも関わらずUZR/DRSともにプラスを記録。(ただし年々減少している)
 特に本塁打数は17年に記録した21HRを大きく更新し,初めてSLG%を.500台に乗せた。
 CCの引退が決まっているため,ガードナーがFA移籍すると遂に2009WS制覇のメンバーが全員いなくなることに。再契約するかは不明だが,第4外野手としてならば十分すぎる成績を残したのではないだろうか。
Aaron Hicks (CF/LF) 評価:D+
59試合 AVG.235(221-52)12HR 36RBI .325/.443/.769 rWAR1.3


 グレゴリアス同様,16年から守備の人としてMINから獲得⇒覚醒したヒックス。昨季は27HR 90BB rWAR4.7というリーグ屈指の外野手として成長を見せ,7年70Mの契約延長を果たす。しかしこちらもセベリーノ同様,開幕前に負傷離脱し初っ端から「延長失敗」と言われる始末。
 復帰後は随所でクラッチなホームランを見せる場面もあり,数字ほど印象は悪くない選手。特に14-12という史上稀に見るMINとの打撃戦では2アウトから逆転本塁打を放つなど勝負強さを発揮。その後二死満塁の大ピンチでみせたダイビングキャッチは今季MLB屈指の好プレー。
 守備指標は昨年から急にマイナス傾向にあり,あと6年間外野を守り続けられるかが不安視されている。またジャッジ以上にBB/Kが悪化しており,このままだと「プチ不良債権」と呼ばれる日も近いのではないか。
Giancarlo Stanton (LF/RF) 評価:E
18試合 AVG.288(59-17)3HR 13RBI .403/.492/.894 rWAR0.4


 「野球界に申し訳ない」という一言を挨拶にNYYへトレード加入したスタントン。昨年は17年ほどではないものの158試合に出場し,ジャッジ不在の打線をなんとか支えようと奮闘。たしかにヘイトはあったかもしれないが不良債権というには時期尚早に感じていた。
 で。で。でね?開幕3試合でイッツゴーンヌ。怪我が治りそうになったら今度は別の箇所がイタイイタイ!と結局復帰したのは6月。しかも復帰して6試合目に謎の暴走ヘッドスライディングを敢行。見事に負傷して9月まで出場できず。そしてお値段は?総額32,500万ドル!!
 もうね,アホかと。馬鹿かと。お前な,年俸27億の癖に普段しないヘッスラなんかしてんじゃねーよ,ボケが。27億円だよ,27億円。なんかPSで四球選んだだけでバットフリップしてるし。おめでてーな。頭のおかしいNYYファンが「スタントンは決勝本塁打打つぞ」,とか言ってるの。もう見てらんない。
 まじで来年怪我したらもう数少ないスタントン擁護派の僕も彼を見限ります。DH固定でもいいのでお願いですから怪我しないで。

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Clint Frazier (LF/RF) 評価:B+
69試合 AVG.267(225-60)12HR 38RBI .317/.489/.806 rWAR0.1


 遂に目覚めたトッププロスペクト。16年にアンドリュー・ミラー(現STL)を放出して獲得したフレイジャーが故障者の続出で巡ってきたチャンスをものにした。4月の成績はAVG.324 6HR OPS.975という驚異のもの。しかし19年ヤンキースの様式美・負傷離脱をしてしまう。
 想像してほしい,つい数日前にジャッジすらいなくなり,「フレイジャーだけは…フレイジャーだけは…」と祈祷していた最中の怪我。もう絶叫ね。仕事にならんかったよ。(幸い,復帰はかなり早く,多くのニューヨーカーを救った。)
 しかし守備では大きく精細を欠き,DRS-8/UZR-5.2を記録。この粗い守備が原因で悔しいマイナー降格も経験した。
 ただし,打撃はすでにMLBクラス。24歳とまだまだ若いことから今オフにトレードされることは十分あり得る話だ。個人的にはスニーカーをスパイクに改造してフィールドを駆けまわる姿が見れなくなるのは残念だが,外野手が飽和している現状,投手力強化の駒にすることは厭わないだろう。
Cameron Maybin (OF) 評価:A
82試合 AVG.285(269-68)11HR 32RBI .364/.494/.858 rWAR1.5


 4月下旬,ついにフレイジャーすら負傷したために外野手が全くいなくなってしまったために獲得したのが32歳で経験豊富のメイビン。近年の成績を見ても決して打撃が良いといえる選手ではなく半ば諦めモード。
 しかしメイビンは安定感のある打撃を武器に高打率を維持。外野をその日ごとに巡りながらも守備指標をプラスに保って見事サプライザーの一人となった。
 6月には4試合連続を放つなどキャリアハイの11HRを記録。その後も第4外野手として起用された。
 ガードナー退団でもなんら心配ない代替要員を発掘できたのは大成功。決して若いとは言えないもののまだまだ成績の伸びしろはあるといった印象。
Mike Tauchman (OF) 評価:A+
87試合 AVG.277(260-72)13HR 47RBI .361/.504/.865 rWAR3.6


 山岳部隊その4にして来季のレギュラー候補。ちょっと長文になるのでご容赦を。昨年までCOLでプレーするも全くといっていいほど活躍できなかったトークマン。ぶっちゃけ今年の成績次第では選手生命の危機だったのではないだろうか。
 トークマンは4月に22試合出場するもAVG.177 OPS.669と例年と同じ道を辿るかに見えた。がしかし,6月に再度チャンスが巡ってくると形容しがたいレベルで爆発。
 7月8月の成績は41試合 AVG.331 8HR OPS.998という訳のわからないことに。9月に負傷離脱し,PS出場は果たせなかったものの,ヤンキース首脳陣に大きな楔を打ち込んだシーズンだったのではないだろうか。
 打撃も素晴らしいのだが彼の特筆すべきは外野守備だろう。DRS+16/UZR+7.1 は脅威ともいえる数字。その影響でrWAR3.6はチーム5位。一年換算でrWAR6.7は今年のラメイヒューを超越するレベル。この選手を来季使わない手段は無いのではないか。
 しかし今年はこんなにCOL選手に助けられてよかったのだろうか。。


○終身名誉特別枠

Jacoby Ellsbury (OF) 評価:たいへよくできました💮
0試合 .---(---)-HR -RBI .---/.---/.--- rWAR-.-


 2100万ドルの刺客。獲得した後から常に「不良債権」と叫ばれていたが見事2年連続未出場を果たしたエルズベリー。昨年のTuloレベルに情報統制が敷かれており,生存を確認できない状態。
 嬉しいニュースがあるとすれば遂に来年で彼との長期契約が終わり,サラリーのお荷物が1人消えることのみだろう。
 もう一度BOSでプレイする姿が見たいなー😇

以上!野手編でした!総文字数15000文字という自己ベストを更新!まだまだキャリアハイ狙います。
今季のオフは野手の獲得はあるでしょうか?ぶっちゃけそんなに穴は無いような気がしますが,アルシェラが万が一こけた時の候補くらい探しても損はないのかなと。(決してアンドゥーハが嫌いとかじゃありません😔)

最後に

 見てわかる通り,103勝で地区優勝を飾ったチームとは思えないくらい故障者が続出したり,スタメンがコロコロ変わっていました。ただ以前記事に書いた通り,ここまでこれたのは元々あまり成績を残さないと思われていたラメイヒュー,アルシェラ,メイビン,トークマンらの活躍があってこそだと思います。当然,今年は出来すぎだ!なんて声もあるかもしれませんがそれはそれ。

 毎日流れてくる故障者のニュースは確かに肝が冷えまくりでしたが,同じくらい選手の活躍が僕を熱くさせてくれました。来年は今年敗れたHOUにリベンジを果たし,2020年代一番乗りのWS優勝を達成してほしいですね。

○他球団の通信簿リンク集

Washington Nationals (歯磨き粉氏)
St. Louis Cardinals (Ryo氏)
Colorado Rockies (うな重氏)
Seattle Mariners  (116Wins氏)
Chicago Whitesox (ヨヨ氏)
Kansas City Royals (ヨロスー氏)
Chicago Cubs (ますたー氏が作ってるらしい😋しばしお待ちを!)

こちらも是非ご覧くださいね~!


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