重度の化学物質過敏症の生活

化学物質過敏症の病気を患って10年程になります。

化学物質過敏症は、さまざまな微量の化学物質で体調が悪化します。重症になると、外出もままならなくなり、通常の日常生活を送ること自体が困難になります。

化学物質過敏症は、10年程前に、病名として登録された世界的にもまだ新しい病気で、原因もわからず、治療法もありません。

10年ほどこの病気を患っていますが、社会的にも新しい概念の病気で、障害でもあって、社会への理解も浸透しているとは言い難いです。支援制度自体も未だほとんどありません。

幸いなことに、化学物質過敏症という病名は、社会での認知度が上がり、耳にしたことがあるという方々も増えました。

一方で、化学物質過敏症の重症者の実態は、社会に伝わっていません。

私自身、化学物質過敏症患者として、重度の障害を負う身として、不安の中で過ごしています。

化学物質過敏症は、個人差の大きい病気で、アレルギーのように体調を崩すものが人それぞれで異なります。タバコや柔軟剤など、お互いに苦しくなる共通の物もある程度あるのですが、症状が生じる物は、日用品から、食べ物、飲み物、そして空気と、多岐にわたります。

その中でも、特に、化学物質過敏症の方々が苦しんでいて、社会的な問題となっているのが、空気です。

化学物質過敏症患者が苦しんでいるものは空気中の香りの化学物質だけではありませんが、「香害」(こうがい) という言葉ができて、空気中の香りで、体調を崩すということが社会問題にもなっています。

化学物質過敏症が重度になると、自宅でも体調を崩すようになり、また、今まで住むことのできた自宅に居られなくなることも少なくありません。しかし、さまざまな理由で、家屋の日用品の残り香であったり、屋外からの農薬や喫煙、香害と、住まいが見つかりません。

私も重症時は自宅に戻れず、年単位であちこちを転々として、時には、車で寝起きをして暮らしていました。

空気を求めて、車を夜通し走らせる家族、車で過ごす方々、山頂にひとりで住む方々、引っ越しを繰り返す方々、重度の化学物質過敏症の生活は多岐に渡り、そのいずれも過酷なものです。

学校にも行けなくなり、仕事も辞めざるおえなくなり、社会からも孤立してしまいがちです。

このような中にありながら、化学物質のたくさんある病院にも入れなくなり、薬も使えないということで医師の手にも負えなくなり、重症になればなるほど、医療からも、切り離されてしまっています。

化学物質を始め、化学物質過敏症患者の体調を崩すものはたくさんあります。

重症になればそれが多岐に渡っていきます。回復どころか悪化していくことも少なくありません。

空気が相手でもあるので、どのように生き、生活したら良いのかと、途方に暮れることもあります。

重症になると、患者の生活の質、QOLを落とし、人としての生活を困難にする病気ですが、未だ、社会のどこに助けを求めれば良いのかわからないままで、重症であればあるほど、社会との繋がりも絶たれてしまって、声を上げることもままならない病気です。



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