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台湾映画LOVERのつぶやき【その4・台湾の青春映画って素敵】

◆台湾の青春映画って素敵な作品が多いです。

「台湾の青春映画ってなんでこんなに良いんだろう」一作でも台湾青春映画を見たことのある人ならこのつぶやき、きっと分かってもらえますよね。

透明な空気感、暑いはずなのに柔らかさを感じさせてくれる日差し、木々の緑の美しさ、それと対比するように風景に必ずある赤い色。
人々の優しさ、大らかさ。淡く柔らかい表現で語られる恋心、初恋の切なさ。そして日本人なら感じる懐かしさ。
こういう要素が台湾の青春映画を他とは違う格別のものにしてくれているんだと私は思います。

◆観ておきたい台湾青春映画たち

観ておきたい作品を挙げたらキリがないのが台湾青春映画です。
ここでは私が特に好きな作品をいくつかピックアップします。


◆「あの頃、君を追いかけた」

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「成就しないことで初恋は2人の中で永遠になった」そんな一本だから大人にこそ観てほしいです。
この映画は原作のウェブ小説を書いたギデンズ・コーが監督になって作ったものです。自伝とも言われていてちょっと出来過ぎの感はありますが、それでもとても良い映画です。

10代男子の目線で描かれた青春映画なので下ネタが多いのですが、それを思いっきり上回る笑いと切なさがあり、アジア各国で映画賞を受賞したのもうなづけます。

主人公たちのマドンナ的な女の子が寝てばかりの主人公を起こすために背中にボールペンを当ててできたシミも、ポニーテールにした彼女が主人公たちの前を歩いたことも、彼女が友人にだけこっそりと好きな人の名前を囁いたのも、若さ故に自分の気持ちが先走りすれ違ってしまったことも、想い出になるとこんなに愛おしく切なくなるのか。ラスト、私は大泣きでした。


◆「モンガに散る」

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台北随一の繁華街モンガを舞台にした友情、裏切り、破滅を描いた青春映画です。色味も音楽もキャスティングも、そして脚本も素晴らしいです。古い習慣を大切にする美しさもみせてもらいました。

主演のイーサン・ルアンとマーク・チャオがものすごく良いです。この2人がいなかったらこの映画は成り立たなかったと思います。ヤクザの世界が舞台ですが、ここで描かれているのはあくまで友情です。どんなシチュエーションでもほんとに台湾の青春映画って良い。私は観るたびに泣いちゃいます。この先きっと何度も観返したくなると思い、初見の後にすぐ買っちゃいました。映画人生でこの映画に出会えて良かったです。


◆「藍色夏恋」

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今でこそアジアを代表する女優の一人になったグイ・ルンメイのデビュー作です。この作品を観ると、本当にいい役者って最初っから良いんだと思ってもらえると思います。

主人公の女子高生・モンは親友に頼まれて水泳部の男子・チャンにラブレターを渡します。ところがチャンはモンからの告白と勘違いし、ここから2人の忘れられないひと夏が始まります。

実は密かにモンのことを好きだったチャンは嬉しくて彼女に近づこうと頑張ります。ルックスも悪くないしユーモアのセンスもあるチャンなのですが、なぜかモンは友人としてしかチャンを相手にしてくれません。業を煮やしヤケクソになりかけたチャンに、ある日モンは誰にも言ってない秘密を打ち明けるのですが。。。
ネタバレにはしたくないのでストーリーにはこれ以上触れません。

この作品で素敵なのは、モンの秘密を知った後の2人の友情です。モンの気持ちが本当の恋心なのか、思春期特有の友情と恋の間のものなのか、それはどっちでも良いやと思わせてくれる2人の演技と映画の透明感は素晴らしいです。

タイトルにある「藍色」は青春そのものを意味しているのだと私は思います。青春という未知数に満ちた時間の中で共有した特別な夏の恋と友情を2人はきっと忘れないだろうな、観た者をそんな爽やかな気持ちにしてくれるこの映画、人生の2時間を使う価値のある一本です。


◆「言えない秘密」

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高校の音楽科を舞台にしたミステリアスな雰囲気のラブストーリー。主演の女優・グイ・ルンメイが目当てで観たのだけど他にも色んな素敵ポイントがあって、思いがけない良い出会いでした。大林宜彦監督の「時をかける少女」を台湾ver.にしてもっとブラッシュアップした感じです。(誉め言葉ですよ)
映像がとても美しいうえに、主演のジェイ・チョウが監督・音楽・脚本も全部手掛けたというすごい一本、天才っているんですね。作中のピアノバトルがとにかく凄い!ここだけでも十分観る価値ありです。そしてこのピアノ演奏も挑戦者役でジェイ・チョウが実際に弾いています。
グイ・ルンメイのもつミステリアスな魅力もこの映画が成功した理由です。ぜひご自身の目で観て彼女にしか出せない空気を感じてください!


◆「花蓮の夏」

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台湾東部の海に面した町・花蓮を舞台にした男2人、女1人の若者の恋を描いた2006年の台湾映画です。
男性2人の、恋愛なのか親友としての友情なのか曖昧な感情の描き方が上手いです。性別を問わず「好き」っていう気持ちはグレーゾーンが広くて白黒がはっきりつかない時もあるのがリアルだと私は思います。なので曖昧な関係を断ち切れない感じのラストはアリでしょう。台湾映画(特に東部)の日差しと緑に満ちた風景の美しさも一見に値します。


タイトルだけ挙げれば他にも「台北の朝、僕は恋をする」「若葉のころ」「星空」などなど素敵な青春映画はいっぱいあります。どうか機会があったらひとつでも観てください!

*【その5】では台湾のドキュメンタリー映画について書きます。


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