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スマブラステージ【番外編 炎龍】



 龍またはドラゴンは、古代から洋の東西を問わず世界中で伝承されてきた爬虫類のような姿の怪物である。

 ドラゴンという言葉は、古代ギリシャ語で蛇を意味するドラコーンを語源としている。
 蛇は、少ない餌で生き延びられる生命力、一部の種が猛毒を持つことの不吉さ、脱皮や冬眠の習性が「死と再生」を繰り返すように見えるなど、様々な要因で先史時代から多くの地域で、神秘的な存在とみなされていた。


 蛇は湿地を好み、長い体が河川に見えることから、水や雨を司る神とされたことが多い。
 古代中国において、龍は水や雨を操ると考えられていて、古くは紀元前5000年ごろの新石器時代の遺跡から、龍の像とおぼしきものが発掘されている。

 また、インドで信仰されていた水神、コブラの神であるナーガが、仏教(紀元前6世紀頃発祥)において仏法の守護者とされ、仏教の伝搬とともに世界中に広まり、元の土地の蛇神や中国の龍のイメージと合わさり、東洋的な龍が形作られていった。

蛇の体に、角、手足、ヒゲを持った龍

 西洋文明の基礎を築いた古代ギリシャでは、上半身が人間、下半身が蛇の体で、頭が星に届くほどの巨体を持ち、肩から百の蛇の頭が生え、強力な炎を吐く怪物テューポーンや、テュポーンの子ともされる100の頭を持つ蛇ラードーンなど、恐ろしい蛇(ドラコーン)の怪物が登場する。

 その後、中世ヨーロッパの動物寓意譚で、手足や翼を持つ大きな蛇として、ドラゴンが描かれるようになり、15世紀頃にコウモリのような羽を持ち、口から火を吐くドラゴン像が広く見られるようになった。

龍の火炎で、焼かれる建物

 キリスト教圏では、1世紀後半に書かれた「ヨハネの黙示録」に七つの頭、十本の角をもつ、悪魔の化身とされる赤いドラゴンが登場している。そのためか、ドラゴンは邪悪な存在として扱われることが多く、中世には、聖人がドラゴンを退治する説話がヨーロッパ各地に広まった。

 黄金や財宝を貯めこんでいたり、人間を食らい、娘を生贄に要求したりするような悪いドラゴンが多い一方で、人間を助けたり土地を守ったりするドラゴンの伝承も一部で見られる。


 20世紀後半、JRRトールキンの「指輪物語」をはじめとしたファンタジー小説が人気になり、1974年にファンタジー世界で冒険するテーブルトーク・ロールプレイングゲーム「ダンジョンズ&ドラゴンズ」が発売されて流行した。

 これ以降、ドラゴンの登場するファンタジー作品が次々と作られるようになり、ドラゴンは怪物、モンスターの中で最も有名な存在となり今に至っている。



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