〔ショートストーリー〕赤い傘
赤い傘はあたしに似合わないと、中学校からの帰り道、チーちゃんは意地悪く言った。
「あんたみたいに色も黒くてガリガリで地味な子、そんなの似合うわけ無いじゃない」
笑いながらあたしから新しい傘を取り上げると、これは自分のものだと宣言して持ち去った。代わりに、チーちゃんの色褪せたブルーの傘を残して。
チーちゃんは、ずっとそうだった。幼稚園でもあたしが遊んでいるおもちゃを欲しがって、無理矢理取り上げる。取り返そうとすると、
「せんせー!私のおもちゃ、みっちゃんが取ったー!」
と泣き