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短編小説その19「AlieRt de poErlirta(アリエルト・デ・ポエリルタ)――それはある日常の崩壊」

 ――キミの欠片を、僕は握り締めてた。

 いつまでも変わらない風景。いつまでも変わらないやり取り。いつまでも変わらない日常。楽しかった。愛しかった。大切だった。いつまでもいつまでも、この中に浸っていたかった。
 ――なぜ僕だけ、気づいてしまったのだろう。
 この、いつまでも変わらないと信じていた風景、やり取り、日常は、本当に”いつまでも変わってなかった”だなんて。
 気づきたくなかった。わかりたくなかった。そうすれば、いつまでも僕はこの中で泳ぎ続けることが出来たから。いつまでもこの日常に浸っていることが出来たから。
 ――でも、僕は気づいてしまった。気づいてしまったからには、もう、元には、

 ――――戻れ、ない。

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