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人間作業モデルを実生活に活用する。 −環境編–



人間作業モデルとは


人間作業モデル(以下、MOHO)は作業療法の代表的な理論になります。

人間の内部にある意志, 習慣化, 遂行能力という3つの概念が, 環境と相互作用することで作業適応の状態が生まれる.

山田孝:事例でわかる人間作業モデル. 協同医書出版社, 2015, pp14-26.

MOHOは幅広い領域の臨床で使用されており、エビデンスが日々構築されています。

せっかくなので、MOHOを臨床だけではなく、実生活で活用できるように考察していきます。

※この記事はあくまで私の考察であり、エビデンスに基づく論理ではないことをご了承ください。


環境について


私の意見ですが、「意志」「習慣化」「遂行能力」「環境」の中では、環境の影響力が最も高いと考えます。

環境の変化によってもたらされる効果は、こちらの書籍でも紹介されています。

人生を変えるには、環境を変えるのが手っ取り早い。

長倉顕太 著 「移動する人はうまくいく」


臨床経験からも、環境の変化により良くも悪くもクライエントの行動が大きく変容していました。

それは一体なぜでしょうか?

人間は環境と交流して行動を起こします。

つまり、環境の交流がなければ自分の能力を発揮する機会が無いということです。

臨床では、入院や施設入所という環境の変化により、本来自分が持っていた役割(例えば「主婦」や「趣味人」)を担うことができなくなります。

自分らしく生活することができず、作業適応が困難となるのです。

そのため、作業療法士は「意志」「習慣化」「遂行能力」「環境」をクライエントに合わせて評価・介入していきます。

MOHOは臨床のみならず、実生活にも有益だと考えています。


環境を変化させる


「遂行技能」(スキルなど)、「習慣化」、「意志」(モチベーションなど)を変えることは時間を要します。

しかし、「環境」は4要素の中ですぐに変えることができる項目だと思います。

居住地や会社をすぐに変えることは難しいですが、少しの環境を変えることで行動は大きく変化します。

もし、あなたが新しい趣味や仕事を始める場合は、環境を先に変えることで「意志」「習慣化」「遂行技能」が効率よく高まる可能性があります。

「英語修得」の例

  • 「環境」英語を話す機会がある場所に行く。(語学学校、英語コミュニティ、海外旅行など)

  • 「意志」英語を話さざるを得なくなる。英語を上手に話したくなる。

  • 「習慣化」英語を話すことが習慣になる。

  • 「遂行技能」英語が上達する。


「キャリアデザイン」の例

  • 「環境」自分が興味があり、学びたい分野の部門や会社に転職する。自分が憧れる人と多く時間を過ごす。(セミナーや勉強会に参加する。)

  • 「意志」周りに刺激され、向上心が高まる。

  • 「習慣化」自分の望むキャリアを見据えた思考や行動が習慣となる。

  • 「遂行技能」専門性や市場価値が向上する。


「ジョギング」の例

  • 「環境」自宅や職場にスポーツウェアやシューズなど一式セットし、すぐに着替えられるようにする。

  • 「意志」めんどくさいと感じる前に行動することができる。

  • 「習慣化」ジョギングする回数が増える。

  • 「遂行技能」体力が向上する。


私は英語力を上げるために語学学校に通ったり、Xの海外用アカウントで友達を作ったりすることで、少しずつ話せるようになりました。

病院を退職したことも、新たなスキルを身につけるために必要な移動と考えています。

「環境」による効果が、「意志」「習慣化」「遂行技能」にも波及していきます。


まとめ


実生活の中で「環境」を変化させるだけで、自分の行動やスキルが改善していきます。

まずは自分を取り巻く環境を改めて考えてみてください。

環境は「作業療法士が持つ最も重要なツール」です。
(de la Heras, Llerena, & Kielhofnet, 2003, p.10)





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