時にはシネフィルな夜「ブラック・サイト 危険区域」
昨夜は、ソフィア・バンクスという女性が撮った本格長編監督デビュー作品となるアクション映画を観ました。
新人監督のデビュー作品は、何はともあれ大好物。
小説や映画とかどんな創作ジャンルにおいても、作家や表現者の第一作である処女作には、その人の描きたいテーマや興味、感性、作風がギュッと凝縮されている気がします。
言うなれば、作家の個性を最も端的に感じられるからオレはデビュー作というものが好きです。
主人公は、赴任先のイスタンブールの病院爆破テロで外科医の夫と娘を亡くしたばかりのCIA分析官。
不幸の後ということで帰国を促されるも、自分の家族が犠牲となったそのテロの真相を探るためにもとヨルダンの新任地へと赴く。
主人公も監督も女性だからとあまり甘く見て気を抜いていたらかなり危険。
アクション描写は意外とエグい。
医療用メスのその使い方は勘弁して下さい。先端恐怖症でなくても、グサグサ連打は生理的に厳しい。
ちなみに、ブラックサイトとは特に取り扱い危険なテロ容疑者などを尋問・取り調べをするにあたって拘禁するために秘密裡に造られた非公式な施設の呼称。
劇中では、ファイブ・アイズとイスラエルのモサドの人員で運用されている設定。
オレ的にはこの設定の段階で、この面子では集まってくる情報もその分析結果自体もきっと予断ありまくりじゃん? とか思ってしまうもんな。オレは国際政治的にはボチボチひねくれ者。
この監督の演出や画面構成、個々のシーンはテンションも高くて決して悪くはないと思うのですが、先述のようにベースとなる設定や脚本自体が少し粗く感じました。
そのためか、主人公側の登場人物が敵に惨く殺された時にあまり喪失感とか傷みを伴わない。
時に、攻めたアクション映画ではキャラの死を敢えて記号化するパターンも無くはないですが、そこに予定調和みたいなフラグ立てのゲームっぽさを感じてしまうと、あまりストーリーに入り込めない。
全般的には、映画としては悪くないけど、少し惜しいなという印象。
特に、オチがありきたりすぎなのは、やっぱりマズいと思います。
それなりに映画の本数を観てきた観客なら、前半3分の1過ぎたとこで、大半の人がこの結末を想像できてしまうはず。少年ジャンプの打ち切りマンガによくあるエンディングパターンじゃないんだからさ…。
そうは言ってもオレは、この監督の次作だよと言われたらまた観ちゃうかな? オレ、甘いのよ。新人はしっかり褒めて大事に育てるタイプです。
https://eiga.com/movie/98495/
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